【日本株週間展望】続落し1万円値固め、中国や欧州懸念-米株過熱も

1月第4週(24-28日)の日本株 相場は続落する見通し。米国を中心に世界的な景気回復期待は高まって いるが、中国の利上げ懸念や欧州債務問題など不安要素が多く、調整含 みの展開となりそう。テクニカル分析上、米国株相場の過熱感が強まっ ている点も、日本株にとっては警戒要因の1つだ。

投資顧問ヴァレックス・パートナーズの寺本義雄パートナーは、 「過去1週間で日経平均株価が当面の高値を打った、との見方が増えて きた」と指摘。9100円だった昨年11月と比べ外部環境、為替水準が大 きく変わった訳ではないが、「春節を控えた上海総合株価指数の下げを みて、日本でもいったん売っておこうという動きが出ているため、相場 の展開としては弱い」と見ている。

第3週の日経平均終値は前週末比2.1%安の1万274円52銭、T OPIXは同2.1%安の910.85。三菱UFJモルガン・スタンレー証券 の宮田直彦チーフ・テクニカルアナリストは21日付のリポートで、13 日の日経平均高値1万620円が当面の高値になるとの見方を示唆。「昨 年9月1日の安値からフィボナッチ数89営業日に当たる1月14日の前 日で、日柄的にはひとつのターニング・ポイント」と指摘した。調整入 りの場合、1万200-1万円が下値めどだという。

米国株に高値警戒感

米株式相場の過熱感の強まりは、日本株の上げを拒む一因となって いる。BGCファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、マイケ ル・パーブズ氏は、米S&P500種株価指数が2月末までに「1200ポイ ントか、これを下回る水準に下落する可能性がある」と予測する。2010 年8月末以来、ほぼ一本調子で上昇し、20日終値1280まで25%値上が りした同指数は買われ過ぎの状態で、「量的緩和という試薬により加速 した株価上昇には、典型的な景気循環による株高より、大きな下振れリ スクが伴っている」と警鐘を鳴らす。

マーケット・スタディーズ最高経営責任者(CEO)のトム・デマ ーク氏は18日、相場の高安を割り出すオシレーター系分析で、デマー ク指標として知られる自身開発の「シーケンシャル・アンド・コンボ」 では、米国株は1週間以内に有意な高値に達し、その後S&P500が少 なくとも11%下落する公算が大きいとの見方を示した。同指標がS& P500の売りシグナルを発するのは、07年半ば以降で初めて。前回は、 07年10月の史上最高値から一時57%安まで下げたとデマーク氏は言う。

欧州の銀行問題

中国経済、金融引き締めに対する懸念、米国株動向に加え、欧州の 過剰債務問題も先進国株式相場にとっては足かせだ。20日付の南ドイ ツ新聞によると、ユーロ圏各国は、ギリシャ国債保有者が自発的に 20%程度の債権放棄を受け入れないかを討議している。決定はされてい ないと同紙は伝えるが、ギリシャの債務再編報道が足元で相次ぎ、ギリ シャはもとより、南欧の高債務国のソブリン債の対ドイツ国債スプレッ ド(上乗せ利回り)は拡大した。

ゴールドマン・サックス・グループの債券責任者、アンドルー・ウ ィルソン氏は20日、ギリシャについて「金利構造に劇的な変化がない 限り、何らかの形で債務再編が行われる確率が高い」と指摘。欧州中央 銀行(ECB)が何かを考え出すか見守っている、と述べた。

スペインのサパテロ首相は21日にサルコジ仏大統領、来月3日に メルケル独首相と会談する予定。首脳同士の会談で国レベルの資金調達 の詳細を決めていく運びだが、個別金融機関の資金調達への懸念もくす ぶる。ニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり主任研究員は、「4月までにマ ーケットで調達する金融機関も多く、欧州の銀行の借り換えがうまくい くかどうかが当面の注目点」としている。

決算発表本格化

第4週は、国内企業の昨年10-12月期決算発表が週末にかけて本 格化、企業幹部の景況判断や為替前提などを探る機会となりそうだ。決 算発表を予定する主要企業は、24日にKDDI、25日に信越化学工業、 日本電産、ヤフー、27日にキヤノン、コマツ、任天堂、京セラ、28日 に新日本製鉄、富士通、花王、富士フイルムホールディングス、三井住 友フィナンシャルグループなど。

ミョウジョウ・アセットマネジメントの西範也ファンドマネジャー は、業績予想を変更する企業は少なく、驚きの少ない決算発表シーズン になるとみるが、「電子部品を含めたテクノロジー製品の足元の在庫水 準は比較的低く、かつてないほどテクノロジー株には強気」と言う。ほ かのアジアの大手企業株が高値を付ける中、日本のテクノロジー株はい まだ割安で、5月のゴールデン・ウィークまでが「投資するには一番良 い時期」と判断、株価が下げたところで買うことを検討している。

このほか注目される経済指標は、24日に1月のユーロ圏総合景気 指数、25日に11月の米S&P/ケース・シラー住宅価格指数、1月の 米消費者信頼感指数、27日に先週の米新規失業保険申請件数、28日に 米10-12月期国内総生産(GDP)がそれぞれ公表予定。また米国で は、オバマ大統領が25日に一般教書演説を行い、26日には米連邦公開 市場委員会(FOMC)の結果が判明する。日本では、24日に第177 回国会(通常国会)が召集され、菅直人首相の施政方針演説がある。

【市場関係者の見方】 ●大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所の西村由美次長

21日に為替が円安に動いたにも関わらず、輸出関連株が売られたと ころを見ると、市場参加者は目先の利益を確定するための売りを優先さ せる局面に入ってきたもよう。日経平均でオプション権利行使価格帯で ある1万250円をあっさり割り込むようだと、次の節目の1万円を意識 した展開になるだろう。一方、先行した米国に続き、国内でも決算発表 期を迎え、良好な決算を示したり、好業績観測の流れた銘柄は着実に買 われそう。FOMCの声明次第で、為替が反応する可能性がある。

●マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジスト

日経平均は直近高値を上回り、1万800円程度までの上昇を予想す る。決算発表が国内でも本格化し、足元まで上振れ傾向にある企業がど の程度通期計画を増額修正してくるかが焦点。商品市況の上昇による業 績悪影響を確認する必要はあるが、全体としては業績期待から高値を目 指すきっかけになりそうだ。荒い値動きの中国株は利上げをかなり織り 込んでおり、実際に発表されれば目先の悪材料手尽くしとなる可能性が ある。

●バークレイズ・キャピタル証券の高橋文行ストラテジスト

株価オプションのボラティリティ・インデックスは日米共に昨年後半 より低下傾向にあり、投資家心理の落ち着きが反映されている。一方、 資源価格の上昇は企業業績を圧迫する要因として顕在化するリスクがあ る。日本株市場が外需株頼りの片肺飛行から両エンジンによる正常飛行 に移行するためには、内需拡大に向けた構造改革の推進が不可欠。

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