欧州の排出許可証の盗難事件、組織犯罪の疑い強まる-市場の混乱続く

欧州連合(EU)の排出許可証が 盗まれた事件について、組織犯罪との見方が強まり、欧州全域で警察当 局が一斉に捜査に乗り出した。この事件は、世界最大の800億ユーロ (約9兆円)規模を誇る欧州の二酸化炭素(CO2)排出権市場の信頼 性に打撃を与えている。

排出許可証70万枚を紛失したチェコのトレーダー、ニコス・トル ニキディス氏によると、犯人らは所有者が紛失に気付く前に売却しよう としている。欧州委員会の気候行動総局のジョス・デルベーケ局長はイ ンタビューで、犯人らは、排出権取引に参加している一部のEU加盟国 の「いいかげんな」安全基準に付け込んだ可能性があると指摘した。

欧州刑事警察機構のディレクターによると、今月のコンピューター 攻撃は、昨年発生した「付加価値税の未納詐欺」や、偽のサイトに個人 情報を入力させるパスワードの「フィッシング」と関連している可能性 がある。英バークレイズは、一部の顧客企業からの排出権先物の購入を 停止したと発表。取引会社の団体は市場が「支持されなくなる」かもし れないとの見方を示した。EUの規制当局は19日に30カ国の排出権 登録簿の稼働を停止し、スポット取引は12日間にわたって停止してい る。

欧州エネルギー取引会社連盟(アムステルダム)は31日発表した 文書で「結果としてスポット市場が参考にできなくなった影響は先物取 引にも波及するだろう」と指摘。「主要な欧州排出権市場を支える安全 な取引インフラが欠如していれば、市場は急速に支持されなくなる」と の見通しを示した。

ブルーネクスト(パリ)とICEフューチャーズ・ヨーロッパ(ロ ンドン)の排出権取引市場は31日に現物取引再開の可能性を示唆して いたが、再開に関する発表はなかった。

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