【クレジット市場】プロミスとアコムのCDS「親」の支援にらみ揺れる

企業の倒産リスクを取引するクレジ ット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、消費者金融プロミス、 アコムの保証コスト(スプレッド)が乱高下している。武富士を破綻に 追い込んだ「過払い」利息返還請求の動向をにらみながら、最近では後 ろ盾であるメガバンクの支援姿勢を受け低下傾向を示している。

CMAによると、プロミスのCDSスプレッドは昨夏まで400から 600ベーシスポイント(1bp=0.01%)で推移していたが、武富士破綻 後の10月中旬には1100bp超まで急拡大。その後は650bpから970 bpの間で不安定な動きとなっている。絶対水準が200bp程度低いア コムのスプレッドも似たような軌跡を描いている。

武富士は昨年9月に破綻した。野村証券の魚本敏宏氏は破綻で過払 い金を取り戻せなくなった多重債務者がプロミスやアコムにも請求す る傾向などが判明する「1月中旬あたり」を当面のヤマ場とみている。 昨秋まで減少傾向となっていた請求件数の増加が鮮明になれば、2社の 経営を圧迫するからだ。

CDS取引は、企業倒産などで社債償還ができなくなった際の損失 カバーを主な目的としたもので社債投資家が取引の中心。企業が破綻し 社債償還が不履行(デフォルト)となる可能性が高いとみる投資家が多 ければ、CDSスプレッドは拡大する。逆に株価は同スプレッドと反対 の動きを示し、この間の株価も同様に乱高下した。

親銀行の関与

2社の信用力が低下する中、市場の目はプロミスとアコムのそれぞ れ筆頭株主である三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJフィ ナンシャル・グループの支援姿勢に向かっている。野村の魚本氏は特に 親銀行からの出資割合が「不十分と見る向きが多いプロミス」のCDS や株価の方が、それに敏感に反応していると指摘する。

三井住友のプロミスへの出資比率は約21%。三菱UFJによるアコ ム出資は約40.1%。会計上ではプロミスは持分法適用会社。アコムは連 結子会社ですでに銀行支援の厚い状態にある。これはCDSスプレッド の絶対水準でみて、アコムの方がプロミスより低い(信用力が高い)こ とにも表れている。武富士は独立系だった。

三井住友銀行の奥正之頭取は昨年10月19日に「支える方針は変わ らない」と言及、スプレッドは7営業日で約380bpも急低下した。年 末の北山禎介社長の支援発言報道の後にも6営業日で200bp近く改善 した。三井住友FGの北山社長は①追加出資②運転資金の融資③人的支 援④業務提携強化-の選択肢があると述べている。

JPモルガン証券の辻野菜摘アナリストは、三井住友の支援の時期 や方向性について、「過払い請求のトレンドに不透明感が残る現時点で は資本注入について明言しにくい」と指摘。「少なくとも、3月まで過 払い請求の動きを注視」した上で、具体策を検討していくことになるだ ろうとみている。

「投機的」格付け

一方、アコムは親銀行の経営者の発言などが直接、材料視されたこ とはないが、CDSスプレッドや株価はプロミスと似た傾向で推移して いる。三菱UFJ広報担当の松本真也氏は、アコムについて「十分な自 己資本を持っており、自力での対応が可能」と述べ、出資比率を引き上 げる計画はないという。

企業の信用力を示す代表的な指標である格付けについては、米ムー ディーズとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がプロミスを「投 機的」等級まで格下げした。一方、アコムについては三菱東京UFJ銀 行の連結子会社であるとして関連会社のプロミスよりもやや高いトリ プルB格としている。

信用力低下でCDSスプレッドが拡大すれば、社債による調達コス ト(金利)は上昇、起債自体も左右する。アコムが昨年1月に1年7カ 月ぶりに起債した当時のスプレッドは現在の約3分の1の200bp。広 報担当の大澤正人氏は「CDSスプレッドが落ち着いてきてようやく発 行できる環境が整った」と振り返る。過去4カ月は起債していない。

悪循環の懸念

UBS証券の大槻奈那シニアアナリストは、消費者金融業の信用格 付けは、「他業種に比べて重要度が高い。いったん信用力が悪化し始め ると悪循環に陥る懸念がある」という。社債発行などによる市場からの 調達資金を融資に回すビジネスモデルだけに、過払い金返還で資金が流 出する現状での調達難は、資金繰りの悪化に直結するからだ。

消費者金融業界では、利息制限法上限(20%)を超えた「グレーゾ ーン」金利を無効とし、過払い金の返還を命じた06年1月の最高裁判 決を受け返還請求が急増。昨年6月の貸出規制強化で収益環境はさらに 悪化し、資金調達をめぐる環境も厳しさを増した。こうした中、私的整 理で再建中のアイフル以外の大手はすべて銀行傘下となった。

市場参加者はプロミスとアコムの2社に関連して武富士の再建に 向けた動きとして当面は、①顧客に昨年末送った過払利息発生の通知は がきが新たな請求行動の刺激になる可能性②2月末の債権届出期間の 終了を受けて明らかになる過払い金の総額とそれが判明するタイミン グ-などを注視しているという。

14日の株価終値はプロミスが前日比60円(9.8%)高の671円、ア コムが同115円(8.7%)高の1431円。

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