【日本株週間展望】じり高、欧州不安後退と米景気期待-個人懐回復

1月第3週(17-21日)の日本株 相場はじり高となりそう。欧州の財政不安が後退、米国景気に対する 期待感が高まっており、海外勢のリスク資産に対する楽観姿勢は続く 見通し。相場上昇で、個人の投資余力が回復していることもプラスに 働く。ただ、テクニカル指標の一部では相場の過熱が示され、積極的 に上値を買い進みにくい状況にはある。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、「高値警戒感はあるもの の、警戒されていた欧州財務リスクは後退し、米国の経済指標は雇用 関連以外、良い内容が多い」と指摘。市場は、企業業績次第の展開に なって来ているとの見方を示す。

1月2週の日本株は、TOPIXが前週末比0.4%高の930.31で 終了、週間では2週連続の上昇だ。東証1部33業種の値上がり率ラン キングを見ると、不動産や銀行、その他金融など出遅れていた内需株 の一角が並んだ。投資家心理が回復する中、投資資金は高値圏で割安 な銘柄を探し、循環している。

投資家心理を改善させているのが、欧州財政不安の後退と米景気 回復への期待だ。欧州連合(EU)が支援に入ったギリシャとアイル ランドに続き、ポルトガルに信用不安が拡大。ポルトガル国債の10 年物利回りは7日の取引で7.1%まで跳ね上がった。7%はアイルラ ンドが支援要請を迫られた際の水準だ。しかし、12日に実施した国債 入札は順調な結果となり、その後の欧州株式相場、為替のユーロは堅 調に推移している。

米統計、雇用関連除きなお堅調

米景気動向も堅調だ。雇用統計や新規失業保険申請件数など雇用 関連指標は依然として軟調だが、製造業や消費者マインドなどその他 の経済指標はポジティブな内容が多く、遅行指標である雇用指標に悲 観せず、景気回復期待を強めている。米連邦準備制度理事会(FRB) が12日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、経済活動は 昨年12月にかけて緩やかな拡大が続いた、と指摘している。

カブドットコム証券投資情報室の河合達憲チーフストラテジスト は、「これまでの日本株を引っ張って来たのは欧米株だ。これらがピー クアウトしない限り、日本株は底堅いだろう」との見方を示唆。欧米 を中心にした外部環境の落ち着きが日本株の下支えになろう、と言う。

アップル決算に注意

こうした中、第3週は米国で大手企業の決算発表が相次ぐ。18日 にはシティグループやIBM、アップル、19日はゴールドマン・サッ クス・グループ、20日はモルガン・スタンレー、グーグル、21日はバ ンク・オブ・アメリカ(BOA)などハイテク、金融業中心に発表予 定。中でも、市場関係者の間で注目されているのがアップルだ。

いちよし投資顧問の秋野氏は、「事前の期待感から株価が大幅上昇 しているだけに、市場予想を下回るなどネガティブな内容が出れば、 波乱要因になりかねない」と指摘する。アップル株は昨年12月月初以 降9.3%高と、同期間のナスダック指数7.3%高を上回る。米株式相場 は高値圏にあるだけに、決算内容には神経質な展開になりそうだ。

海外勢は10週連続買い越し

投資家のリスク志向の動きは続いており、世界的な過剰資金によ る日本株への流入は続きそう。投資家の悲観度を映すシカゴ・オプシ ョン取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指数)は、13 日の取引で16.39。前日までの過去1年間の平均値である22.48を大 きく下回っている。東京証券取引所によると、海外投資家は1月1週 (4-7日)まで10週連続で日本株を買い越した。

個人の投資余力も上向いている。東証発表の7日時点の信用評価 損益率はマイナス6.36%と前の週から2.28ポイント改善し、マイナ ス幅は約8カ月ぶりの小ささだった。昨年10月半ばにはマイナス

19.31%まで悪化しただけに、含み損の改善が顕著。個人が主戦場のジ ャスダック指数が昨年11月から15%上げ、含み損の整理が進んだよ うだ。信用評価損益率は、信用取引で株を買った投資家の平均含み損 益を示す。

東洋証券の檜和田浩昭ストラテジストは、「個人は幅広い物色意欲 を見せている。最近の低位株の動きが続くのかどうか、見極めたい」 と指摘する。

「買われ過ぎ」水準超す騰落レシオ

もっとも、高値警戒感も依然くすぶっている。東証1部の値上が り、値下がり銘柄数の割合を示す騰落レシオは14日時点で134%。「買 われ過ぎ」の目安である120%を大きく上回る。このため、目先の利 益を確定する動きから、先行して上昇してきた大型株指数の上値は重 くなっており、株価指数を押し上げる力は乏しいのが現状だ。

東証規模別指数を見ると、TOPIXが直近安値を付けた11月2 日から今月14日までの上昇率は大型株指数が16%、中型株指数が14% にとどまるのに対し、小型株指数が21%と突出している。物色に広が りが見られるが、裏を返せば相場は手詰まり状態でもある。

ビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの藤原正邦最高経営 責任者(CEO)は、「相場は戻りいっぱい気味。日本株は11月から 上昇して買う銘柄に一巡感があるため、調整してもおかしくない。小 型株が上昇した後、大型株に循環しない可能性もありそうだ」と見る。

1月3週は、米国で住宅関連統計の発表が相次ぐ。19日は12月 の住宅着工件数、21日は12月の中古住宅販売件数など。また20日は、 中国で第4四半期の実質国内総生産(GDP)や12月の消費者物価指 数、生産者物価指数、鉱工業生産など重要指標の公表が重なる。東洋 証の檜和田氏は、「当局による金融政策に変化がないかどうか、注目し たい」と話している。

【市場関係者の見方】 ●大和証券キャピタル・マーケッツ金融証券研究所の西村由美次長

日経平均で1万500円で値固めとなった第2週と同じ動きを予想。 アップルなど米企業の決算次第では上値を試す場面もあろうが、一気 に上昇することは考えにくい。欧州に何か大きい動きがない限り、月 曜日は米国市場が休みで、週初は方向感に乏しい。予想レンジは1万 350円から1万650円。アップルやIBM、ゴールドマン・サックス などの決算に注目。

●みずほインベスターズ証券エクイティ情報部の石川照久部長

ソルベンシーマージン基準の見直しをにらみ、生損保がじわり売 りを出す中、中国などの海外勢が大手金融機関や日立、東芝、NTT のような日本を代表する銘柄を買い増しており、主力株は売り買いと なっている。売りも買いもどちらかに相場を崩そうとしている訳では なく、需要と供給がマッチしている状況だ。電気自動車向け充電器、 スマートフォン、農薬などテーマ物色が3-4日続いており、動きと しては良い。

●日興コーディアル証券国際市場分析部の河田剛部長

狭いレンジでの動きとなり、週末の日経平均は1万500円-1万 600円程度を予想。米企業の昨年10-12月決算は金融や製造業などで 佳境に入る。予想を上回る決算が相次ぐことで米国株高につながり、 景気の強さを確認して米国債も売られれば、株高や為替を通じて日本 株にとってプラスになろう。ただ、決算発表前とあって様子見ムード は強くなると想定され、上値も抑えられる。

●三菱UFJモルガン・スタンレー証券の山岸 永幸 ストラテジスト

過剰流動性による金余り状況の下、需給主導の上昇基調は続き、 いったん戻りの限界を試す展開が予想される。1999年以降の市場全体 の累積売買代金は、日経平均で1万800円辺りまでは薄く、戻り売り をこなして上げやすい。チャート上では、昨年5月のギリシャ・ショ ック時に形成された「窓」(6日安値と7日高値のすき間、1万472- 1万682円)埋めを目指す動きとなりそう。一方、為替の円高反転へ の懸念が根強いほか、米国やドイツなど一部欧州でインフレを警戒す る議論が前倒しで出てくる可能性があることには注意が必要。

--取材協力:長谷川敏郎、河野敏、鷺池秀樹、岩谷多佳子 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 常冨浩太郎 Kotaro Tsunetomi +81-3-3201-2089 ktsunetomi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 香港 Nick Gentle +852-2977-6545 ngentle2@bloomberg.net

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