【日本株週間展望】25日線攻防、海外勢買い一巡-堅調業績が下支え

2月第1週(1月31日-2月4日) の日本株は、投資家の短中期的な売買コストを示す25日移動平均(28 日時点でTOPIX919、日経平均株価1万420円)付近でのもみ合い となりそう。昨年11月以降の上昇相場をけん引した海外投資家の買い 姿勢に一巡感が見られる半面、企業決算の堅調な内容が下支えする。

大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所・投資戦略部の高 橋和宏部長は、「海外株式など外部環境も下げそうで下げず、国内外で 景況感や業績期待も続いている。水準はだいぶ良いところまで来たが、 売り切る材料に乏しい」との見方だ。

米国の金融資産管理サービス会社のステート・ストリートが毎月公 表する世界の投資家信頼感指数は1月に100.9と、昨年12月の104.2 から低下した。北米、欧州、アジアすべての市場に対し、投資家のリス ク資産に対する投資意欲が後退。同指数の開発者であるハーバード大学 のケン・フルート教授は、「機関投資家は1月に入ると再び慎重なスタ ンスに戻り、グローバルな経済成長見通しの改善と比較的急激な株価上 昇の間で、投資スタンスを決めかねている」と指摘する。

昨年11月に米連邦準備制度理事会(FRB)が総額6000億ドルの 米国債購入を表明した金融の量的緩和策第2弾(QE2)発動以来、流 動性を増したグローバルマネーは株式、コモディティなどリスク資産に あふれ出た。昨秋までの不振で出遅れが顕著だった日本株も投資対象に 据えられ、昨年11月からことし1月27日までのTOPIXの上昇率は 15%と世界主要89指数の中で14位。

新興国から先進国の流れに変調も

米国やドイツ、フランスの株式相場も上昇しており、FRBがQE 2の方針を踏襲した1月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の米国株 は、26日にダウ工業株30種平均が2008年6月以来、1万2000ドル台 に乗せた。対照的に、金融引き締めの動きが相次ぐ中国やインド、ブラ ジルなどはマイナスで推移。新興国から先進国への資金移動の動きが日 米株式を押し上げてきたが、ステート・ストリートの調査結果は、こう した流れの一巡を示唆した可能性がある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・エクイティリサーチ部の芳 賀沼千里チーフストラテジストは1月中旬、ロンドンなど欧州4都市の 投資家を訪問。「運用機関のファンドマネジャーは、日本株に強気の見 方が少なくなかった」と言う。強気の理由としては、新興国でインフレ 圧力が強まり、最近の日本株の相対リターンが比較的高い点や、米景気 の二番底懸念の後退に伴い、景気敏感セクターの比率が高い日本株が魅 力的になっている点などが挙げられた。

一方で、強気シナリオを取る場合のリスク要因への質問も目立ち、 日本経済のデフレ体質、少子高齢化、財政赤字の拡大など構造的問題は 解決しておらず、「多くのファンドマネジャーは、日本株上昇が循環 的・短期的であると見ている」と、芳賀沼氏は総括した。東京証券取引 所が27日に公表した1月3週の投資部門別売買動向では、海外投資家 は12週連続で日本株を買い越したが、買越額は438億円と前の週の 3000億円から大きく減少。企業決算の発表を控えた事情はあるが、市 場参加者に変調を意識させる内容だった。

コモディティも減速

変調は、1月中旬以降の下げ基調が鮮明で、足元のチャートは弱気 シグナルとなる「三尊天井」の様相を呈する金価格のほか、原油、銅な ど国際商品市況にも見える。JPモルガン・アセット・マネジメントの榊 原可人エコノミストは、世界の経済、相場のリスク要因の1つに「新興 国の引き締め政策によって投資家のリスク回避傾向が再度強まること」 を挙げる。

ただ市場関係者の間では、一気に日本株相場が崩れると見る向きも 少ない。国内外の景気統計や企業業績の内容が堅調で、特に日本では決 算発表が本格化し、下値を売り込みにくい状況にあるからだ。米大手投 信会社のフィデリティ・インターナショナルがアジア・太平洋拠点の自 社のアナリストに調査した結果、半数以上が日本企業の11年売上高と 営業利益は前年比で10%以上伸びると回答したという。

外需企業への根強い評価

27日の取引で、工作機械用数値制御装置や産業用ロボットメーカ ーのファナックは10年4-12月の増益決算発表後に急騰し、昨年来高 値を更新。大和証CMの高橋氏は、日本の企業決算は「外需で受注を伸 ばしている企業を中心に好調。ファナックはもともと業績期待が高く、 世界的に日本株を専門で見るファンドマネジャーが減り、アジアの中の 1つとして投資する向きが増えた中、日本の主力株を買いたいニーズは ある」と指摘している。

2月1週の主な日本企業の決算発表予定は、1月31日に東芝、東 京エレクトロン、ホンダ、ユニ・チャーム、東洋水産、商船三井、2月 1日にアステラス製薬、2日に三菱電機、パナソニック、野村ホールデ ィングス、三井物産、3日にソニー、日立製作所、デンソー、三菱重工 業、東レ、4日に三菱地所、旭化成、国際石油開発帝石などだ。

国債格下げ影響は限定

一方、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P) は27日、日本の長期ソブリン格付けを「AA(ダブルA)」から「A A-(ダブルAマイナス)」に1段階引き下げた。大和証の高橋氏は、 「財政再建を一層進めよという応援のようでもある。株価に対するセン チメントという点では、為替が円安に進むということもあり、悪影響は 限定的」との見方。今のところ、日本株が大きな波乱に陥るリスクは想 定せずに済むようだ。

このほか注視される材料は、米国で経済統計の発表が多く、2月1 日に1月の米ISM製造業景況指数、4日に雇用統計がある。FRBが 足元の景気改善の兆候を指摘しつつ、緩和姿勢を継続した背景に雇用環 境のリスクを挙げているだけに、市場参加者の雇用統計への関心度は高 い。また中国市場は、春節(旧正月)入りに伴い2日から8日まで休場 となる。週前半は中国の経済事情に神経質になる展開も想定される。

【市場関係者の当面の日本株見解】 ●岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジスト

昨年9月以降の上昇相場で織り込んできた「為替の円高修正」「中 国の経済成長」「米国経済の持ち直し」「日本株の出遅れ」の要因が、 いずれも先行きをいったん見極めなければならない状況になってきた。 中国の利上げ懸念、米国での雇用や耐久財受注など経済指標の改善頭打 ち傾向などだ。日米とも株価は目標達成感が出やすい水準まで上昇し、 期待感が強い企業の決算内容も確認が必要。日経平均は2月1週から3 月前半まで、1万100-1万600円のボックスで推移するだろう。

●TIWの西村尚純エクイティリサーチ部長

決算シーズン序盤ということもあり、業績の中味を吟味しようと相 場は小休止の状況だが、基本的には楽観視している。日経平均が1万円 を下回ることはないのではないか。外資系証券が日本の企業調査に力を 入れるなど、世界の資金の流れも変わってきている。アジアの中で非常 に業績が良く、しかも出遅れ感の強い日本株は再評価される。

●立花証券の平野憲一執行役員

昨年は1月中旬まで上昇し、その後2月上旬まで日経平均は約 1000円調整した。ことしも似たような相場が懸念されていたが、QE 2の影響から需給環境が良く、個人が押し目買いを入れているため調整 しなかった。下値は限定的だが、上値を買う動きは乏しそう。国内の企 業業績は株価に織り込まれ、全体相場を押し上げるだけのサプライズは 出ないだろう。海外投資家の買いも細り、目先は25日移動平均線付近 でのもみ合いを想定している。

●日興コーディアル証券・国際市場分析部の河田剛部長

世界的に環境は安定しており、日経平均上値は1万600-1万700 円の可能性もある。高値警戒感のある米国のISMや雇用統計の結果に 注目。ただ、大きく下振れするとはみられず、リスク要素ではない。上 海市場も2日から休みに入り、中国からのリスクも比較的少なくなる。 欧州から悪材料が突然出て下げる可能性も低いだろう。

--取材協力:長谷川敏郎、浅井真樹子、鷺池秀樹、常冨浩太郎、

岩谷多佳子 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 院去信太郎 Shintaro Inkyo +81-3-3201-8955 sinkyo@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 香港 Nick Gentle +852-2977-6545 ngentle2@bloomberg.net

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