今日の国内市況:格下げで株式反落、長期金利は低下-円は反発

日本株相場は反落。原油など海外 商品市況の下落を受け、鉱業や非鉄金属、海運など資源関連株が安く、 電機など輸出関連株も売られた。また、米格付け会社による日本の長期 国債格下げの影響で銀行株が下落したのをはじめ、証券、不動産といっ たこれまで相場上昇をけん引してきた業種の下げも目立った。

TOPIXの終値は前日比9.97ポイント(1.1%)安の919.69。 日経平均株価は同118円32銭(1.1%)安の1万360円34銭。東証 1部33業種はゴム製品、機械を除く31業種が安い。

きょうの日本株はじりじりと下げ幅を拡大。シカゴ先物市場(C ME)の日経平均先物3月物(円建て)の27日清算値は、同日の大阪 証券取引所の通常取引終値を20円上回っていたほか、米株式相場も終 値で高値を更新していたものの、週末を控えた日本株は終日売り圧力に 押される展開となった。きっかけの1つになったのが、S&Pによる日 本国債の格下げだ。

S&Pは27日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格 付けを「AA(ダブルA)」から「AAマイナス(ダブルAマイナス) 」に1段階引き下げた。財政問題などを格下げ理由としている。市場で は、目新しい内容ではないとの声が多いものの、当面の利益を確定する きっかけになったとみられている。11月以降の上昇相場の主役だった 銀行株は、国債を大量に保有するだけに、きょうはTOPIXの下落寄 与度で1位。

直近安値の昨年11月2日から直近高値の1月13日までの業種別 上昇率を見ると、1位証券(38%)、2位その他金融(27%)、3位 石油・石炭製品(26%)、4位銀行(25%)など。11月以降の上昇相 場は金融や資源株がけん引したが、きょうの下落率上位にはこれら業種 が並んだ。資源株については、ニューヨーク商業取引所の原油先物が前 日の取引で1.9%安と反落したことも売り要因の1つとなった。

新興国の金融引き締め懸念を背景にした前週後半の大幅安を受け、 今週は戻りを試したが、結局その下げ分を埋め切れず、上値の重さを感 じる1週間となった。東証1部の騰落状況は値下がり銘柄数1318、値 上がり263。売買代金は1兆5589億円と前日から6%増えた。

国内の企業決算が本格化する中、個別銘柄を選別投資する動きが 強まった。これまで未発表だった2011年3月期の連結業績予想を示し、 前期の赤字から黒字転換する見通しとなったが、市場予想に届かなかっ たアドバンテストが急反落。生産人員増で、昨年4-12月期の連結純 利益が前年同期比26%減となったフォスター電機も急落した。

貸倒引当金の計上で、11年6月期の連結純利益が一転して最終減 益予想となったアルバックは反落。国内のIT投資の回復遅れなどが響 き、昨年10-12月期の連結純損益が265億円の赤字だったNEC、 10年10-12月期業績が市場予想を下回ったキヤノンも安い。

半面、10年10-12月期の決算では、費用削減効果などから連結 営業黒字を確保した富士電機ホールディングスが反発。今期利益計画を 増額したコマツは続伸した。計器関連の売上高増で、今期の営業利益予 想が減益から増益に一転した東光電気、午後2時30分に11年3月期 業績予想の上方修正を発表した日本精線も高い。

長期金利は一時1.21%

債券市場で長期金利は一時1.21%に低下。27日夕に米格付け会 社S&Pが日本国債を格下げする前の水準まで戻した。前日の米国債相 場が上昇したほか、国内株式相場の反落が支えとなったほか、投資家が 中長期ゾーンの現物債に買いを入れたことが相場を押し上げた。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の312回債利 回りは、前日比1ベーシスポイント(bp)低い1.24%で始まった後に 水準を切り下げ、午前9時40分過ぎには4bp低い1.21%と1週間ぶ り低水準を付けた。その後は1.21-1.22%のレンジで推移した。

S&Pが27日午後4時50分過ぎに日本国債の格下げを発表した時 点の長期金利は1.225%付近だった。朝方の取引から同水準を下回っ て推移しており、前日の格下げの影響は限定的となっている。

中期債相場も堅調。5年物の93回債利回りは一時3.5bp低い

0.475%まで低下した。前日に実施された2年債入札結果が順調となり、 投資家の潜在需要の強さが示された流れが継続した。

総務省が28日発表した12月の全国消費者物価指数(除く生鮮食 品、コアCPI)は前年比0.4%低下と22カ月連続低下となった。1 月の東京都区部コアCPIは同0.2%低下だった。ブルームバーグ調査 予想中央値では、全国が0.5%低下、東京は0.3%低下が見込まれてい た。

東京先物市場で中心限月3月物は3日続伸。前日比9銭安の139 円69銭で始まった後、いったん139円60銭まで下落した。しかし、 その後は買いが優勢となり、午前9時半過ぎに24銭高の140円02銭 まで上昇。2週間ぶりに140円台に乗せた。午後は139円90銭付近 で推移して、結局14銭高の139円92銭で引けた。

株式相場が反落したことも債券先物の支えとなった。資源や金融、 輸出株中心に売りが優勢になり、日経平均は前日比118円安で引けた。 また、27日の米国債相場は上昇。一時は下げたが、この日の7年債入 札で最高落札利回りが市場予想を下回ると反転。米10年債利回りは3 bp低下の3.39%程度となった。

円が反発、1ドル=82円58銭

東京外国為替市場では円がドルやユーロなど主要通貨に対して、 反発。前日の日本国債格下げを消化して円の下落に一服感が広がるなか 、輸出企業などの円買いが見られた。また、日本株やアジア株が軟調に 推移するなか、リスク回避の連想からも円買い圧力がかかった。

ユーロ・円相場は前日の海外市場で一時、1ユーロ=114円01銭 と昨年11月22日以来、約2カ月ぶりのユーロ高・円安水準をつけた が、この日の東京市場では一時、113円27銭まで円買いが進行。ド ル・円相場は1ドル=83円ちょうど手前から、一時は82円58銭まで 円が上昇した。

28日の東京株式相場は反落。原油など海外商品市況の下落を受け、 資源関連株が売られたほか、日本国債の格下げの影響から金融株などが 下げた。アジア株も軟調なものが目立ち、MSCIアジア太平洋指数は 一時、前日比1%安となった。

また、ポンドは英国の1月の消費者信頼感指数が20年ぶりの大幅 低下となったことを嫌気して下落。対円では1ポンド=132円台から 131円台前半へ値を切り下げ、対ドルでは一時、1ポンド=1.5900ド ルを割り込んだ。

この日は米国で2010年10-12月(第4四半期)の国内総生産 (GDP)が発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノ ミスト調査の予想中央値(年率)は前期比3.5%増。7-9月(第3四 半期)は同2.6%増だった。

S&Pの小川隆平ディレクター(シンガポール在勤)は28日、ブ ルームバーグテレビジョンとのインタビューで、一部の日本企業は日本 国債よりも高い格付けとなることが可能だと指摘した。S&Pは前日に 日本の外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン格付けを「ダブルA」から 「ダブルAマイナス」に格下げしたと発表した。

また、格付け会社フィッチ・レーティングスのアジア太平洋ソブ リン債担当責任者、アンドルー・コルクホーン氏は、ブルームバーグテ レビジョンとのインタビューで、日本が債務削減に向けて信頼できる計 画を策定できるかどうか判断する上で、日本の政治が主要な焦点になる だろうと述べた。

一方、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは 27日、米国債の「Aaa」格付けの見通しをネガティブとする可能性 について、財政赤字が悪化する中で期限が短くなっていると指摘した。

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員(経 済・通貨担当)は、ユーロ圏各国政府が救済基金である欧州金融安定フ ァシリティー(EFSF)の融資能力を増強し、柔軟性の拡大を図るこ とを決定する見通しだが、現行の4400億ユーロの保証枠を引き上げる 公算は小さいと語った。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ 、オンライン版)が28日、インタビューでの発言として報じた。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時、1ユーロ=1.3758ド ルと約2カ月ぶりの水準までユーロ高・ドル安が進行。しかし、その後 はもみ合いとなり、この日の東京市場では一時、1.3700ドルを割り込 む場面が見られた。

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