ティール氏のヘッジファンド、クラリアム:残高、絶頂期から90%減

ピーター・ティール氏は、オンラ イン決済サービスの米ペイパルやソーシャル・ネットワーキング・サー ビス(SNS)のフェースブックが多くの人々に知られる前にこれらの 企業に投資し富を築いた。創業したヘッジファンドの絶頂期の運用資産 残高は72億ドル(現在のレートで約6000億円)に上り、米住宅市場 の崩壊を予測した。一方で、顧客の投資資金は約3分の2が失われた。

複数の投資家によると、ティール氏が2002年にサンフランシスコ で創業したヘッジファンド運用会社クラリアム・キャピタル・マネジメ ントの昨年の運用成績はマイナス約23%。3年連続のマイナスとなっ た。ファンドの運用資産は約90%減少、同氏に投資した顧客の資産は ピークの08年半ばと比較して65%落ち込んだ。

ヘッジファンド・投資家向けコンサルティング会社エイジクロフ ト・パートナーズのマネジングパートナー、ドン・スタインブルッゲ氏 は「運用者が長期的な視点から見て間違っていなければ、タイミングを 逸するか、これまでのボラティリティ(変動率)をうまく制御しなくて も問題はない」と指摘する。

現時点や以前に投資していた顧客数人によると、米国がデフレに直 面する一方、ドル相場と原油相場は上昇する恐れがあるとの予想を含む ティール氏の見方はほとんどが現実となったにもかかわらず損失が出て いるのは、市場のタイミングが良くなかったこととリスク管理の不備が 反映されている。

ティール氏(43)はリスク管理を強化するとともに昨年にはニュー ヨーク事務所を閉鎖した。ティール氏の見通しについて詳しい人物によ ると、同氏は依然、現在の景気回復は持続せず、30年債は上昇すると予 想している。

独自の考えを持つティール氏は、証券取引法を専門とする弁護士と して働き、デリバティブ(金融派生商品)取引を手掛けたほかペイパル を共同で創業、ヘッジファンド運用会社を設立した。これら全てを40 歳になる前に成し遂げた。チェスの名人でもあり、ポリティカル・コレ クトネス(政治的公正)を批判する著書を共同執筆。不振にあえいでい た雑誌ナスカーを支援し、05年公開の米映画「サンキュー・スモーキ ング」ではエグゼクティブプロデューサーを務める多才ぶりだ。

運用成績

カナダの投資コンサルティング会社アイルカ・コンサルティング・ グループのタマー・カメル社長は「もし彼が典型的なヘッジファンドマ ネジャーなら、運用成績に一喜一憂しなければならないだろう。だが、 ピーターの場合はそうではない」と指摘。「彼はこれまで開発されたウ ェブサービスのうち最も成功しているもののうちの2つにしっかりと関 わっている」との見方を示す。

昨年末時点のクラリアムの運用資産は約6億8100万ドル。投資家 向け書簡によると、ヘッジファンド全般が10年ぶりの好成績を残した 09年、傘下のクラリアムLPのリターン(投資収益率)は25%低下。 08年は4.5%低下だった。

最近損失を出しているにもかかわらず、02年10月のクラリアム・ ファンド設立以降のリターンは年率12%となっている。

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