11年の国内IPOは最大40社に倍増へ、MBO案件再上場も-野村証

2011年に日本の株式市場に新規株 式公開(IPO)する企業数は、前年比で最大2倍程度増える可能性が 指摘されている。円高懸念の後退などで相場環境が好転、企業業績も回 復傾向にあり、資金調達の魅力が改善するとみられるためだ。

野村証券公開引受部の大村法生次長はこのほど、ブルームバーグと のインタビューで、「上場を目指す会社向けのセミナーの状況などを見 ると、数年前に比べて決して激減していない。環境が整えば軽く倍くら いにはなるだろう」と述べた。株式相場が良くなるという前提で考えれ ば、11年のIPO案件数の見通しは「30-40社」という。10年は22 社だった。

大村氏は、IPO案件数見通しの根拠について、「われわれがどれ くらい主幹事を行えるかを考え、われわれのシェアからすると、全体は このくらいのIPO案件数になりそうと想定した」と説明した。金融情 報会社の東京IPOのデータによれば、国内のIPO主幹事シェア(社 数ベース)は、10年は野村証が73%で、4年連続のトップ。09年の 37%から大きくシェアを伸ばし、寡占化した。

野村証では昨年12月13日に発表した日本株投資戦略の中で、「5 年にわたる対世界株での日本株アンダーパフォーマンスは転換点を迎え た公算が大きい」とし、その理由として、急激な円高圧力が再燃するリ スクは限定的と考えられることなどを挙げている。11年末時点のTO PIX予想値は1100ポイントで、28日の終値919.69を20%上回る。

10年も低調続く、新興上場組には逆風

10年の国内のIPO件数22社は、東証マザーズ市場が創設された 1999年以来で最悪だった09年の19社からやや増えたが、ITバブル 全盛だった2000年の203社の1割に過ぎない。株式相場の低迷で資金 調達の魅力が後退した上、景気悪化による業績不振などが影響した。

10年は、第一生命保険や大塚ホールディングスといった東証1部 市場への大型IPOがあり、ブルームバーグの試算によると、資金調達 額の総額は9072億円と前年の16倍に膨らんだ。ただ、第一生命と大塚 HDを除いた20社の平均は約56億円。新興市場に株式公開した16社 に限れば、平均は約20億円と99年以来で最低だった。

もっとも、IPOの主戦場となる新興市場は回復基調だ。ライブド ア・ショックが起きた06年から08年まで、代表指数であるジャスダッ ク指数は下落したが、10年は8.2%高と、2年連続で上昇した。投資家 の含み損の解消が進み、需給がようやく改善しているようだ。

野村証の大村氏は「ベンチャー企業など新興市場にIPOする銘柄 が増えないと、全体の社数は増加しない。新興市場全体のパフォーマン スが上がることが、社数を増やす最大の理由になる」と話す。

MBO案件の再上場か

11年にIPOが見込まれる企業の特徴として、経営陣による企業 買収(MBO)案件の再上場が指摘されている。過去に業績低迷からM BOを行って上場廃止となり、非上場の間に経営の立て直しに成功した 企業が、資金回収に動く可能性があるという。「株主がファンドなどの 場合、投資回収が可能な株価が付くタイミングでないとIPOしない。 そういう意味では、昨年は無理だった。相場が良くなれば、IPOする だろうと思い当たる企業は何社かある」と、大村氏は述べた。

ただ、主要なアジア市場と比較すると、日本は盛り上がりに欠けて いる。中国の深セン証券取引所が昨年10月に設立した新興市場「創業 板(チャイネクスト)」は、すでに168社がIPOを果たした。香港証 券取引所には10年に99社、韓国証券取引所には102社がIPOした。

日本ベンチャーキャピタル協会の呉雅俊会長は、国内のIPO企業 に関し、「イノベーション(技術革新)を期待できる企業は少ない」と 指摘した上で、「成長性を期待するより、絶対につぶれない会社しかI POできなくなっている。日本人は失敗に敏感になっている」と懸念を 示している。

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