米TIPS相場、エコノミストのインフレ予想と隔たり

米国債市場では2008年以降、イン フレ連動債(TIPS)ほど良い投資先はなかった。しかし、今やト レーダーはTIPS相場が下落に向かうと予想している。消費者物価 がこれまでのTIPS値上がりを正当化するほどは上昇しないと見込 まれるためだ。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、 TIPSの過去2年間のリターンは17%と、米国債の1.9%を大幅に 上回っている。10年物TIPS利回りは、消費者物価指数(CPI) が償還までの10年間に年間平均2.18ポイントのペースで上昇すると の投資家見通しを示す水準にある。CPIは10年に1.5%上昇し、ブ ルームバーグがまとめたエコノミスト約60人の調査では今年は1.7% の上昇が見込まれている。

ドイツ銀行のプライベート・ウェルス・マネジメント部門で債券 トレーディング責任者を務めるゲーリー・ポラック氏(ニューヨーク 在勤)は「いかなるインフレともかけ離れた状況にある」とし、「労働 市場を中心に米経済には多くのたるみ(スラック)が見られる。TI PSに強気になるには時期尚早だ」と指摘した。

インフレ期待との隔たりは、TIPSがインフレ予測力を幾分か 失いつつある可能性を示唆しているのかもしれない。

米国債とTIPSの利回り格差(ブレークイーブンレート)は昨 年8月時点で147ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)だった が、TIPS需要を受けて今月242bpまで上昇。米連邦準備制度理事 会(FRB)による6000億ドル(約49兆6000億円)の米国債購入計 画がインフレ加速をあおると懸念された。

ブレークイーブンレートはCPIも一時132bp上回った。ブルー ムバーグのデータによると、同レートは1998年以降、CPIを平均43 bp下回っている。

クレディ・スイス・グループのTIPSストラテジスト、エリッ ク・バン・ノストランド氏は「インフレ・タカ派の懸念は、今後数カ 月にかなりの部分が市場から消えていくだろう」と予想した。

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