日銀会合、政策金利は全員が現状維持予想-年度末の追加緩和観測も

日本銀行が24、25日開く金融政策 決定会合は、有力日銀ウオッチャー15人の全員が現状維持を予想した。 ただ、今年度末に向けて急速な円高が進めば、日銀は資産買い入れ等 基金の拡大など追加緩和に踏み切るとの見方も一部に残っている。

日銀が17日発表した地域経済報告(さくらリポート)は、全9地 域中7地域が「改善の動きに一服感がみられる」などとして、昨年10 月の前回報告から判断を引き下げた。しかし、早川英男大阪支店長は 近畿地域の景気について「踊り場脱却はそう遠くない」と発言。前田 純一名古屋支店長も東海地域について「比較的早いタイミングで上向 いていく」との見通しを示すなど、明るい兆しも見られた。

門間一夫調査統計局長も19日、都内の討論会で、景気は1-3月、 少し慎重に幅をとっても年前半には踊り場から抜け出すと述べた。バ ークレイズ・キャピタル証券森田長太郎チーフストラテジストは「昨 年12月末以降発表された11月の景気循環指標で、10月が景気踊り場 のボトムだったことをほぼ確認。通常の循環回復が1-3月から始ま るという日銀支店長会議などで示された見方は妥当だ」という。

日銀は今回の決定会合で、昨年10月末に示した経済・物価情勢の 展望(展望リポート)の中間評価を行う。日興コーディアル証券の岩 下真理チーフマーケットエコノミストは「国内経済は一時的な弱さか ら、緩やかな成長経路に戻るという景気判断は、中間評価でも踏襲さ れるだろう」という。

近々政策変更はあり得ない

2010年度の実質国内総生産(GDP)成長率については、門間局 長は「恐らく3%台に乗るだろう」と述べ、過去のGDP統計が遡及 (そきゅう)改定された影響で、展望リポートのプラス2.1%という 見通し(委員の中央値)が上方修正される可能性を指摘した。11年度 については「表面的には減速する可能性が高いが、1%と2%の間く らいの成長になるだろう」と述べた。

森田氏は「米国がQE3(量的緩和第3弾)に踏み切るというこ とになると、一時的な円高進行とともに日銀による緩和の思惑が高ま りそうだが、米国でも景気の循環回復途上にあり、円高圧力も昨年の ようなことにはならないのではないか」と指摘。日銀の金融政策につ いて「景気の循環回復再開が確認され、円高リスクもすぐには高まら ない状況で、近々の政策変更はあり得ない」という。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストも「景気回復基調が 明確化する中、基本的には追加緩和の可能性は低い」とみる。ただし、 日銀には「過去に景気判断を上方修正して緩和措置を決定した実績も あり、円高と政治圧力次第という面もある」と語る。実際、日銀は昨 年3月、部分的に情勢判断を上方修正する一方で、新型オペの拡大に 踏み切っている。

4月の統一地方選前に政治圧力も

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは3月に資産 買い入れ等基金が増額される可能性があるとみる。「買い入れ開始以来 の平均的なペースを維持すれば、国債や社債等は日銀がめどとする買 い入れ開始から1年後よりもかなり早い時点で上限に達する可能性が 高い。早晩増額するのであれば、年度末の3月に決定した方が政府、 市場にアピールしやすいという配慮が働く可能性もある」という。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラ テジストは追加緩和の有無は「極論するとドル円相場次第だ」と指摘。 円相場が「1ドル=70円台に突入すれば、追加緩和を敢行する。4月 の統一地方選を前に政治圧力も強まる」とみる。

一方、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「米 QE2(量的緩和第2弾)の行方とタイミングが重なる6、7月の方 が、追加緩和の可能性は高い」とみる。米連邦準備制度理事会(FR B)は6月までに6000億ドルの国債を追加購入するが、これで打ち止 めとするのか、さらに拡大するのかで市場の見方は割れている。

CPI基準改定も不確定要素

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「米国の抱 えるバランスシート問題(過剰債務問題)は簡単には解消されない」 と指摘。失業率の高止まりやコアインフレ率の低下基調が続けば、「F RBはいずれQE2の拡大(QE2.5)、あるいは非正統的金融資産の 購入を伴う物価水準ターゲットの導入(QE3)を検討せざるを得な くなる。その際、再びドル安円高圧力が強まる」とみる。

8月の消費者物価指数(CPI)の基準改定も不確定要素の1つ。 コアCPI(除く生鮮食品)前年比は0.5%前後下方修正されるとい うのが日銀ウオッチャーのコンセンサスだ。岩下氏は「政府と一体と なってデフレ脱却を目指す状況下、CPIの下方修正で日銀に対する 追加緩和要請が強まる可能性が考えられるだろう」としている。 ============================================================= ◎利下げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2011年1-3月】クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミス ト(0-0.1%から0-0.05%へ) ============================================================= ◎利上げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2012年4-6月】信州大学真壁昭夫教授

【2012年7-9月】クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミス ト(0-0.05%から0.1%へ)

【2012年10-12月】野村証券松沢中チーフストラテジスト(0-0.1% から0.1%へ)

【2013年以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ 債券ストラテジスト、日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケ ットエコノミスト、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミ スト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン証券 の菅野雅明調査部長、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミス ト、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト、モルガン・ スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト、東海東京証 券の佐野一彦チーフストラテジスト、HSBC証券の白石誠司チーフ エコノミスト、シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト、 バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト ============================================================= 無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順)

                        11   11   11   11   12   12   12   12
                      3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末
-------------------------------------------------------------
調査機関                15   15   15   15   15   15   15   15
 中央値                0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
 最高                  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 0.25
 最低                  0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.10 0.10
-------------------------------------------------------------
三菱UFJ・MS 石井      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
日興コーディアル岩下        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
みずほ証 上野          0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東短リサーチ 加藤      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
JPモルガン証 菅野         0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
第一生命経研 熊野      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
BNPパリバ証 河野     0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
モルガン・スタンレーMUFG 佐藤  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東海東京証券 佐野   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
HSBC証 白石        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
クレディS証 白川      0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.10 0.10
信州大 真壁            0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 0.25
野村証 松沢            0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
シティG証 村嶋        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
バークレイズC証 森田      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

(注)無担保コール翌日物金利の予想の0.10%は政策金利「0-

0.1%」の現状維持を意味します。白川氏は11年1-3月に「0-

0.05%」へ引き下げ、12年後半に「0.1%前後」に引き上げ、松沢氏 は12年10月に「0.1%前後」へ引き上げを予想。アンケート回答期限 は20日午前8時。「日銀サーベイ」金利予想、経済・物価情勢、金融 政策の展望コメントを21日朝に送信しました。

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