1月28日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商 品相場は次の通り。

◎外国為替:ドル上昇、エジプト情勢緊迫化で逃避

ニューヨーク外国為替市場ではドルとスイス・フランがユーロに対 して上昇、3週ぶりの大幅高を記録した。エジプトでの反政府デモと警 察の衝突を背景に、安全通貨としてのドル、フラン買いが活発化した。

エジプト・ポンドは対ドルでほぼ6年ぶりの安値。ムバラク大統 領は30年にわたり独裁体制を敷いてきたが、ここにきて国民からの退 陣要求に直面している。格付け会社のフィッチ・レーティングスは、 エジプトの格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。 中東地域の通貨で対ドルでの値下がりが最も大きかったのはイスラエ ル・シェケルだった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の南北アメリカ地域G10通 貨戦略責任者、パレシュ・ウパダヤ氏は、「地政学的懸念による典型 的なリスク回避のようだ」と述べ、「これが石油や金、ドルの価格を 押し上げている。ユーロは下落し、対ユーロでのスイス・フランには 再び安全逃避の需要が集まっている」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時、ドルは対ユーロで1ユーロ=

1.3584ドル。一時は1.1%高の1.3584ドルまで買い進まれた。 前日は1.3734ドルだった。フランは対ユーロで1ユーロ=1.2821 フラン。一時は1.4%上げて1ユーロ=1.2806フラン。前日は

1.2985フラン。ドル、フランともに上げ幅は日中としては今月6日 以来で最大。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物3月限は前日 比4.5%高。金先物4月限は1.4%値上がりした。

エジプト情勢

フィッチはエジプトの格付け見通しを「ステーブル(安定的)」 から「ネガティブ」に修正した。

エジプトの警察は、抗議行動に参加した数千人がタリハール広場 に接近するのを阻止しようと催涙ガスを撃ち込み、デモ参加者は機動 隊を乗せたトラックに投石した。エジプト当局はインターネットや携 帯電話のアクセスを制限したほか、主要な反政府グループ、ムスリム 同胞団の指導者らを拘束した。

エジプト・ポンドは対ドルで1ドル=5.8575ポンド。前日は 2005年1月以来の安値をつけていた。

ドルは一時、米国内総生産(GDP)統計を材料に対ユーロで上 げた。米商務省が発表した昨年第4四半期(10-12月)の実質国内総 生産(GDP)は前期比3.2%増だった。第3四半期は2.6%増だっ た。第4四半期の米国経済は、個人消費に支えられ拡大した。

円相場

この日の円は主要通貨すべてに対して上昇。前日の米格付け会社 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による格下げを手掛かり とした円下落は長続きしないとの見方が背景。

ユーロは対円で1ユーロ=111円77銭。一時は2.1%安まで 下げた。前日は113円89銭。

◎米国株:反落、S&P500種は8月以来の大幅安

米株式相場は反落。S&P500種株価指数は昨年8月以来の大幅 安となった。フォード・モーターやアマゾン・ドット・コムが大きく下 げたほか、エジプトの情勢緊迫化が売り材料となった。米経済成長は加 速したものの、相場への影響は限定的だった。

2010年10-12月(第4四半期)決算が79%の減益となったフ ォードは急落。利益がアナリスト予想を下回るとの見通しを示したア マゾンも安い。マイクロソフトは3.9%安と、ダウ工業株30種平均 の採用銘柄で値下がり率トップ。同社の基本ソフト(OS)「ウィン ドウズ」部門の売上高が予想に届かなかったことから、将来の需要に 対する懸念が強まった。原油相場の急伸を背景にNYSEのArca 航空株指数は大きく値下がりした。

S&P500種株価指数は前日比1.8%安の1276.34と、昨年8 月11日以来の大幅安。ダウ工業株30種平均は166.13ドル (1.4%)下落の11823.70ドル。週間ベースでも下落した。

シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数 (VIX)は24%上昇。エジプトで30年間にわたるムバラク政権の 打倒を求めるデモと当局との衝突で情勢が緊迫化し、同大統領が全国 に夜間外出禁止令を出したことがきっかけ。

「不確実性の雲」

ハリス・ブライベート・バンクのジャック・アブリン最高投資責 任者(CIO)は、「投資家は安全性を求めている」とし、「不確実 性の雲が立ち込めてきた。エジプトの政情不安で動揺が広がっている」 と説明。「米国ではフォードやアマゾンの決算がこの日は大きな売り 材料だった。株式相場はこれまでかなり上昇しており、適正なバリュ エーションとみられたようだ」と述べた。

ダウ30種平均は週間で下落した。昨年11月26日以降、週間ベ ースでは毎週上昇しており、前日までに8.1%高。市場予想を上回る 企業決算に支えられた。ブルームバーグがまとめたデータによると、 S&P500種銘柄で10日以降に決算を発表した183社のうち、 74%以上がアナリストの予想平均を上回った。

ムバラク大統領は午後6時から朝7時までの夜間外出禁止令を発 動した。国営テレビが報じた。カイロではムバラク大統領の退陣を求 めて大規模なデモが発生。当局は催涙ガスなどで鎮圧にあたった。カ イロにある与党の本部ビルが炎上したとAP通信が国営テレビを引用 して報じた。

ファースト・ニューヨーク・セキュリティーズのパートナーでグ ローバルエクイティとレーダーのアンドルー・ロス氏は、「市場参加 者は、エジプトでの軍事介入やイスラム過激派台頭の可能性を懸念し ている」と指摘。「エジプトは米国の同盟国であり、政情不安で著し い安全保障上の問題が生じる恐れがある」と述べた。

GDP

エジプトのデモにより、昨年第4四半期の米国経済拡大による相 場の影響は相殺された。米商務省がこの日発表した2010年第4四半 期(10-12月)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率) 速報値は前期比3.2%増だった。第3四半期は2.6%増。個人消費は 2006年第1四半期以来の高い伸びを示した。

自動車株指数は10%安と、S&P500種の業種別24指数で値下 がり率トップ。フォードは13%下落。同社の10-12月の純利益は 前年同期比79%減少。欧州事業の赤字が響いた。ゼネラル・モータ ーズ(GM)は5.4%値下がり。

アマゾンは7.2%安。同社の1-3月(第1四半期)の営業利益 見通しはアナリスト予想を下回ったほか、売上高見通しは下限がアナ リスト予想平均に届かなかった。

航空株指数

マイクロソフトは3.9%安。ナスダック総合指数は2.5%下げた。 ウィンドウズ部門の売上高は50億5000万ドルと、アナリスト予想 平均の52億ドルを下回った。

エジプトの政情不安を受け、反政府の動きが中東の主な産油国に も広がるのではないかとの懸念が強まり、原油相場は4.3%上昇。N YSEのArca航空株指数は昨年10月以来の安値となった。

◎米国債:上昇、エジプト情勢緊迫化で質への逃避

米国債相場は上昇。2年債利回りは7週間ぶり低水準となった。エ ジプトでの反政府デモ激化で、安全資産としての米国債の需要が高まっ た。

30年債利回りは一時9カ月ぶり高水準を付ける場面があった。 2010年第4四半期(10-12月)の実質国内総生産(GDP)の伸び が前期比で拡大したことに反応した。その後、株価下落や金融当局に よる米国債買い入れを手掛かりに国債相場は上昇に転じた。

ジェフリーズの米ドル・デリバティブ取引責任者、クリスチャ ン・クーパー氏は、「エジプトの状況がはっきりと分からないため、 質への逃避による買いが起きている」とし、「この買いは唐突だった が、状況が多少はっきりすれば安全を求めた買いの動きはかなり急速 に反転する可能性がある」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時8分現在、10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)低下の3.33%。同年債(表面利率2.625%、 2020年11月)価格は15/32上昇し、94 1/8。

2年債利回りは3bp低下の0.55%。一時4bp低下の0.54% と、昨年12月8日以来の低水準を付けた。30年債利回りは4bp下 げ4.53%。一時は4.64%と、昨年4月29日以来の高水準を付ける 場面があった。

夜間外出禁止令

独裁政権の崩壊につながったチュニジアでの政変に触発される形 で、エジプトでは25日にデモが発生。警察とデモ隊の衝突は全国に広 がり、夜間外出禁止令も守られていない状況だ。

グッゲンハイム・パートナーズの米政府トレーディングディレク ター、ジェーソン・ローガン氏は、「懸念材料は、エジプトやチュニ ジアでの動きが隣国に広がる恐れがあることだ。中東のように地政学 的に重要な地域で何かが起これば、投資家は動きを止める」と指摘。 「債券には質への逃避で買いが入っている。すべての市場が相互に関 係している」と述べた。

米格付け会社フィッチ・レーティングスは、エジプトの格付け見 通しを「ネガティブ(弱含み)」に修正。また同国のドル建て債の利 回りは過去最高に上昇した。また通貨エジプト・ポンドはドルに対し、 ほぼ6年ぶり安値となった。

「火薬だる」

ジェフリーズのクーパー氏は「中東は、火薬だるの上に置かれた 発火装置のようなものだ。中東が不安定になれば、世界の他の経済的 利益が脅かされかねない」と説明した。

2年債と30年債の利回り格差は一時4.04ポイントと、過去最 大に拡大。第4四半期の実質GDP(季節調整済み、年率)速報値が前 期比3.2%増となったことに反応した。最終需要は7.1%増と、 1984年以来の高い伸びとなった。

利回り格差はその後、3.99ポイントに縮小。昨年8月の時点では

2.99ポイントだった。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、27日 付の報告書で、米国債の「Aaa」(トリプルA)格付けの見通しを 今後、ネガティブ(弱含み)にする可能性について、そうなるまでの 期間が短くなっていると指摘した。財政赤字の悪化が背景にあるとい う。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、 ガイ・リーバス氏は、「インフレ期待が長期債に織り込まれており、 イールドカーブ(利回り曲線)は非常にスティープ化している」と指 摘。「ムーディーズの報告も、これまでの繰り返しではあるが、市場 に暗雲を漂わせている」と述べた。

◎金先物:反発、3カ月ぶり大幅高-エジプト情勢で逃避需要

ニューヨーク金先物相場は反発。3カ月ぶりの大幅高となった。エ ジプト情勢の緊張を背景に逃避需要が高まった。

エジプトのカイロでは28日、数千人が30年に及ぶムバラク政権 の打倒を叫び、「自由」と「変革」のスローガンを唱えながらデモを 実施した。金は一時、4カ月ぶりの安値をつける場面もあった。

バークレイズ・キャピタルの貴金属商品責任者、ジョン・スパル 氏は、「世界は従来考えられていたほど平穏ではない。リスクと危険 が意識されており、金が魅力的になっている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 4月限は前日比で21.90ドル(1.7%)高の1オンス=1341.70ド ルで終了した。昨年11月4日以来の大幅高。一時は1309.10ドル と、10月1日以来の安値をつけた。

◎NY原油:反発、エジプト緊迫化で産油国への波及を警戒

ニューヨーク原油先物相場は反発。2009年9月以来の大幅な上げ となった。エジプトの政情不安を受け、反政府の動きが中東の主な産油 国にも広がるのではないかとの懸念が強まった。

エジプトでは30年にわたるムバラク政権の打倒を叫ぶデモ隊と警 察当局が衝突した。米エネルギー省のチュー長官は電話会議で、中東 からの原油供給に支障を来たせば、「多大な影響が及ぶ」と発言した。

エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・ キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は、 「エジプトで起こるなら、リビアやサウジアラビアで起こらない理由 はない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物3月限は前日 比3.70ドル(4.32%)高の1バレル=89.34ドルで終了。週間で は0.3%、過去1年では21%上昇している。

◎欧州株:下落、エジプト情勢の深刻化で-週間の上げ消す

欧州株式相場は下落し、ストックス欧州600指数は週間での上 げを消す展開となった。エジプトでの反政府デモの激化が影響した。

エジプトで商取引があるイタリアのイタルチェメンティやフラン スのラファルジュが安い。サノフィ・アベンティスは大幅下落。研究 でがん治験薬の延命効果が示されなかったとの発表が嫌気された。リ オ・ティントなど資源株も値下がり。ストックス欧州600指数の資 源株指数は、19業種中で最大の下げとなった。フィアットはクレデ ィ・スイス・グループによる投資判断引き下げが影響し売られた。

ストックス欧州600指数は前日比0.9%安の280.45で終了 した。

タレット・プレボンのトレーダー、トーマス・ラスケティ氏(ロ ンドン在勤)は「エジプトでの政情不安や夜間外出禁止令、国外への 波及懸念といったニュースが続き、下げが拡大した」と分析。「エジ プトは域内を安定させる影響力があり、重要な役割を担っている」と 続けた。

イタリア最大のセメントメーカー、イタルチェメンティは3%安。

ラファルジュは2.2%安。同社は2007年に、エジプトのオラ スコム・コンストラクション・インダストリーズからセメント部門を 買収した。

サノフィは3.8%安と、半年で最大の下げ。フィアットは

4.5%下落した。

◎欧州債:独2年債利回り、週間で4週連続上昇-利上げ観測

欧州債市場ではドイツ2年債が週間で4週連続の下落。欧州中央 銀行(ECB)が利上げを実施するとの観測が強まった。

同2年債利回りは約1年ぶりの高水準となった。1月のユーロ圏 小売業景気指数は過去4年余りで最大の伸びを示した。アイルランド の上院での予算案採決を29日に控え、同国10年債利回りは約2カ 月ぶりの高水準付近で推移した。

ウニクレディトの債券ストラテジスト、コーネリアス・パープス 氏は、「インフレが大きな問題となっている」と指摘。「ユーロ危機 よりもはるかに大きい問題と思われる。ECBは市場の反応に満足し ている。同中銀の一段と積極的な姿勢を市場が織り込んでいることを 歓迎している」と述べた。

ロンドン時間午後4時55分現在、独2年債利回りは前日比ほぼ 変わらずの1.36%。同国債(表面利率1%、2012年12月償還) 価格は0.025ポイント上げて99.345。ドイツ10年債利回りは6 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.15%。

アイルランド10年債利回りは1bp上昇の9.13%。週間で 33bpの上昇。

◎英国債:上昇、10年債利回り3.65%-米GDPは予想下回る

英国債は上昇。昨年10-12月(第4四半期)の米国内総生産 (GDP)が前四半期から拡大したものの、伸び率は予想を下回った。

ロンドン時間午後5時29分現在、10年債利回りは前日比4ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて3.65%。2年債 利回りはほぼ変わらずの1.26%。

ニューヨーク・ニューズルーム   1-212-617-3007

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE