ユーロの上値重い、欧州の国債入札控え慎重姿勢-ドル・円は83円前半

東京外国為替市場では、午後の取 引にかけてユーロが上値の重い展開となった。対円では午前に一時1 ユーロ=109円15銭と、6日以来、1週間ぶりの高値を付けたあと、 108円台後半まで水準を切り下げた。

ポルトガルの国債入札を無難に通過したほか、欧州の金融危機に 備えた体制強化への期待感からユーロ買いが先行したものの、この日 はスペインとイタリアの国債入札を控えて、ユーロの上値を追う動き は限定された。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、この日 に国債の入札が予定されているスペインとイタリアに関しては、ポル トガルほど懸念が強いわけではないとしながらも、入札結果が悪かっ た場合は市場の楽観的見方に「冷や水」が浴びせられかねないと指摘。 欧州の債務懸念に対する安心感は「長く続かない」として、積極的に ユーロを買い進めにくいと説明している。

ユーロ・円相場は正午過ぎに108円69銭までユーロが軟化。午後 3時50分現在は108円79銭付近で取引されている。前日の海外市場 で一時1ユーロ=1.3145ドルと、4営業日ぶりのユーロ高値を付けて いたユーロ・ドル相場は、東京市場で1.3093ドルまでユーロが水準を 切り下げた。同時刻現在1.3093ドル付近で推移している。

一方、ドル・円相場はユーロ主導の展開となり、一時は1ドル= 83円15銭と、前日のニューヨーク時間午後遅くに付けた83円ちょう どからドル高・円安が進行。正午過ぎに82円台後半に振れたあとは 83円台を回復し、午後3時50分現在は83円09銭付近で推移してい る。

ジェルベズ氏は「基本的に米経済が回復基調にあることは間違い ない」として、かなりネガティブな材料が出ない限りは、景気の二番 底懸念は生じにくいと指摘。その上で、ドル・円相場はユーロ主導で 方向感が乏しいとしながらも、「ドルの下値を試す動きは考えにくい」 とみている。

スペインとイタリアの入札見極め

前日は市場が注目していたポルトガルの国債入札が実施され、同 国の公債管理機関IGCPによると、5億9900万ユーロ(約650億円) 規模の2020年償還債は、平均落札利回りが6.716%となった。昨年11 月10日の前回入札では6.806%だった。

ユーロ圏では引き続き、13日にスペインが最大30億ユーロの5 年債の入札を予定。イタリアも2026、15両年償還の国債で60億ユー ロの調達を計画している。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、欧州高債務国 の資金調達コストが高い状況に大きな変化はなく、「これが財政に与え る影響は相当大きい」として、長い目で見るとユーロの下落余地が再 び広がる可能性が残ると指摘している。

一方、ドイツのメルケル首相は12日にベルリンで、「われわれは 必要ないかなる手段も講じる意向であり、あらゆる点について段階を 追って協議する」とし、「ドイツはユーロの安定を維持するために必要 なあらゆる措置を取る」と述べた。

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員(経 済・通貨担当)は、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)につい て、「幾つかの選択肢」が検討されていると明らかにした。

さらに、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は12日、ロンド ンでのブリーフィングで、「欧州にとって、中国は長期的で安定した投 資家だ」として、欧州金融市場への投資は長期的なものであり、同国 はこの政策を継続するとの方針を示している。

11日には、野田佳彦財務相が会見で、「EFSF債の信認を高め るために、主要国の日本が一定割合を購入し、貢献することが妥当」 と発言。複数の政府関係者が12日までに明らかにしたところによると、 日本政府はEFSF債を継続的に購入する方針だという。

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