IMF世界経済見通し:11年の成長率を上方修正-リスク高い

国際通貨基金(IMF)は25日公 表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2011年の世界の経済成長 率予想を上方修正した。新興国・地域が景気回復をけん引するととも に、減税措置を延長した米国で生産活動が力強さを増すとの見通しを 考慮した。

IMFは同見通しで、今年の世界の経済成長率予想を4.4%とし、 前回(昨年10月時点)の4.2%から引き上げた。12年の成長率見通し については4.5%と前回の予測を据え置いた。

IMFのブランシャール調査局長はウェブサイトに掲載した発表 文で、「世界経済は回復しつつあるが、その速度は2通りに分かれてい る」とした上で、「われわれの予測では、来年の成長は今年とほぼ同じ になる。これでは失業者を大幅に減らすことは難しい」と解説した。

IMFは、10年7-12月(下期)の予想を上回る成長は世界経済 にとって今年の力強い伸びの基盤づくりにつながったものの、経済予 測に対するリスクは「高いままとなっている」と警告。IMFはユー ロ圏の各国政府に対し、ソブリン債危機が他国に波及することを回避 する包括プランの策定を強く求め、新興国にはインフレリスクが高ま る中で資産価格の上昇を厳重に監視するよう要請した。

IMFは同見通しで「先進国の経済活動の鈍化は予想より小さか ったが、成長は抑制された状態が続いている」と指摘。「多くの新興国・ 地域の経済活動は引き続き上向きで、インフレ圧力が台頭しつつあり、 大量の資本流入を一因とする景気過熱の兆候が現在表れている」と分 析した。

日本は来年1.6%成長

IMFはまた、10年の世界の経済成長率予想を07年以来の高水 準となる5%とし、前回の4.8%から引き上げた。

IMFによれば、先進国では米国とドイツが回復をけん引してい る。ただ、民間需要の回復にもかかわらず失業者を大幅に減らすには 依然として成長ペースは不十分と指摘した。

IMFは米国の11年の成長率予想を3%と、前回から0.7ポイン ト引き上げた。全所得層を対象とする所得税減税の2年延長や長期失 業者向けの失業保険給付の11年までの延長を盛り込んだ減税延長法 の成立を受け、先進7カ国(G7)の中で最も高い成長を見込んでい る。12年は2.7%に鈍化するとみている。

ユーロ圏の11年の成長率は1.5%と前回から据え置き、12年につ いては1.7%に引き下げた。日本は11年成長率が1.6%と前回から0.1 ポイント上方修正、12年は1.8%の見通し。

世界経済のリスク

中国とインドの11年の成長率は10年から減速が見込まれるもの の、両国ともに新興国・地域の中で最も速い成長ペースを維持する見 通し。IMFは中国の11年の成長率を9.6%、インドは8.4%と予想。 いずれも前回から据え置いた。

IMFは先進国の金融政策について、インフレが抑えられ、失業 が高水準にある限り緩和策を継続する必要があるとの見方を示した。

一方、減税措置の延長に伴い11年の財政赤字が対国内総生産(G DP)比で10.75%に拡大する見通しの米国に対し、IMFは警鐘を 鳴らした。「信頼できる中期的な財政戦略の欠如が結果的に米金利を押 し上げ、これにより世界経済や金融市場が混乱に陥る恐れがある」と 指摘する。

後手ならハードランディング

IMFは、政策当局が「初期の景気過熱圧力や資産価格バブルへ の対応で後手に回れば、主要新興国のマクロ経済政策は不動産や信用 市場の過熱・破裂サイクルへの対応に追われることになる。結果的に ハードランディングを招く」とし、世界経済のリスクになると分析し た。

IMFはまた、自国通貨のレートを危機前の水準近くに維持して いる一部の国は、上昇を容認する必要があると指摘。中期的なファン ダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に一致した水準を上回る通貨を 持つ国にとっては、財政調整が対応策になるとみている。

こうした措置は「一部のケースにおける」資本規制などのマクロ プルデンシャル(金融システムの健全化・安定化)政策により補完さ れるだろうとIMFは解説した。

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