鉄鉱石争奪戦の舞台は北極圏へ-アルセロールなど過酷な開発に挑む

カナダのヌナブット準州にあるバ フィン島は、大半の人々の想像を超えるような極寒のへき地だ。北極圏 にあるこの島では、気温は氷点下、海上交通路は氷で閉ざされ、従来の インフラもない。事業を展開するには地球上で最も困難な土地の1つと 言えるだろう。

そんな過酷な環境も、遠隔地の開発に挑む国際的な鉱山会社にとっ て障害にはなっていないと、ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌31 日号は報じている。これらの企業を引き付けるのは、荒涼とした風景の 地下に眠る鉄鉱石鉱床だ。このことは、世界の鉱山会社が資源を新たに 確保するためにはいかなる遠隔地へも向かうということを思い出させ る。

原油に次ぎ、鉄鋼ほど現代の経済活動の中心となっているものはほ とんどない。電子機器や自動車、高層ビルなど全てが鉄鋼を原料として いる。急速な成長を遂げる新興国を中心とした現在の世界的な資源ブー ムのなか、鉄鋼主原料である鉄鉱石は最も注目されるコモディティーと なっている。

中国の鉄鋼生産の急増を背景に、鉄鉱石価格は過去2年間で2倍以 上に上昇。鉄鉱石の大半はブラジルとオーストラリアが輸出している。 そこでは、世界の3大鉱山会社であるブラジルのヴァーレ、英豪系リ オ・ティント、豪英系BHPビリトンが優位に立っている。

このため、他の鉱山会社や鉄鋼会社、中国などの主要消費国は、バ フィン島などにわずかに残された大規模鉱床をめぐって開発競争を繰り 広げることになる。

共同で買収提案

世界最大の鉄鋼メーカー、アルセロール・ミタルとヌナブット・ア イアン・オア・アクイジションは14日、カナダのバフィンランド・ア イアン・マインズに対し5億9000万カナダ・ドル規模の買収案を提示。 バフィンランドがバフィン島で保有するメアリーリバープロジェクト は北極圏で最初の鉄鉱石鉱山開発となる可能性がある。ヌナブット・ア イアン・オア・アクイジションには、ヒューストンを拠点とするプライ ベートエクイティ(PE 、未公開株)投資会社エナジー・アンド・ミ ネラルズ・グループが出資している。

143キロメートルに及ぶ鉄道のほか、凍結した海路を航行可能な特 注の船舶だけが接岸できる港湾などを含めたプロジェクトの開発費用は 推計40億ドル(約3300億円)を超える。

他社もこの流れに乗り遅れたくないと考えている。米クリフス・ナ チュラル・リソーシズは1月中旬、ケベック州北部の鉄鉱石資産を確保 するため、加コンソリデーテッド・トムソン・アイアン・マインズを純 債務を含め49億カナダ・ドルで買収することで合意した。中国国土資源 省が管轄する海外資源事業専門グループの責任者、劉益康氏は今月中 旬、ブルームバーグ・ニュースに対し、バフィンランドの買収合戦に中 国企業も参画していることを明らかにした。企業名についてはコメント を控えた。

調査会社オレン(米ワシントン州)の創業者で、カナダの鉄鉱石鉱 山開発会社ロシュ・ベイの最高経営責任者(CEO)、ベンジャミン・ コックス氏は「他に開発できる場所はない」と指摘。「豪州には未開発 の土地はなく、アフリカでも有望な場所は既に支配されている」との見 方を示した。

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