国王もご愛飲、スペイン最高峰のワイン「ウニコ」-その伝説に酔う

パブロ・アルバレス氏は電気が 流れるフェンスのそばに彼の黒いスポーツ型多目的車(SUV)を止 めた。このフェンスが守っているのは歴史あるブドウ畑に隣接したほ ぼ更地のような一画だが、その地下にはアルバレス一族のワイナリー、 ベガ・シシリア社を象徴するワイン「ウニコ」が大切に保管されてい ると、彼はそっと教えてくれた。

スペインのワインで初めてその収集価値が認められ、そして最 も有名なウニコは、世界中の愛好家の垂ぜんの的だ。私が体験した中 で最も感動した赤ワインの一つであることに間違いはなく、その味わ いは力強く深みがあり、芳醇な香りとシルクのような質感を持つ。ス ペイン国王のフアン・カルロス1世もウニコをこよなく愛する1人。 2009年のオークションでは、ビンテージとされる1968年物のマグ ナム瓶6本を1人の南米人が6万6550ドル(現在の為替レートで約 550万円)で落札した。ブルームバーグ・マーケッツ誌3月号が報じ た。

今回の旅で私は、アルバレス氏(56)からウニコを生み出した ベガ・シシリアの歴史をたっぷりと聞かされた。荒涼とした大地が広 がるスペイン内陸部のリベラ・デル・ドゥエロ地方で200ヘクター ルのブドウ畑を有するこのワイナリーの起源は、1864年にさかのぼ る。その年、最初のオーナーが、フランス・ボルドーから持ち帰った ワイン用ブドウ品種カベルネ・ソービニョンとメルロー、マルベック を地元品種テンプラニーリョの傍らに植えた。

伝説の始まり

ベガ・シシリアのブレンドは当初、友人のためだけに作られて いたが、1940年代までには賞を取るほどになった。ただ、70年代に なってもこの田舎から生まれる他のワインはどれも素朴なロゼでしか なかった。しかし82年に、マドリードを本拠とするオフィス向けサ ービス会社グルポ・エウレンの創業者、ダビド・アルバレス・ディア ス氏がこのワイナリーを買い取り、当時27歳だった息子のパブロ・ アルバレス氏を責任者に据えた。

ベガ・シシリアは現在、個性ある3つの等級のワインを製造し ている。その中で、熟成期間5年ほどで出荷が可能になるのが「バル ブエナ・シンコ・アニョ」。最低でも10年の熟成期間を経たものが 「ウニコ・グラン・レセルバ」で、ラベルにはただ「ウニコ」と記さ れる。「ウニコ・レセルバ・エスペシアル」は最高峰のウニコ3種類 をブレンドし、さらに熟成期間を置いたものだ。

アルバレス氏は「この仕事を続けるには、仕事を愛することが 必要だ。辛抱強くなければならない」と言う。

彼のオフィスに戻ると、ウニコの偽物を幾つか見たことがあると 話し出した。1942年のラベルが貼られたものやコルクに82年と刻 印されたものがあったという。現在は、ボトルにはシリアル番号など が刻まれている。

値段もチャーミング

その後、ワインを醸造するハビエル・アウサス氏が敷地内の日本 庭園にある茶室で何種類かのビンテージを振る舞ってくれた。彼が言 うにはウニコには2通りあり、ブドウの生育にとって厳しい年に生ま れたワインはより繊細で優雅、1968年物のように恵まれた年のワイ ンはより力強く豊かな味わいだそうだ。

いずれにしても、ロサンゼルス在住で物理学者にして膨大なワイ ンコレクションを持つビピン・デサイ氏は、ウニコは驚くほど寿命 (飲み頃の期間)が長いと話す。同氏は以前、1940年代物にまでさ かのぼって3日間にわたるウニコのビンテージのテイスティングを開 催している。

それに最高級のボルドーやブルゴーニュ産と違い、ビンテージで もほとんどが、今でも1本500ドルもしないで手に入る。最高の品 質でありながら、何という安さだろう。

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 関根裕之 Hiroyuki Sekine +81-3-3201-7850 hsekine@bloomberg.net Editor:Akiko Kobari,Yoshito Okubo 記事に関するコラムニストへの問い合わせ先: Elin McCoy is based in New York. elinmccoy@gmail.com

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