【M&A潮流】アカマイ買収に利益30年分必要、AOL級の巨額案件に

2005年以降に米企業で買収観測が 最も多く浮上しているアカマイ・テクノロジーズを買収しようとすれ ば、コストは利益の約30年分に上り、テクノロジー関連企業のM&A としては過去10年で最大規模となる。

インターネットのコンテンツ配信高速化サービスを手掛けるアカ マイ(本社マサチューセッツ州ケンブリッジ)の株価は過去1年間で 82%上昇し、時価総額は88億ドル(約7175億円)に達した。ブルー ムバーグの集計データによれば、純債務を含めると、同社の評価はE BITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益、実績ベース) の22倍。100億ドル以上のテクノロジー企業の買収で平均31%のプレ ミアムが付くことを考慮すれば、アカマイの買収コストはEBITD Aの29.4倍に上る可能性がある。これは過去10年の大型買収の平均 の3倍近い水準だ。

米テクノロジー関連企業は買収に備えて少なくとも2740億ドル の手元現金を蓄えている上、ネットを行き交うデータ量は3倍増が見 込まれていることから、買収観測の高まるアカマイの株価は過去1年 で利益の2倍強のペースで値上がりした。データによれば、アメリ カ・オンライン(AOL)が2000年に高速インターネット接続への期 待の高まりを背景にタイムワーナーを1860億ドルで買収することに合 意した際も、利益の30年分相当を支払った。

キャンビア・インベスターズ(運用資産65億ドル)のブライア ン・バリッシュ社長は、「このようなバリュエーション(株価評価) や、M&Aで妥当なリターンを引き出せるかについて合理的に説明す ることは困難だ」と述べ、「アカマイは大方の従来型バリュエーショ ン基準からみて割高な銘柄だ。猛烈な収益成長が必要になるだろう」 と指摘した。

大型買収

ブルームバーグのデータによれば、2001年2月以降に100億ドル 以上で買収された米テクノロジー企業はベリタス・ソフトウエアやフ リースケール・セミコンダクターなど6社。買収コストは平均でEB ITDAの11.6倍で、プレミアムは31%だった。

アカマイ株の過去20日間の平均は49.22ドルで、歴史的な平均に 照らせば、アカマイは買収で1株当たり64.47ドルと評価されること になる。この評価で純債務を加味した場合、同社の買収コストは約112 億ドルとなり、過去1年のEBITDA(3億8100万ドル)の29.4 倍に相当する。アカマイの広報担当者はコメントを控えている。

歴史的教訓

ウイルス対策ソフトメーカー最大手のシマンテックによる2004年 のベリタス買収コストは、EBITDAの20.4倍だった。買収完了後 1年でシマンテックの株価は31%下落し、S&P500種テクノロジー 株指数の1.3%安を大きく下回った。

もっと割高な買収を行ったのはAOLで、タイムワーナーに対し てEBITDAの30.48倍の評価を付けた。合併新会社のAOLタイ ムワーナーはネット経由でテレビ番組や雑誌を売る計画だったが、通 信会社やケーブルテレビ(CATV)会社などが提供する高速オンラ イン・サービスに顧客を奪われた。2000年1月の買収発表時には新会 社の評価は約3500億ドルだったが、2年後には時価総額が約3分の1 に減少した。

アカマイはアップルのコンテンツ配信サイト「iTunes(ア イチューンズ)」での高速配信を支援していることから、グリーチャ ーのアナリスト、ブライアン・マーシャル氏は、アップルにとって魅 力ある買収標的になる可能性があるとみる。アップルは昨年末の保有 現金と短期投資が約270億ドルだった。アップルの広報担当者、ステ ィーブ・ダウリング氏はコメントを控えた。

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