1月13日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商 品相場は次の通り。

◎外国為替:ユーロ上昇、危機抑制への取り組み強化との観測

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロが主要通貨すべてに対して 上昇。欧州連合(EU)の指導者が債務危機の封じ込めに向けた取り組 みを強化するとの観測や、スペインの国債入札で需要が好調だったこと が背景にある。

ユーロは対ドルでの買いが続き、4日間の上げとしては2009年 3月以降で最大となった。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が インフレリスクの高まりを示唆したことも、ユーロの買い材料となっ た。ドルは対円で下落。米失業保険申請件数が増加したことが手掛か り。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替ストラテジスト、マー ク・マコーミック氏は、「今週は国債入札がセンチメントを押し上げ ている。ECBからもタカ派的なメッセージが打ち出された。これら すべてがユーロにはプラスに働いている」と指摘した。

ニューヨーク時間午後4時27分現在、ユーロは対ドルで1ユー ロ=1.3354ドルと、前日の1.3131ドルから1.7%高。この4日 間の上昇率は3.6%で、09年3月23日以降で最大の上げ。対円で は1.5%上昇し、1ユーロ=110円61銭(前日109円ちょうど)。 一時110円68銭と、昨年12月20日以来の高値を付ける場面もあ った。ドルの対円相場は0.2%安の1ドル=82円82銭。

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、1ユー ロ=1.3180ドルでの「ユーロ買い・ドル売り」を推奨。当面の目 標水準を1.37ドルとしている。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル指数は一時1.3%低下の78.994と、4日以来の低水準を付け た。

失業保険申請

米労働省が発表した8日に終わった1週間の新規失業保険申請件 数(季節調整済み)は、前週から3万5000件増加して44万5000 件となった。この時期は季節調整が難しく、数字は変動が大きくなる ことが多い。より変動の少ない4週移動平均は41万6500件に増加 した。

オンラインでの為替取引を扱うGFTフォレックスの為替調査担 当ディレクター、キャシー・リーン氏(ニューヨーク在勤)は、「失 業保険申請件数は、困難な道のりが待っていることをあらためて示し ただけだ」と述べた。

スイス・フランは対ユーロで、一時1.5%安の1ユーロ=

1.2885フランと、昨年12月14日以来の安値を付ける場面があっ た。安全資産としての需要が後退した。

スペイン国債入札

スペイン政府はこの日、今年初の国債入札を実施し、30億ユー ロ(約3300億円)相当の5年物国債を発行した。需要は前回入札を 上回り、目標額の上限を調達した。応札倍率は2.1倍(前回は1.6 倍)。イタリアは償還2015年と26年の国債を60億ユーロ発行し た。

トリシェECB総裁は、インフレ抑制のために必要ならば利上げ も辞さない姿勢を示した。一方で欧州の指導者らは域内ソブリン債危 機の封じ込めに奮戦している。

トラベレックス・グローバル・ビジネス・ペイメンツの市場アナ リスト、ジョー・マニンボ氏(ワシントン在勤)は「インフレが今後 数カ月、高水準にとどまった場合、ECBは利上げせざるを得なくな るかもしれない」と指摘。「そうなれば、ユーロの投資妙味は一層高 まる」と付け加えた。

◎米国株:反落、失業保険申請の増加や中国需要に関する懸念で売り

米株式相場は反落。主要株価指数は3日ぶりに下げた。米新規失業 保険申請件数が予想を大幅に上回ったことを嫌気。中国の需要鈍化に対 する懸念が強まったことも、商品関連株の売りにつながった。

世界銀行が中国はかなりの追加利上げの余地があるとの認識を示 し、商品価格が下落したことを受けて、アルコアとコノコフィリップ スが大幅に値下がり。医薬品大手のメルクも下落し、ダウ工業株30 種平均の値下がり率トップ。同社の抗凝血剤の臨床試験は中止された。 シティグループの「トップ・ピックス・ライブ」リストから除外され たバンク・オブ・アメリカ(BOA)も安い。

S&P500種株価指数は前日比0.2%安の1283.76。前日は 2008年8月以来の高値に上昇していた。ダウ工業株30種平均は

23.54ドル(0.2%)下落の11731.90ドル。

ハイマウント・キャピタル(ニューヨーク)のケビン・バノン最 高投資責任者(CIO)は「今後も苦しい展開になるだろう」と予想。 「昨年末には米景気が明らかに峠を越したとする熱意の高まりがみら れたが、こうした熱意が一部の経済指標でやや弱まった可能性がある」 と述べた。

S&P500種は09年3月の安値から90%上昇。政府の刺激策 や企業利益が予想を上回ったことが背景にある。同指数構成銘柄の 2010年業績は、これまでに発表された3四半期すべてで市場予想を 上回った。ブルームバーグがまとめたデータによると、アナリストは 企業利益が今年は14%増加すると見込んでいる。

失業保険申請件数

米労働省がこの日発表した8日に終わった1週間の新規失業保険 申請件数(季節調整済み)は前週から3万5000件増加して44万 5000件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中 央値は41万件だった。より変動の少ない4週移動平均は41万 6500件に増加した。

このほかの米経済指標では、貿易赤字が拡大予想に反して前月と ほぼ同水準にとどまったほか、生産者物価指数は食品とエネルギーを 除いたコア指数が市場予想と一致した。

シマング・キャナル・トラストの上級投資責任者、トム・ワース 氏は、「失業保険統計が悪かった一方、貿易収支統計は良く、生産 者物価指数はどっちつかずの内容だった」と指摘。「平均すれば、こ の日の統計は中立となる。これは株式市場にとって必ずしも好材料と はならない。株価はこれまで大きく上昇した。一段と値上がりするに は実質的な景気改善が必要になる」と述べた。

商品価格は下落。ニューヨーク銅先物相場は3日ぶりに下げた。 世界最大の銅消費国である中国の成長減速で、需要が減少するとの懸 念から売られた。原油も下落したほか、金相場は通常取引終了後の時 間外取引で値下がりした。

かなりの余地

世界銀行のビィクラム・ネルー東アジア大洋州地域担当チーフエ コノミストはこの日、中国は追加利上げの余地がかなりあるとの認 識を明らかにした。世銀は前日夜に発表した世界経済見通しで、中国 の成長率が昨年の10%から今年は8.7%になると予想した。同国は 昨年12月25日に0.25ポイントの利上げを実施している。

米アルミ生産最大手のアルコアは3%安。石油大手のコノコフィ リップスは2.1%値下がり。

ヘルスケア株指数は0.5%安と、S&P500種の業種別10指 数で値下がり率2位だった。メルクは6.6%安。脳卒中になったこ とのある患者への同社の抗凝血剤を使用した臨床試験は中止された。 アナリストの間ではこの抗凝血剤は50億ドルの売り上げをもたらす 可能性があると指摘していた。

BOAが1.5%下げるなか、金融株指数も下落。シティグルー プは、短期のパフォーマンスは住宅ローン買い戻し問題により影響を 受ける可能性があるほか、今年の業績見通しに対する期待は「高過ぎ る」と指摘した。ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均で は、11年のBOAの1株当たり利益は調整後で1.47ドル。

◎米国債:3日ぶり上昇、FRBが予想以上に購入

米国債相場は3日ぶりに上昇。連邦準備制度理事会(FRB)によ る米国債購入が一部トレーダーの予想を上回ったことが好感された。 30年債入札では、最高落札利回りが昨年4月以来の高水準をつけた。

2年債と30年債の利回り格差は、過去最大に拡大した。景気 回復に伴う投資家のインフレ期待が背景にある。午後に実施された 30年債入札では、最高落札利回りが4.515%と、ブルームバーグ・ ニュースがまとめた予想平均を上回ると、米国債は上げ幅を縮小した。

RBCキャピタル・マーケッツの米国債トレーディング責任者、 トーマス・トゥッチ氏は、「米国債に買いを入れいているのはFRB だ」と述べた。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時52分現在、30年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下の4.50%。入札前の一時間で最大7 bp下げる場面もあった。30年債(表面利率4.25%、2040年11 月償還)価格は、1/2上げて95 27/32。

10年債利回りは6bp下げて3.30%、2年債利回りは2bp 低下して0.58%だった。

FRBの国債購入

FRBは、償還期限2016年7月から2017年12月までの国 債84億ドルを購入した。この日は、証券会社が差し出した米国債(計 210億ドル)のうち40.1%を購入した。過去10回の国債購入では、 平均30.6%が買い取られている。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジス ト、ケビン・フラナガン氏は、「国債購入計画は予想よりも積極的に 推移している。これが国債市場に勢いを与えている」と述べ、「市場 では、利回りが上昇すれば投資家がそれを好機ととらえている状況だ」 と説明した。

2年債と30年債の利回り格差は3.95ポイントと、過去最大に 広がった。

10年債と同年限のインフレ連動債(TIPS)の利回り格差 (ブレークイーブンレート)は、2.35ポイント。5日には2.42ポ イントまで上昇していた。昨年8月は1.47ポイントだった。

FRBのバーナンキ議長は、FRBが追加の量的緩和を決めた 昨年11月3日以降の市場金利の上昇は米経済見通しの改善を反映し ているものであるとの認識を示した。

バーナンキ議長は13日、バージニア州アーリントンで開催さ れた米連邦預金保険公社(FDIC)のフォーラムで「金利は上昇し ているが、経済に関するニュースが明るくなっていることがその主な 理由だと考えている」と述べた。また、経済に対するリスクは以前よ りも「幾分かバランスを取り戻している」としたほか、金融面での刺 激策は株式相場の上昇に貢献したとの見方を示した。

入札結果

米財務省が実施した30年債入札(発行額130億ドル)の結果 によると、最高落札利回りは4.515%と、入札直前の市場予想の

4.511%を上回った。前回入札(12月9日)は4.410%だった。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.67倍。過去10回の平 均では2.70倍となっている。

落札全体に占める海外の中央銀行を含む間接入札の割合は

37.8%。12月の入札時は49.5%だった。プライマリーディーラー 以外の直接入札の割合は12.4%。先月の入札での同割合は8.1%だ った。

◎金先物:4日続伸、ドル下落で代替投資に妙味

ニューヨーク金先物相場は過去5週間で最長の4日続伸となった。 ドルの下落で代替資産としての金投資が活気付いた。

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁がインフレリスクを指摘 し、必要とあれば利上げも辞さない姿勢を示唆すると、ドルは対ユー ロで一時、1.9%安まで売り込まれた。昨年は欧米当局が景気浮揚の ために低金利を維持し、金は年間30%値上がりした。

インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズ(シカゴ)の ヘッドディーラー、フランク・マギー氏は、「ユーロは勢いを伴って 戻しており、金も追随し始めている」と指摘。「昔からあるパターン だがしばらく見られなかったことだ。金は久しぶりに対ドルでのユー ロ相場と値動きを共にしている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 2月限は前日比1.20ドル高の1オンス=1387.00ドル。

◎原油先物:反落、失業保険統計で需要回復への期待が後退

ニューヨーク原油先物相場は反落。米失業保険の申請件数が予想 より大幅に増加したのは需要回復が遅れる兆しと受け止められ、前日 の2年3カ月ぶりの高値から下落した。

労働省の統計によると、失業保険申請件数は昨年10月以降で最 大となった。一方、エネルギー省の在庫統計では、過去2週間で石油 製品の需要が8.2%落ち込んだことが示された。

ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ (マサチューセッツ州ウィンチェスター)のマイケル・リンチ社長は、 「失業保険申請件数を受けて市場は少しばかり弱気になった」と述べ た。

8日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み) は前週から3万5000件増加して44万5000件。ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は41万件だった。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物2月限は前日 比46セント(0.50%)安の1バレル=91.40ドルで終了した。こ の1年間では15%値上がりしている。

◎欧州株:反落、ネスレとディクソンズに売り-銀行株は上昇

欧州株式相場は下落。ストックス欧州600指数は前日付けた2 年4カ月ぶり高値から反落した。スペインとイタリアの国債入札を好 感して銀行株が上げたものの、先週の米失業保険申請件数の増加幅が 予想を上回ったことから売りが優勢となった。

スイスの食品会社、ネスレは3%安。投資判断引き下げが売りを 誘った。英家電小売りのディクソンズ・リテールは10%下落。利益 が業績見通しの「下限付近」になるとの同社発表が嫌気された。ドイ ツのコメルツ銀行は増資計画をきっかけに1.2%下げた。

一方、スペインのサンタンデール銀行とビルバオ・ビスカヤ・ア ルヘンタリア銀行(BBVA)は高い。スペイン国債入札で応札倍率 が前回入札を上回ったことが買い材料となった。

ストックス欧州600指数は前日比0.6%安の284.04で終了。 欧州連合(EU)が債務危機の拡大を阻止する取り組みを強化すると の期待から、同指数は前日に2008年9月以来の高値を付けた。

センパー・コンスタンティア・プリバトバンク(ウィーン)のフ ァンドマネジャー、フィリップ・ムシル氏は、「相場は一息ついてい る」と語る。「過去2日で大幅上昇したが、こうした流れを維持でき るかは分からない。今後数日で3-5%の健全な下げがあるとみてい る」と述べた。

米労働省がこの日発表した8日に終わった1週間の新規失業保 険申請件数は、前週から3万5000件増加し44万5000件。年末年 始の休暇明けが要因で、昨年10月以来の高水準となった。

欧州中央銀行(ECB)は定例政策委員会で、主要政策金利を過 去最低の1%に据え置いた。1%は1年9カ月目となる。ブルームバ ーグ・ニュースが実施したエコノミスト調査でも、53人全員が据え 置きを予想していた。

トリシェ総裁は政策発表後の記者会見で「短期的に、総体的なイ ンフレに対する上向き圧力の兆候が見られる。主としてエネルギー価 格が原因だ。ただ、今までのところ中期的な物価動向がECBの物価 安定の定義の枠内で推移するとの当局の認識に影響を及ぼしてはいな い」と語った。

◎欧州債:ドイツ国債が下落、ECB総裁のインフレ圧力発言に反応

欧州債市場ではドイツ国債相場が下落し、同2年債利回りは1カ 月ぶりの大幅上昇となった。欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁 がユーロ圏のインフレ圧力が高まる可能性があると発言したことに反 応した。

ドイツ10年債利回りは昨年4月以来の高水準に達した。トリシ ェ総裁は政策発表後の記者会見で、「インフレに対する上向き圧力の 兆候がみられる」と述べ、「政策金利を動かさないとあらかじめ約束 することはない」と言明した。ECBはこの日の政策決定会合で政策 金利を据え置いた。

スペインを中心に高債務国の国債相場が上昇した。スペインが実 施した5年債入札で応札倍率が上昇したことが背景にある。イタリア 国債も、同国の国債入札をきっかけに上昇した。ドイツのショイブレ 財務相はこの日、欧州連合(EU)加盟国は債務危機に対する「包括 的なパッケージ」を3月までにまとめるとの見解を示した。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の債券ストラテジスト、 ピーター・チャットウェル氏は、「トリシェ総裁はインフレについて 発言しただけでなく、次の動きが利上げであり、ソブリン債危機が完 全に終結するかどうかに関係なく実施されることを指摘した」と述べ、 「こうした理由からドイツ国債が売りを浴び、短期債に大幅な調整が 入った」と説明した。

ロンドン時間午後4時27分現在、ドイツ2年債利回りは前日比 10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.09%と、 先月8日以降で最大の上げとなった。1%を突破したのは先月22日 以降で初めて。ドイツ10年債利回りはほぼ変わらずの3.05%。一 時は3.09%まで上げた。

スペイン10年債利回りは前日比11bp低下し5.37%。ドイツ 10年債に対するスプレッド(上乗せ利回り)は9bp縮小の230b p。先月9日以来の最小となる場面もあった。イタリア10年債利回 りは8bp下げ4.71%。

◎英国債:堅調、10年債利回り3.60%-中銀は金融政策を維持

英国債相場は上昇。イングランド銀行(英中央銀行)はこの日、 資産買い取りプログラムの規模を据え置くとともに、政策金利も過去 最低に維持した。決定発表後も英国債は堅調を維持した。

10年債利回りは前日比利回りは前日比5ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)低下の3.60%、2年債利回りは4bp低下 し1.31%となった。

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査でも、英中銀がこの 日の金融政策委員会(MPC)で資産買い取りプログラムの規模を 2000億ポンド(約26兆2600億円)に維持し、政策金利を0.5% に据え置くと見込まれていた。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: Akiko Nishimae 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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