円が反発、月末控え輸出企業の買い先行-株安でリスク回避圧力も

東京外国為替市場では円がドルや ユーロなど主要通貨に対して、反発。前日の日本国債格下げを消化し、 円の下落に一服感が広がるなか、輸出企業などの円買いが見られた。ま た、日本株やアジア株が軟調に推移するなか、リスク回避の連想からも 円買い圧力がかかった。

ユーロ・円相場は前日の海外市場で一時、1ユーロ=114円01銭 と昨年11月22日以来、約2カ月ぶりのユーロ高・円安水準をつけた が、この日の東京市場では一時、113円27銭まで円買いが進行。ド ル・円相場は1ドル=83円ちょうど手前から一時、82円58銭まで円 が上昇した。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、「特 に円を買う材料もないが、指標の大幅下振れを受けたポンド・円などク ロス円が下がっているので、それにつられた感じだ」と解説。日本国債 の格下げの影響については「非居住者の保有比率が低いし、過去に格下 げで円安になった局面はあまりない。また、日本だけでなく次は米国と いう話もあるので、円を売っても何を買うのかということになる」と語 った。

また、三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明統括マネージャー は、「月末要因もあるので、どうしても輸出企業が出やすくい環境で、 アジア時間に円高になるのは予想通り」と話していた。

アジア株

28日の東京株式相場は反落。原油など海外商品市況の下落を受け、 資源関連株が売られたほか、日本国債の格下げの影響から金融株などが 下げた。アジア株も軟調なものが目立ち、MSCIアジア太平洋指数は 一時、前日比1%安となった。

三菱UFJ信託銀の井上氏は、「少し『アジア売り』のようになっ ており、これまでアジアに入っていた資金が好調な米国株などに向かっ ている」と指摘。また、原油相場も下落しており、中国の景気減速を織 り込みながら、「豪ドル・円などかなり崩れている」と述べた。

また、ポンドは英国の1月の消費者信頼感指数が20年ぶりの大幅 低下となったことを嫌気して下落。対円では1ポンド=132円台から 131円台前半へ値を切り下げ、対ドルでは一時、1ポンド=1.5900ド ルを割り込んだ。

この日は米国で2010年10-12月(第4四半期)の国内総生産 (GDP)が発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノ ミスト調査の予想中央値(年率)は前期比3.5%増。7-9月(第3四 半期)は同2.6%増だった。

外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、米国のGDP は前期から成長率の加速が予想されており、ハードルが高くなっている 印象があるものの、「予想を越えるくらいの成長加速が示されれば、ド ル高・円安につながる」とみている。

一方、バークレイズ銀の山本氏は、来週には注目の米雇用統計の発 表もあるが、最近発表される経済指標は強弱まちまちであり、「一方向 の動きにはなりにくい状況が続きそう」とみている。

日本国債の格下げ

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の小川隆 平ディレクター(シンガポール在勤)は28日、ブルームバーグテレビ ジョンとのインタビューで、一部の日本企業は日本国債よりも高い格付 けとなることが可能だと指摘した。S&Pは前日に日本の外貨建て・自 国通貨建て長期ソブリン格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス 」に格下げしたと発表した。

また、格付け会社フィッチ・レーティングスのアジア太平洋ソブリ ン債担当責任者、アンドルー・コルクホーン氏は、ブルームバーグテレ ビジョンとのインタビューで、日本が債務削減に向けて信頼できる計画 を策定できるかどうか判断する上で、日本の政治が主要な焦点になるだ ろうと述べた。

三菱UFJ信託銀の井上氏は、日本国債の格下げを受けて円売りの 仕掛けが入ったが、「そう簡単に日本国債のマーケットは崩れないとい うのが結論」で、円の買い戻しが入っていると解説。半面、「長期的に は日本の政治の部分も注目されるため、積極的に円は買うかというとそ うでもなさそうだ」と話していた。

一方、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは 27日、米国債の「Aaa」格付けの見通しをネガティブとする可能性 について、財政赤字が悪化する中で期限が短くなっていると指摘した。

欧州情勢

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員(経 済・通貨担当)は、ユーロ圏各国政府が救済基金である欧州金融安定フ ァシリティー(EFSF)の融資能力を増強し、柔軟性の拡大を図るこ とを決定する見通しだが、現行の4400億ユーロの保証枠を引き上げる 公算は小さいと語った。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ 、オンライン版)が28日、インタビューでの発言として報じた。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時、1ユーロ=1.3758ド ルと約2カ月ぶりの水準までユーロ高・ドル安が進行。しかし、その後 はもみ合いとなり、この日の東京市場では一時、1.3700ドルを割り込 む場面が見られた。

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