【今週の債券】長期金利1.2%割れも、株安で1月半ば以来の低水準に

今週の債券市場で、長期金利は1 月半ば以来となる1.2%割れとなる場面がありそう。米国株急落を手 掛かりに国内でも株式売り・債券買いが先行する可能性が高いことが 背景。一方、10年国債入札や米雇用統計発表などの材料も控えており、 その後は1.2%中心の推移になると見込まれる。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、米国で景気 回復が続いていることを各マーケットは織り込んできたと指摘。国内 債市場における投資家は金利上昇を待って買いを入れたい姿勢だが、 新興国の株式相場が先行して崩れる中、米国などにも株安が波及して くると金利はなかなか上がりにくい環境になるとも言う。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で1.16%-1.26%だった。

前週の長期金利は小幅上昇。日米株高を受けて売り先行となり、 25日にはいったん1.25%まで上昇した。しかし、その後に米長期金利 がもみ合いとなると1.2%台前半でのレンジ相場が続き、週末には中 期ゾーンでの買いに連動して水準を下げ、結局は21日終値より1ベー シスポイント(bp)高い1.215%で終了した。

27日午後には米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S &P)が、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期国債格付けを「AA」 (ダブルA)から「AA-」(ダブルAマイナス)に1段階格下げを発 表した。市場では、格下げ直後こそ売りが優勢となったが25日に付け た1.25%は上回らなかった。

エジプト懸念で米株急落

エジプトの政情不安などを背景に前週末の米国株相場が急落した ため、国内市場も株式売り、債券買いのスタートとなりそう。

28日の米国株市場ではエジプトにおけるムバラク政権打倒を求 めるデモと当局との衝突による情勢緊迫化などが嫌気され、ナスダッ ク総合指数が2.5%急落したのをはじめ、主要な株価指数が軒並み大 幅な下げを記録した。同日に発表された2010年10-12月期の米実質 国内総生産(GDP)が堅調だったものの、エジプト問題といった地 政学的リスクに市場がより影響を受ける結果となった。

新興国の金融引き締めに伴う株安の影響も焦点の一つ。インフレ 懸念を背景に利上げを実施したブラジルやインドの株価指数は、前週 末にかけて9月初め以来の水準まで下げたほか、2月の春節(旧正月) の期間にも利上げ実施の可能性が高まった中国の株式相場も軟調な推 移が続いている。新興国や米国など世界的に株式相場が不安定化する と、国内債市場では買い優勢の地合いが見込まれる。

米マクロ指標に注目

日米両国のマクロ指標にも注目が集まりそう。日本で31日に発表 される鉱工業生産指数について、大和証券キャピタル・マーケッツの 尾野功一シニアストラテジストは、生産の実績のみならず予測調査も 含めて、国内景気の踊り場が近く終局することを示唆する可能性があ るとみる。

ブルームバーグ・ニュースの調査によると、日本の昨年12月の鉱 工業生産指数の予想中央値は前月比2.8%上昇が予想されている。

週末には米国で雇用統計が発表される。ブルームバーグ調査では 1月の失業率が0.1ポイント上昇の9.5%が見込まれているが、市場 では景気回復期待が根強い。このため、米国株相場が雇用統計発表に 向けて持ち直すことになれば、国内債市場も買いの勢いが鈍くなりそ う。

10年債入札は無難見通し

現物市場では2月1日実施の10年利付国債(2月発行)の価格競 争入札に注目が集まる。10年債の表面利率(クーポン)は1.2%に据 え置かれる見通しで、その場合には312回債と銘柄統合されるリオー プン発行となる。発行額は2兆2000億円程度。

今回の入札について、注目の米雇用統計発表を週末に控えるだけ に、投資家は積極的に買いづらいとの見方もあるが、潜在需要は旺盛 とみられているだけに、入札前後の金利上昇余地は限定されそう。

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、「10年債 利回りの1.3%はなかなか買えない水準との認識が広がってきた」と 指摘。売り材料への抵抗力も強まってきた中、投資資金が徐々ににじ み出てくるともみている。

市場参加者の予想レンジとコメント

1月28日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物139円30銭-140円30銭

新発10年債利回り=1.16%-1.26%

「10年債は1.2%を挟んでもみ合い。投資家からは押し目買い意 欲がある一方、決算に向けた戻り売りの需要もあって様子見の姿勢が 強い。10年債入札は表面利率1.2%でリオープンなら新鮮味に欠ける。 この場合には入札前に相場調整する可能性があるものの一定の買い需 要は見込める。株価の上値の重さは金利低下を促す要因になる」

◎JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジスト

先物3月物139円70銭-140円40銭

新発10年債利回り=1.17%-1.24%

「米国の雇用統計を見極めるうえで、前月はADP雇用統計が波 乱要因となったので注目。株価が伸び悩んで債券には平準買いが入り そう。昨年末からの株価上昇ピッチが速かったのでこれまで積極的に 債券を買いにくかった。10年債入札ではクーポン1.3%となれば人気 が出ようが、リオープンなら無理して買わなくて良い感じだ」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物3月物139円30銭-140円20銭

新発10年債利回り=1.20%-1.255%

「長期金利は1.2%台前半でのレンジが継続。S&Pによる格下 げは結果的に買い場を提供しており、一段の金利上昇懸念はいったん 後退した。ただ、世界経済の回復期待や欧州発のインフレ懸念、国内 経済の踊り場脱却期待など、国内債市場にネガティブな材料には事欠 かない。引き続き10年債の1.15-1.20%では戻り売りを推奨する」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物3月物139円40銭-140円40銭

新発10年債利回り=1.17%-1.26%

「10年債は1.2%中心の推移か。日米ともに景気は回復途上にあ るものの、金融政策は緩和的なスタンスが維持される見通し。こうし た中、先週は国債格下げがあっても売り込まれず、10年債利回りの

1.3%が遠のいた印象だ。米雇用統計前に買いを膨らますわけにはいか ないが、金利上昇局面ではじわじわと買いがにじみ出てきそう」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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