IMF副専務理事:欧州問題の波及は限定的-疑念払拭されず

国際通貨基金(IMF)の篠原尚 之副専務理事は、欧州の財政危機問題の域外への波及と世界経済への 影響は限定的だとの見方を示した。同時に、欧州の財政の持続性に対 する市場の疑念は払しょくされていないとして、財政危機に対する「 包括的な」枠組みの構築と、欧州各国による財政赤字削減や失業率引 き下げなどの取り組みが重要だと強調した。

前財務官の篠原氏は13日行ったブルームバーグ・ニュースのイン タビューで、昨年のギリシャ危機は2008年のリーマン・ショックと比 べてグローバルな影響は「非常に少なかった」と指摘した。アイルラ ンドをはじめとする今回の欧州債務懸念も「欧州外へのスピルオーバ ー(波及)は限定的なものだという感じがする」と語った。

ただ、仮に欧州債務問題が拡大すれば世界経済に「それなりのダ ウンサイドのリスクがあると考えておく必要がある」と警戒感も併せ て示した。

一方、ギリシャやアイルランドの国債のスプレッドが依然として 高いことに触れ、「マーケットの間でデット(債務)のサステイナビ リティー(持続可能性)についての疑念が消えていない」と語った。 その上で、欧州の財政問題は「急速に経済成長が起きて状況が改善す るような状況ではない。まだしばらく戦いは続くと想定される」との 見方を示した。

メルケル首相発言

ユーロの対ドル相場は東京時間の午前10時56分現在、1ユーロ =1.3335ドルと昨日の1.3364ドルから下落。13日には1月4日以来 の高値となる1.3383ドルをつけていた。

ドイツのメルケル首相は12日、高債務国向けの欧州救済基金の条 件変更を同国は支持する用意があると示唆し、ソブリン債危機の緩和 に必要であればいかなる措置も講じる意向であることを強調した。

篠原氏はまた、12日に行われたポルトガル国債の入札は比較的順 調に終わったものの、「マーケットのセンチメントが急に変わったわ けではない」と指摘。支援基金の規模拡大や債務の再編問題などを含 めて、「マーケットが求めているのはもう少し包括的な債務問題に対 する枠組みを作ってほしいことだと思う」と説明した。同氏は、包括 的な対応が求められていることは「間違いないし、IMFもそれを促 している」と強調した。

日本の欧州債購入

野田佳彦財務相は11日の閣議後会見で、欧州連合(EU)がアイ ルランドなど財政危機に陥ったユーロ加盟国を救済するために設立し た欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が今月末に発行する1回 目の起債分の2割超程度を、外貨準備を活用して購入することを表明 した。

これについて篠原氏は「大変結構なこと」と評価、市場からも歓 迎されていると語った。また、EFSF債はトリプルAの格付けが付 与されて安全性がある上に、ドイツ国債に比べると理論的には利回り が高くなるとして、日本にとって「悪い話ではない」と述べた。さら に日本が保有している外貨準備のユーロ建て資産を同債の購入に充て るため、ドル売り・ユーロ買いを伴う「為替介入の類似行為」が発生 しないため、「直接的にはマーケットへの影響はない」と指摘した。

円相場については、「中期的なファンダメンタルズ(基礎的諸条 件)にほぼ沿ったレンジの中にあると考えているという、IMFの 従来のポジションは全く変わっていない」と語った。ただ、過去1年 間をみると、「レベルの話ではなく、動きとして円高があったという のは事実で、それが輸出の増加のペースを落とすという意味での影響 はあった」とし、「本来なら日本の輸出がもっと回復してもよいのが 少し抑えられた効果があった」と説明した。

中国の人民元相場については、「急激に引き上げることは望ましく ないが、もう少しペースを加速してもよいと思う」との認識を示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE