ロンドン脱出息巻いたバークレイズなどトーンダウン-英銀たたき一服

バークレイズ、スタンダードチャー タード銀行、HSBCホールディングスの英銀大手3行は昨年、本店 をロンドンから移すと息巻いていた。しかし、商業・投資銀行部門の 分割を業界に迫る圧力が和らいだ今、3行はトーンを和らげている。

バークレイズのロバート・ダイアモンド最高経営責任者(CEO) は先月の議会で、ロンドンが「世界でも一流の金融センター」であり 続けていると証言。HSBCのダグラス・フリント会長もロンドンが 競合する都市に比べて持つ強みを挙げた。スタンダードチャータード 銀の法人銀行部門の責任者を務めるマイク・リーズ氏に至っては、ロ ンドンの「中立性」を高く評価した。5カ月前、これら3行は英当局 が銀行の分割を図れば同国を脱出するとの脅しをちらつかせていた。

3行のトーンが変わったのは、英政府が銀行分割の検討を要請し て設立した銀行独立委員会(ICB)のジョン・ビッカーズ委員長の 1月22日の発言がきっかけ。委員長は分割を勧めないと述べた。その 6日後、キャメロン首相は銀行に政府は「仕返し」すべきではないと し、ボーナスをめぐる問題について一段と「バランスの取れた」措置 を講じると約束した。

エクサンBNPパリバのアナリスト、イアン・ゴードン氏は「ム ードは明らかに変わり、ここ数週間はもっと協調的な調べに転じてい る」と指摘。「銀行側のトーンの変化は、業界に対する政府の瀬戸際政 策のクライマックスが過ぎ、ゲームが終わりに向かいつつあることを 示唆している」と説明した。

実際の移転は困難か

スタンダードチャータード銀と欧州最大の銀行であるHSBCは 税引き前利益の半分以上を英国外で稼ぐ。また、バークレイズの2010 年1-6月利益の3分の2は投資銀行部門によるものだった。

スタンダードチャータード銀のリーズ氏は、世界経済フォーラム (WEF)年次総会開催時にスイスのダボスでインタビューに答え、 銀行本店の移転は実際には非常に困難だろうと指摘。その理由として、 移転に伴う規制・税制上の複雑さに加え、選ばれなかった都市と国に 悪い印象を与えずに新拠点を選ぶ難しさを挙げた。

同氏は「香港に移すとして、インドやシンガポールはどう感じる だろう。中国を選べば、インドに嫌われる。これら競合する場所それ ぞれを考える必要があり、その意味でロンドンの中立性は偉大だ」と 説明した。

英国銀行協会(BBA)は先月、「ここ数年にわたって取り組んで きた改革が公の議論にほとんど反映されていない」として、政府の銀 行対応に「不満」を表明している。英金融サービス機構(FSA)は 昨年12月、銀行の自己勘定トレーダーとブローカーディーラーに対す るボーナス保証と現金の前払いを制限する規則を承認。財政赤字削減 を目指す英政権はまた、銀行を対象とする一時的なボーナス税も実施 している。

このような報酬規制や中小企業向け融資拡大をめぐって政府と銀 行業界が協議することで、両者の関係が改善したのではないかと、ア ナリストらは指摘する。MFグローバルの欧州株共同責任者、サイモ ン・モーン氏(ロンドン在勤)は「銀行側と政府との間である程度、 理解が進み、それで銀行は英国を脱するとの脅しをやめ、政府も銀行 たたきをストップしているように見える」と述べた。

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