米国債(28日):上昇、エジプト情勢緊迫化で質への逃避

米国債相場は上昇。2年債利回り は7週間ぶり低水準となった。エジプトでの反政府デモ激化で、安全 資産としての米国債の需要が高まった。

30年債利回りは一時9カ月ぶり高水準を付ける場面があった。 2010年第4四半期(10-12月)の実質国内総生産(GDP)の伸び が前期比で拡大したことに反応した。その後、株価下落や金融当局に よる米国債買い入れを手掛かりに国債相場は上昇に転じた。

ジェフリーズの米ドル・デリバティブ取引責任者、クリスチャ ン・クーパー氏は、「エジプトの状況がはっきりと分からないため、 質への逃避による買いが起きている」とし、「この買いは唐突だった が、状況が多少はっきりすれば安全を求めた買いの動きはかなり急速 に反転する可能性がある」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時8分現在、10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)低下の3.33%。同年債(表面利率2.625%、 2020年11月)価格は15/32上昇し、94 1/8。

2年債利回りは3bp低下の0.55%。一時4bp低下の0.54% と、昨年12月8日以来の低水準を付けた。30年債利回りは4bp下 げ4.53%。一時は4.64%と、昨年4月29日以来の高水準を付ける 場面があった。

夜間外出禁止令

独裁政権の崩壊につながったチュニジアでの政変に触発される形 で、エジプトでは25日にデモが発生。警察とデモ隊の衝突は全国に広 がり、夜間外出禁止令も守られていない状況だ。

グッゲンハイム・パートナーズの米政府トレーディングディレク ター、ジェーソン・ローガン氏は、「懸念材料は、エジプトやチュニ ジアでの動きが隣国に広がる恐れがあることだ。中東のように地政学 的に重要な地域で何かが起これば、投資家は動きを止める」と指摘。 「債券には質への逃避で買いが入っている。すべての市場が相互に関 係している」と述べた。

米格付け会社フィッチ・レーティングスは、エジプトの格付け見 通しを「ネガティブ(弱含み)」に修正。また同国のドル建て債の利 回りは過去最高に上昇した。また通貨エジプト・ポンドはドルに対し、 ほぼ6年ぶり安値となった。

「火薬だる」

ジェフリーズのクーパー氏は「中東は、火薬だるの上に置かれた 発火装置のようなものだ。中東が不安定になれば、世界の他の経済的 利益が脅かされかねない」と説明した。

2年債と30年債の利回り格差は一時4.04ポイントと、過去最大 に拡大。第4四半期の実質GDP(季節調整済み、年率)速報値が前 期比3.2%増となったことに反応した。最終需要は7.1%増と、1984 年以来の高い伸びとなった。

利回り格差はその後、3.99ポイントに縮小。昨年8月の時点では

2.99ポイントだった。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、27日 付の報告書で、米国債の「Aaa」(トリプルA)格付けの見通しを 今後、ネガティブ(弱含み)にする可能性について、そうなるまでの 期間が短くなっていると指摘した。財政赤字の悪化が背景にあるとい う。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、 ガイ・リーバス氏は、「インフレ期待が長期債に織り込まれており、 イールドカーブ(利回り曲線)は非常にスティープ化している」と指 摘。「ムーディーズの報告も、これまでの繰り返しではあるが、市場 に暗雲を漂わせている」と述べた。

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