【クレジット市場】Jリートの不動産投資が倍増も-調達環境の改善で

日本版不動産投資信託(Jリート) による不動産投資が今後、活発化するとの見方が浮上している。景気刺 激策として日本銀行が12月から始めたJリート買い入れなどに伴う信 用力の回復で、資金調達環境が改善してきたためだ。クレディ・スイス では2011年の投資額は1兆円規模に倍増するとみている。

メリルリンチ・ジャパン・ボンド・インデックスによると、Jリー トの日本リテールファンド投資法人と日本の主要不動産4社(三菱地所、 三井不動産、住友不動産、NTT都市開発)の社債などの国債利回りに 対する平均スプレッド(金利上乗せ幅)は09年4月の230ベーシスポ イント(1bp=0.01%)から11年1月17日には26bpに急低下した。

クレディ・スイス証券の望月政広リサーチアナリストは、日銀の買 い入れ政策を受け、Jリートによる2011年度の物件取得予想額を今年 度見込みの6000億円から1兆円へと大幅に引き上げた。資金調達環し やすくなり、物件取得が進むためとしている。この金額が実現すれば今 年度の2倍、リーマンショック前の07年度以来の高水準となる。

日銀は昨年10月、追加的な金融緩和策の一環として新設した基金 で国債、社債、上場投資信託(ETF)などと並んで、Jリートを買い 入れることを決めた。これを受けてJリートの投資口(株価に相当)自 体からも下値不安が後退し、東証REIT指数の10月以降の上昇率は 19%に達した。

資金流入

投資家は日銀に追随する動きを強めている。東証が発表した投資主 体別売買動向によると、Jリートの最大の投資家である外国人は11月、 250億円の買い越しに転じた。買い越し額としては07年11月以来、過 去3年間で最大だった。日銀は新基金でのJリートの買い入れ上限を 500億円と発表している。

CBREグローバル・リアル・エステート・セキュリティーズで25 億ドルの運用に携わるデビッド・ファン氏は、「日銀は不動産市場の活 性策としてJリートの資金調達コストを下げようとしている」と指摘。 自らも日本の不動産市場への投資機会に注目している。

Jリートの間では日銀による買い入れ発表以降、不動産取得の原資 となる投資法人債の発行が活発化している。11月は野村不動産オフィス ファンド、日本ロジスティックスファンドなどが合計229億円、12月は ユナイテッド・アーバンなどの各投資法人が合計150億円を調達した。

デフレ対策にも

ユナイテッド・アーバンが12月3日に発行した150億円の同法人 債のスプレッドは円スワップレート+88ベーシスポイント(1bp=

0.01%)と半年前の発行時の98bpから低下。Jリートでは資金調達コ ストも低下している。野村不動産レジデンシャルも初めての同法人債発 行で2月に50億円を調達する準備に入った。

動き出した日銀の政策や、投資家の関心の高まりを背景に、Jリー トを対象とする新たな投資信託の設定も相次いでいる。東京海上アセッ トマネジメントは11月に212億円、みずほ投信投資顧問は1月に177 億円とそれぞれJリートで運用する投信を設定した。

不動産取引の活発化はデフレ対策にもなる。クレディ・スイスの望 月氏は前年比で4.6%下落と2年連続で下がった公示地価(2010年1月 1日時点、全国平均、全用途)について日銀買い入れを受けて2011年の 下落率は4.3-4.5%程度に縮小する可能性があるとみている。

取引の3-5割占める

国土交通省のまとめによると、上場企業などが不動産を売却する取 引でJリートは買い手の3-5割を占めるなど主要な位置付けとなっ ている。

DIAMアセットマネジメントの佐藤紀行REIT運用グループ リーダーは、「世界の不動産投資信託の中で、政府や中央銀行の明確な 後押しを受けているのは日本だけだ」と指摘。その上で「今後の成長に 向け、投資法人債発行や増資を通じて資金調達したJリートによる物件 取得の動きが広がるだろう」とみている。

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