日本国債格下げ:経験則は金利低下を示唆-三菱モルガンS証の稲留氏

三菱UFJモルガン・スタンレー 証券の稲留克俊債券ストラテジストは、過去の海外格付け機関による格 下げ後に国内債市場は金利低下で反応するケースが多かったと指摘した 上で、「今回の格下げ後の市場でも投資家の潜在需要が支えとなって金 利上昇余地は限られる」と予想している。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は27日、 日本の外貨建て・自国通貨建ての長期国債格付けを最上位から3番目の 「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に1段階格下げしたと発表。長 期国債格付けの見通しは「安定的」としている。

稲留氏によると、米英格付け会社がこれまでに日本国債の格付け を変更したのは全部で14回。内訳は格下げが10回で格上げは4回だ ったが、過去のこうした格付け変更に対して国内債市場の反応は限定的 だった。

長期金利の指標となる新発10年国債利回りをみると、過去10回 の格下げ後の10営業日に金利が上昇したのはわずか2回。稲留氏は、 1998年11月17日に米格付け会社が初めて日本の最上級格付けを見直 した当時こそ、10年債利回りは発表後に9ベーシスポイント(bp)上 振れたものの、それ以外の9回の見直し実施後10営業日では平均して

3.6bpの低下となったと言う。

格下げは想定範囲内

実際、27日夕の格下げ後には債券売りが優勢となったが、10年 債利回りは報道前より2.5bp上昇の1.25%にとどまり、19日の日中 取引で付けた直近高値1.26%を上回っておらず、28日午前には逆に買 いが先行して一時は格下げ前の水準を下回る1.21%を付けた。

日本国債の格付け見直しに国内債市場の反応が鈍かった理由とし て、稲留氏は、①マクロ経済や財政状況から市場が格下げを事前に織り 込み②投資適格級を喪失したり、担保適格基準の見直しに議論が発展し ない③海外投資家の市場への影響力が限定的--などと指摘。「S&P が格付け見通しをネガティブとしてからすでに1年経過していたため、 きのうの格下げも想定範囲内だった」と述べた。

その上で、稲留氏は、東京証券取引所の国債先物市場における外 国人投資家の売買シェアは昨年12月に35%と、過去に格下げが集中 した00-02年当時の20%から上昇していることはやや懸念要因とし ながらも、「国内投資家は金利が上がれば買いとの姿勢を示しているた め、格下げを手掛かり材料として10年債利回りが1.3%を上抜ける展 開は見込めない」との見通しも示した。1.3%は昨年5月以来の高水準。

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