門間日銀局長:日本経済は遅くとも年前半に踊り場を脱却へ

日本銀行の門間一夫調査統計局長 は19日午後、都内で開かれた景気討論会で、2011年の日本経済は新 興国の成長を背景に「とりあえずは明るい年になっていく」と述べた 上で、1-3月、少し慎重に幅をとっても年前半には踊り場から緩や かな回復に向かうとの見方を示した。

門間局長は昨年10-12月の実質成長率について「マイナスになっ た可能性はある程度念頭に置く必要があるように思う」としながらも、 「これは一時的な落ち込みで、1-3月については家電の駆け込み需 要の反動はあるが、暗い材料はそれくらいしかない」と述べた。

門間局長は明るい材料として、①輸出は海外経済の堅調を背景に 1-3月は明るい方向に行くのではないか②設備投資や住宅投資の緩 やかな持ち直し基調が続きそうで、個人消費も家電の駆け込み需要の 反動を除くと、冬のボーナス回復や株価の持ち直しも背景に、それほ ど悲観的に見なくてもよい③鉱工業生産は10-12月は減少したが、1 -3月は前期比プラスへの返り咲きが期待できる-と指摘した。

門間局長は10年度の実質国内総生産(GDP)成長率については、 過去のGDP統計が遡及(そきゅう)改定されたことで09年度から 10年度にかけて成長率がかさ上げされた影響により、「恐らく3%台 に乗るだろう」と指摘。11年度については「表面的には減速する可能 性が高いが、1%と2%の間くらいの成長になるだろう」と述べた。

米国はデフレのリスクも

世界経済については「2010年前半のような急回復にはならないだ ろうが、新興国経済が強いので、新興国の旺盛な需要を最大の背景と して、ある程度しっかりとした回復を続けていく可能性が高いとみて いる」と指摘。日本経済についても「緩やかな回復を続けていく年に なると予想している」と述べた。

一方、米国経済については「住宅バブル崩壊後の傷跡がまだ色濃 く残っており、家計や金融機関のバランスシート調整の傷が癒えてい るわけではない。それが住宅市場や雇用情勢、ひいては米国経済全体 の回復を遅らせるリスクがある」と指摘。構造的な問題が解消されて いないため、「どこかでまたデフレのリスクが頭をもたげていく可能 性はまだ排除はできない」と語った。

欧州については「ギリシャやアイルランド、最近はスペインあた りが注目されているが、国債の信用力をめぐる問題、またそれと関連 した銀行部門のぜい弱性が経済の重しになっており、景気の回復には 下振れリスクがある」と述べた。新興国についても「中国をはじめと して経済が伸び盛りな国が非常に多いため、逆に強過ぎて、2011年は インフレが高まるリスクがあるのではないか」と語った。

為替を通じた影響も念頭に

門間局長はその上で「世界経済に存在するさまざまなリスクがあ る。これが国際金融市場や為替市場を通じる間接的な影響を含めて日 本経済に波及してくる可能性を念頭に置きながら、とりあえずは明る い年になっていくと思う」と述べた。

日銀が17日発表した地域経済報告(さくらリポート)によると、 全9地域中7地域が「改善の動きに一服感がみられる」と報告するな ど、昨年10月の前回報告から改善ペースの一服感を指摘する地域が広 がった。一方、前田純一名古屋支店長は同日の会見で、東海地域の景 気について「後から見てみると、1-3月から上向いていたというこ とになる可能性は結構高いのではないか」と述べた。

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