首相:「平成の開国」へ覚悟、TPPで各党と議論-施政方針

菅直人首相は24日午後の衆参両 院本会議で、就任後初めての施政方針演説を行い、貿易・投資の自由 化や人材交流の円滑化を進める「平成の開国」に覚悟を持って取り組 む決意を表明するとともに、米国などが進める「環太平洋連携協定」 (TPP)交渉への参加問題で各党と議論したい考えを示した。

首相は第一の国づくりの理念として「平成の開国」を挙げ、「自 ら新しい発想と確固たる信念で課題を解決する。その覚悟を持って取 り組む」と宣言。TPPについては「米国をはじめとする関係国と協 議を続け、6月を目途に、交渉参加について結論を出す」とあらため て強調した。

首相は各党に対し、「自民党はTPPについて、3月中に党の賛 否をはっきりさせる意向を明らかにしている。そうした各党の意見を 持ち寄り、この国会で議論を始めようではないか」と呼び掛けた。

首相は14日に断行した内閣改造で、それまで経済財政担当相を 務め、TPP交渉参加に前向きな海江田万里氏を経済産業相に任命。 施政方針でも、「平成の開国」への決意を冒頭で示すことで内閣の最 重要課題とする姿勢を鮮明にさせたことになる。

これに対し、自民党の谷垣禎一総裁は23日の定期党大会での演 説で、首相の自由貿易への姿勢について「平成の開国を唱えているが、 果たして故郷を守る農業の発展など国内対策に万全の備えができる か。とうてい信頼することができない」と批判。与党内でも「TPP を慎重に考える会」(会長・山田正彦前農水相)が結成されるなど反 対論が根強くあり、6月に結論を出せるかどうかは不透明だ。

菅首相は24日夜、官邸で記者団に対し、「今度の国会は本物の熟 議の国会にしたい。予算は年度内になんとしても成立させたい」と語 った。

農業

野村証券金融経済研究所の川崎研一主席研究員は7日付のリポ ートで、TPP交渉参加問題について「農業の所得補償などの措置の 内容によっては、農業関係者などの慎重派の反対も和らぐ可能性もあ る」と指摘する。

その上で、川崎氏はTPP参加に必要とされる農産物の輸入拡大、 規制緩和、外国人労働者の受け入れなどの問題は「いずれも国民生活 の安全性の確保に直結するところがある。国民の意向を踏まえて、最 終的には政治が判断することになろう」との見通しを示している。

24日召集された第177通常国会の会期は6月22日までの150日 間。参院で野党が多数派を占める「ねじれ国会」で、2011年度予算案 に加え、赤字国債を発行するための公債特例法案や税制改革の関連法 案を成立させることができるかが最大の焦点となっている。会期中の 4月には統一地方選挙が行われる。

社会保障・税一体改革

首相は日本の社会保障制度に関し、「制度が想定した社会経済状 況が大きく変化した今、根本的に改革する必要に直面している」と指 摘。安定的な財源を確保するため、「国民の皆さまに、ある程度の負 担をお願いすることは避けられない」と負担増は不可避との考えを示 した。

今後の社会保障・税一体改革の進め方について「今年6月までに 社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税 を含む抜本税制改革の基本方針を示す」と訴えた。

さらに、首相は自民、公明両党が社会保障や税制の抜本改革に関 する超党派協議をこれまで提唱してきたことに触れ、「問題意識と論 点の多くはすでに共有されている。与野党間で議論を始めようではな いか」と呼び掛けた。

日本銀行の金融政策については言及しなかった。デフレの問題に 関しては、演説の結びに「来年度予算と関連法案を成立させ、早期の デフレ脱却により、国民の皆さまに安心と活気を届けなければならな い」と触れただけだった。

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