ECB保証「トリシェ債」も-欧州版ブレイディ構想に現実味

(8段落目以降にテーラー教授らのコメントを追加して更新します)

【記者:Simon Kennedy】

1月17日(ブルームバーグ):米シティグループで上級副会長を務 めたウィリアム・ローズ氏は1980年代後半に中南米諸国の債務再編を 助けた。それから約20年を経た現在、ユーロ圏の債務危機を同じよう な手段によって解決できるかもしれないと一部投資家が彼に話してい る。

シティの上級顧問であるローズ氏は「『ブレイディ債』を話題にし ている人々がいる。財政緊縮プロセスだけでは窮地を脱し、債務を返 済するには十分でないと感じている人々が存在する。あらゆる可能性 がある」と話す。

当時のブレイディ米財務長官の名前を取って命名されたブレイデ ィ債によって、中南米とアフリカ、アジア、東欧の17カ国は1989年 以後、債務不履行となった融資を新発債と交換することが可能になっ た。新発債の一部は米国のゼロクーポン国債を担保として発行された。

欧州連合(EU)はこれまで、1年余りにわたって金融市場を混 乱させてきた債務危機の解決が可能だと投資家を納得させることがで きないでいる。米ゴールドマン・サックス・グループと英バークレイ ズの富裕資産運用部門は、財政運営に苦しむユーロ圏諸国の債務再編 のため、ブレイディ構想のようなプログラムが必要かもしれないとの 見方を示す。

世界銀行の職員としてブレイディ構想に携わったゴールドマンの 欧州担当チーフエコノミスト、エリック・ニールセン氏(ロンドン在 勤)も「債務再編の手法を見いだせないならば、これは恐らくその一 つの手段となり得る」と指摘する。

償還延期など民間も負担

ゴールドマンの元パートナーの経験を持つニューヨーク大学スタ ーン経営大学院のロイ・スミス教授(金融学)は、古い債務を償還期 間が長く、金利の安い新しい債務と交換することによって、結局うま くいく可能性があると考えている。同教授は、ギリシャの債務を取引 可能な30年物新発債と交換する構想を提案。欧州中央銀行(ECB) のトリシェ総裁の名前を取って「トリシェ債」と命名する新発債は、 ECBが保証することを想定し、他の高債務国にも適用の拡大が可能 だとしている。

スミス教授の構想では、額面の約70%と推定される現在の市場価 格で既発債を新発債と交換することによって、30%相当の債務負担の 軽減と償還期間の30年への延長を実現する。その一方で、投資家はデ フォルト(債務不履行)を回避しつつ、取引しやすい投資手段を得る ことが可能になるとみられる。

市場は最終的に歓迎も

バークレイズ・ウェルス(ロンドン)の調査担当責任者、マイケ ル・ディックス氏は、そのような構想を政策担当者が既に念頭に置い ている可能性があるとみている。同氏はインタビューで「それはブレ イディ債と同じようなことを欧州の事情に照らして行うことになるだ ろう」と説明。「長期的な解決を目指す水平思考が必要だ。公的部門だ けでなく、債券保有者にもコストを一部負担させるために支払期日を 延長し、債務の正味現価を引き下げるような何かだ」と語った。

一方、米財務次官を務めたスタンフォード大学のジョン・テーラ ー教授(経済学)も「うまくやれば、単に将来に問題の先送りを続け るような措置よりも市場は最終的にもっと安定することになると思う」 と述べ、前向きに評価している。

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