米国債:下落、失業保険や住宅統計で景気上振れを警戒

米国債相場は下落。30年債利 回りは8カ月ぶりの高水準となった。米経済指標で、新規失業保険申 請件数の減少や、中古住宅販売の予想以上の増加が示されたことを手 掛かりに、景気回復が勢いを増しているとの観測が広がった。

10年物インフレ連動債(TIPS)の入札後には、国債相場は 下げ幅を拡大した。需要が過去の平均を下回ったことに反応した。発 行額は過去最高の130億ドル。

MFグローバルの債券部門シニアバイスプレジデント、リチャー ド・ブライアント氏は、「経済指標が予想を上回ったことと、TIP S入札が影響した」と指摘。「この組み合わせにより、国債相場は取 引レンジの下限となった。今後は成長を示す統計への注目が高まるだ ろう」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後5時8分現在、30年債利回りは前日比8ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の4.61%。一時は4.63%と、昨 年4月29日以来の高水準となった。昨年の同利回りの最高水準は4 月7日に付けた4.86%、最低水準は8月25日の3.46%。同年債 (表面利率4.25%、2040年11月償還)価格は1 5/32下げて 94 7/32。

10年債利回りは11bp上昇の3.45%。一時は3.47%と、5 日以来の高水準を付けた。2年債利回りは6bp上昇の0.63%。

2年債と30年債の利回り格差は過去最大になった。インフレ加 速のリスクに対し、投資家が高い利回りを求めていることが示唆され た。同利回り格差は一時4.02ポイントに達し、利回り曲線はブルー ムバーグが1977年にデータの記録を開始して以降で最もスティープ 化した。

ドイツ2年債と米2年債の利回り格差は一時66bpと、昨年 10月以来の最大となった。この日発表されたドイツの生産者物価指 数が7カ月ぶり高水準となり、消費者物価の伸びが加速するとの懸念 が強まった。一方、米2年債利回りは今月、低下している。米連邦公 開市場委員会(FOMC)が早期には利上げを実施しないとの見方が 背景にある。

TIPS入札

この日の10年物TIPSでは、最高落札利回りは1.170%と、 入札直前の市場予想の1.108%を上回った。前回入札(11月4日) は0.409%だった。

この日のTIPS入札の規模は、財務省が1997年にTIPS 入札を開始して以来の最大だった。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.37倍と、09年4月以 来の低水準。前回入札では2.91倍だった。過去10回の入札の平 均は2.73倍。

ドイツ銀行の金利ストラテジスト、アレックス・リー氏は「入札 は不調だった」と指摘。「発行額が過去最高の130億ドルだったこ とに関係している可能性がある。インフレは依然として歴史的レンジ の下限にとどまっており、TIPS市場ではすでに今年のインフレ上 昇を織り込んでいる」と述べた。

この日の入札では、落札全体に占める海外の中央銀行を含む間接 入札の割合が37.9%。11月の入札では57.7%と、06年以来の最 高だった。過去10回の入札の平均は44.9%。

経済指標

米労働省がこの日発表した15日に終わった1週間の新規失業保 険申請件数(季節調整済み)は前週から3万7000件減少して40 万4000件。2010年2月以来で最大の減少だった。ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は42万件だった。 失業保険の継続受給者数は減少した一方、通常の給付期間(26週) 以内に再就職できず緊急失業保険給付制度(ECU)に移行した受給 者と、ECUも使い切って延長給付を受給している受給者の合計(季 節調整前)は増加した。

三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロ ス氏は、「労働市場は悩みの種だったが、回復の兆しが見え始めてい る」と述べた。

全米不動産業者協会(NAR)が発表した昨年12月の中古住宅 販売件数(季節調整済み、年換算)は前月比12%増の528万戸と、 5月以来の高水準となった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエ コノミスト調査の予想中央値は4.1%増だった。

財務省はこの日、来週実施する入札の規模を総額990億ドルと 発表した。発行額は2年債が350億ドル、5年債は350億ドル、7 年債は290億ドル。発行額はプライマリーディーラー9社の予想平 均と一致した。

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