ユーシン精:中期目標3年後実現へ、中国拡大やM&A視野

産業用ロボット大手のユーシン精 機は、リーマン・ショック前の2006年に掲げた連結経常利益で50億 円などとした中期の経営目標値について、3年後の14年3月期での実 現を目指す。中国事業が急拡大しているうえ、M&A(企業の合併・ 買収)も選択肢の1つに据え、製造業の生産回復の波に乗りたい考え。

同社の小谷眞由美社長が20日、京都市内の本社でブルームバー グ・ニュースのインタビューに対し明らかにした。ユーシン精は06 年 5月に、11年3月期の連結売上高300億円、経常利益50億円、売上 高経常利益率は15%以上という目標を立てたが、事業環境の変化を受 け、直近では目標達成時期を明示していなかった。今期(11年3月期) の業績予想値は、売上高で135億円、経常利益11億円。

1973年創業の同社は92年のバブル崩壊、02年のITバブル崩壊 に続き、08年秋以降の設備投資抑制による3回目の業績の大きな落ち 込みを経験し、現在回復の途上にある。小谷社長は、今回の不況で「過 去にない緻密さでお金と時間と費用を使い、新製品を生み出すことが 出来た」と強調。10年秋の国際展示会で関係者の関心を集めた軽量型 高速取り出しロボット「HSA-250」など、新製品群の収益貢献に期 待する。

小谷社長が、3年後に利益水準を今期の約5倍に出来るとみてい るのは、欧米などで自動車産業の設備投資が回復しているほか、中国 や東南アジア諸国で同社製品の需要が拡大しているため。特に、労働 争議や人件費高騰に悩む中国の顧客が取り出しロボットの導入に前向 きで、製品の受注環境は好転しているという。

中国で需要伸び盛り、あり得るM&A

小谷社長によると、日系企業の場合、実際に仕事が増えてから後 追いの形で設備投資を行うケースがほとんどだが、「中国では資本家が まず土地や工場を買い、設備を顧客に見せてから注文を取る」という。 そのため、中国や台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)は工場 立ち上げ時に同社の取り出しロボットを大量購入することが多く、中 国事業の拡大は急ピッチだ。

自動車やIT関連メーカーが集積する広州市では、生産工場の移 転などを経て、取り出しロボットの生産能力を増強。会社側の11年3 月期の中国・台湾の売上高計画は前期比2.4倍の33億円で、08年3 月期以来の水準を見込む。

08年秋の米証券大手リーマン・ブラザーズの破たんに象徴される 金融混乱以降、成形機市場が落ち込み、競合企業のウィットマンやセ プロなどの欧州勢はリストラに追われ、スター精機、ハーモ、セーラ ー万年筆などの国内勢も低迷した。小谷社長は、「国内外の同業他社に デューデリジェンス(資産査定)を行ったこともある」と述べ、これ までは社風が合わず買収には至らなかったが、売上高300億円の実現 に向け「M&Aもあり得る」と語った。

玄人はだしの日本舞踊

小谷社長は1947年1月12日生まれの64歳。02年12月の夫で創 業者の小谷進氏の死去を受け、社長に就任した。東証1部上場の1662 社の中では、1%に満たない女性社長の1人。社長席は大部屋の真ん 中にあり、普段は従業員と同じ作業着を着て勤務、敷居を作らない。

「数字が大好きで何でも数字で考える」という小谷社長は、手の ひらに収まる小さな手帳に、創業以来のロボット販売台数や収益の推 移はもとより、売掛金、支払手形、不具合件数、従業員の生年月日や 家族の氏名などを極細シャープペンでゴマ粒大の文字で書き込み、移 動中などにチェックしている。

2歳から始めた日本舞踊は師範の資格を持ち、時々舞台にも立つ。 2人の娘は共にエンジニアで、小谷高代氏はHSAシリーズ開発の陣 頭指揮をとる研究開発部の責任者。後継者問題について、小谷社長は 「世襲にした場合、周囲の新社長を見る目が違ってくる」と述べるに とどめ、新社長を支えるマネジメント層や外部協力者の資質が大事だ などとし、具体的な内容には言及しなかった。

ユーシン精株の24日終値は、前週末比0.3%高の1550円。

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