ECB総裁:インフレ阻止モードに転換-危機との闘いはEUに託す

欧州中央銀行(ECB)のトリ シェ総裁は13日、インフレ抑制のために必要ならば利上げも辞さない 姿勢を示した。一方で欧州の指導者らは域内ソブリン債危機の封じ込 めに奮戦している。

トリシェ総裁は政策決定後の記者会見で、「われわれは変わるこ となく警戒を続けている。金利を動かさないとあらかじめ約束するこ とは決してしない。ECBの金利水準は物価安定を達成することを目 的として設定される」と語った。同時に、この日1%に据え置いた同 中銀の政策金利は依然「適正」との見解も表明した。

一部のユーロ圏国の財政危機で浮き足立つ金融市場を驚かせるこ となく、インフレを抑えるのがトリシェ総裁の目標だ。消費者物価イ ンフレは昨年12月に2.2%となり、2年余りで初めてECBの目安 を上回った。一方で、アイルランドやギリシャ、ポルトガルなど高債 務国は高コストでの借り入れを強いられている。

インフレ期待を示すドイツ5年債と物価連動債の利回り格差は12 日に1.5ポイントと、昨年8月の2倍を上回った。

トリシェ総裁は、「短期的に、総体的なインフレに対する上向き 圧力の兆候が見られる。主としてエネルギー価格が原因だ。ただ、今 までのところ中期的な物価動向がECBの物価安定の定義の枠内で推 移するとの当局の認識に影響を及ぼしてはいない」と語った。インフ レに対し「非常に厳密な監視が必要だ」とも言明した。

警告

ソシエテ・ジェネラルのユーロ圏担当の共同チーフエコノミスト、 ジェームズ・ニクソン氏は、「これは条件付きの警告だ。当局が現在 予想している通りにインフレが落ち着かない場合は、利上げをすると いうことだ」と語った。

今年10月に任期が切れるトリシェ総裁は最終年に、在任中最大の 難局を迎えている。域内各国の景気動向が二極化し、市場混乱がポル トガルを飲み込もうとする中で、国債購入や流動性の無制限供給とい う緊急措置の引き揚げ時期も見極める必要がある。

トリシェ総裁は、ECBの金融政策と危機対応の緊急措置は別の ものであり「連動していない」と述べた。

ECB当局者の間には、緊急措置を長く維持すればECBの使命 である物価安定が損なわれかねないとの声がある。一方、拙速な引き 揚げは市場を驚かせ高債務国の国債利回り上昇と危機悪化につながり かねない。

継続中

ECBは流動性の無制限供給は3月末まで続けるとし、トリシェ 総裁は国債購入について「継続中」と発言している。

ドイツの議員らは7日にトリシェ総裁に、ECBはインフレとの 闘いという本来の使命に立ち返るべきだとの見解を伝えた。ブルーム バーグ・ニュースがまとめた調査によると、エコノミストらはECB が今年10-12月(第4四半期)に利上げを実施すると予想している。

欧州各国の政府は金融危機を沈静化させる包括案の一部として、 ポルトガルへの支援と債券買い戻し、救済融資の金利引き下げなどを 検討していると、関係者4人が明らかにした。

トリシェ総裁はこの日、救済基金である欧州金融安定ファシリテ ィー(EFSF)について、最大限の「柔軟性」を持たせることが必 要だとし、量と質の両面での改善を各国政府に求めていると述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE