ギリシャ危機が試したFRBの危機管理、ドル資金スワップ再開の内幕

【記者:Craig Torres】

2月1日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)の バーナンキ議長は昨年5月、楽しみにしていた米大リーグのナショナ ルズとマーリンズの試合観戦を断念せざるを得なかった。欧州のソブ リン債危機が米国に波及し、脆弱(ぜいじゃく)な景気回復に打撃を 与える事態を防ぐため、緊急会合の開催を手配しなければならなかっ たためだ。

ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念を受けて、マネー・マ ーケット・ファンド(MMF)がユーロ圏の銀行が発行した債券を投 げ売りしようとしていると新たに設立された危機監視チームが警告し、 バーナンキ議長と連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは電話会 議で緊急の行動に出ることを決定した。90分にわたる討議の末、 2008年9月にウォール街を襲った流動性ひっ迫が再び起きる事態を避 けるため、欧州と日本、カナダの5つの中央銀行に数十億ドルのドル 資金を融通する権限がバーナンキ議長に認められた。

FRBは金融破綻の防止に取り組む手法について、1913年の発足 以来となる抜本的な改革を進めており、MMFについて警告を発した 「大手機関監視調整委員会」(LISCC)こそ、その中核に位置付 けられる組織だ。バーナンキ議長とともに立案に当たったタルーロ理 事は、最初の試練となったギリシャ危機について、「ギリシャ対応は FRBのあらゆる部局を総動員することになり、重要で差し迫った問 題に迅速に対処できることが示された」と話す。

4月27、28の両日開かれたFOMCのコーヒーブレイクで、タ ルーロ理事とニューヨーク連銀の市場担当責任者ブライン・サック氏 が、欧州の金融情勢の悪化について話し合った2日後、LISCCが 招集された。タルーロ理事は、米国の金融システムをパニックに陥れ かねない脆弱(ぜいじゃく)さを特定するよう要請。LISCCスタ ッフの注意は、米国のMMFが欧州の銀行が発行した約5000億ドル (約40兆円)相当の短期債を売却しようとしている事実に向けられ た。

5月9日の日曜日、欧州連合(EU)首脳らはブリュッセルで、 債務危機の沈静化を図る過去に例のない救済策を取りまとめた。バー ナンキ議長は大リーグの試合を観戦する予定をキャンセルし、電話会 議によるFOMCを招集。スタッフ報告の分析で理論的根拠が示され ていたこともあって、FOMCでは、主要中銀との流動性スワップを 再開することが承認され、「ドルの最後の貸し手」の役割を果たすF RBの意思が示されることになる。

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