東証が新注文方法、取り消し手間軽減-見せ玉疑念防止も

東京証券取引所は、取引参加者か らの注文の取引が成立しなかった場合、残った一部の注文を自動的に 取り消すことができる新たな取引方法を導入した。注文出し手の手間 が減るほか、「見せ玉」など不公正取引への疑念も生じにくくなる。

24日から導入された注文方法は「IOC(Immediate or Cancel order)注文」で、株式や転換社債型新株予約権付社債(CB)など現 物のオークション取引を対象に、指値注文のほか成り行き注文でも利 用可能。指値注文の場合、取引参加者が指定した値段か、それより有 利な値段で注文のすべてが成立しなかった場合、残った一部未成立の 注文を取り消し手続きなしに自動的に即時失効させることが可能だ。

東証株式部・株式総務グループの増田剛統括リーダーによると、 これまで参加者は注文したすべての取引が成立しなかった場合、残っ た分について取り消し注文を出す「疑似IOC」と呼ばれる手法で、 すぐに成立しない注文が長時間「板」に残ることを防いでいたが、I OCでは1回の注文で未成立分の失効までを含む。

疑似IOCよりスピード面で有利なほか、「参加者の負担は軽減し、 利便性は高まる」とし、東証が環境整備を進める高速取引にもプラス に働くと増田氏。実際、IOC注文に対する需要は昨年1月の高速売 買システム「アローヘッド」導入後、国内外から高まっていたという。

モルガン・スタンレーMUFG証券・株式統括部の齋藤隆幸エグ ゼクティブディレクターは、これまで取り消し注文が受け付けられる 前に注文が約定してしまうケースが頻繁に発生していた、と指摘。I OC注文の利用でこうしたリスクをなくすことが可能で、「高速取引や アルゴリズム取引を行う投資家や証券会社にはもちろん、すべての投 資家に利点がある」との見方を示した。

これまで東証で可能だった条件付き注文は、午前または午後の取 引開始時に執行されることを条件とした「寄付条件付注文」、午前また は午後の終了時に執行されることを条件とした「引条件付注文」、立ち 会い終了時までは指値注文として有効で、立ち会い時に売買が成立し なかった場合に午前または午後終了時点において成り行き注文に変更 して執行する「指値できずば引成行注文(不成注文)」の3つ。

IOC注文の形態は多くの海外市場で取り入れられ、海外投資家 の認知度は高い。また、国内での電子私設取引システム(PTS)で はすでに広く採用され、「注文タイプの標準化という観点からも、日本 市場での利用ニーズは高い」と齋藤氏は言う。香港取引所では約定し なかった場合、すぐに一部あるいはすべての注文を取り消すスペシャ ル・リミット・オーダー(SLO)という注文方法を提供している。

一方、カブドットコム証券の石川陽一執行役は、「『板』にさらす ことでタイミングによっては『見せ玉』とみられることもあり、不公 正取引として疑われる懸念も軽減する」と、同注文導入のもう1つの 効果に言及した。「見せ玉」は、保有株売却などの際に買う意思のない 大量の注文を発注、株価が下がりにくい状況との誤解を他人に与える 相場操縦的行為で、金融商品取引法違反に該当する。

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