ドルと円が下落、世界株高でリスク選好の売り圧力-米雇用指標を警戒

東京外国為替市場では、ドルと円が 下落する展開となった。世界的に株価が上昇する中、リスク選好の動 きを背景とした売り圧力が強まった。

ユーロ・円相場は午後の取引で一時1ユーロ=112円90銭と、3 営業日ぶりの水準まで円安が進行。午後3時40分現在は112円84銭 付近で推移している。また、ユーロ・ドル相場はドルが一段安となり、 一時は1ユーロ=1.3862ドルと、昨年11月9日以来のドル安値を更 新。同時刻現在は1.3847ドル近辺で取引されている。

一方、海外株高の流れを引き継いで、日本株が大幅高となってい ることから、東京市場ではリスク選好の円売りが優勢となり、主要16 通貨に対して円が全面安。ドル・円相場は一時1ドル=81円60銭と、 前日のニューヨーク時間午後遅くに付けた81円35銭からドル高・円 安方向に振れた。午後3時40分現在は81円50銭付近で推移。前日の 海外市場では一時81円31銭と、1月3日以来、約1カ月ぶりの水準 までドル安・円高が進む場面が見られていた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部為替課長 の塩入稔氏は、東京市場では材料に乏しい中で、株が上昇して商品市 況も値を戻し、エジプト情勢からはいったん目をそらす格好になって いると指摘。相場全体の方向感がつかみにくい中で、「ドルが弱い」と いう流れに変化はなく、ドル売りに伴う欧州通貨高に連れる格好で、 円も売られる展開になったと説明している。

世界株安でリスク選好

市民のデモで混乱が続くエジプトでは、ムバラク大統領が1日に 国営テレビで演説し、9月の次期大統領選には出馬しないことを明ら かにした。反政府勢力の指導者となったエルバラダイ国際原子力機関 (IAEA)前事務局長は2日、大統領辞任後も権力の空白は生まれ ないだろうと言明している。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフF Xストラテジストは、各国の指標好調に加えて、エジプト情勢につい て「さらなる悪いニュースがなかった」ということで、世界的な株高 を背景に「リスクオン(選好)のセンチメント」になっていると説明。 引き続き株価次第の展開の中で、株が堅調地合いを維持するのであれ ば、「ドルも円も弱い流れが続く」とみている。

米供給管理協会(ISM)が1日に発表した1月の製造業景況指 数は60.8と、前月の58.5から上昇。2004年5月以来の高水準となっ た。雇用指数も61.7と前月の58.9から上昇した。

前日の米株式相場は、製造業の拡大を示す指標結果を好感して、 ダウ工業株30種平均が2008年6月以来初めて1万2000ドル台を維持 して取引を終了。株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション 取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は3営業日 ぶりの水準に低下している。

米雇用指標

一方、この日の米国時間には給与明細書作成代行会社のオートマ ティック・データ・プロセッシング(ADP)エンプロイヤー・サー ビシズが給与名簿に基づいて集計した1月の米民間部門の雇用者数を 発表する。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、前月 比で14万人の雇用増と、増加幅は昨年12月の29万7000人を下回る 水準が見込まれている。

棚瀬氏は、前日の海外市場では米国の指標好調を背景に米金利が 上昇していたが、ドル買いにつながっておらず、「ドルの地合いは相当 弱い」と指摘。そうした中で、雇用関連指標の結果を受けて金利が低 下した場合は、「ドルが下落する可能性が高い」としている。

半面、ユーロ圏では、ドイツで発表された1月の失業者数が前月 比1万3000人減の313万5000人と、1992年11月以来の低水準とな った。また、1月のユーロ圏製造業景気指数は改定値で57.3と、速報 値の56.9から上方修正され、昨年12月の57.1から上昇していた。

前日の欧州市場では株式相場が大幅上昇。独10年債利回りはほぼ 1年ぶりの高水準となった。

3日には欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合を控えて、この 日は昨年12月のユーロ圏生産者物価指数が発表される。ブルームバー グ・ニュースがまとめた市場予想では、前月比で0.7%の上昇と、11 月の0.3%上昇を上回る伸びが見込まれている。

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