10年の銀行貸し出しは5年ぶり減-M3は11年ぶり高い伸び

2010年の銀行貸し出しは企業の資 金需要が低迷したことから、2005年以来5年ぶりにマイナスに転じた。 一方、企業が厚めに資金を保有する動きが続いたことから、通貨供給 量「マネーストック統計」の代表的な指標である「M3」は1999年以 来11年ぶりの高い伸びとなった。

日本銀行が12日発表した貸出・資金吸収動向等によると、10年 の銀行貸出平均残高は前年比1.9%減、銀行・信金計の貸出平均残高 は同1.8%減、貸出債権の償却や流動化など特殊要因を調整した銀行 貸出平均残高は同1.7%減と、いずれも5年ぶりに前年を下回った。

金融機構局の清水誠一金融モニタリング課長は「リーマンショッ ク後の09年前半に銀行貸し出し需要が高まったため、10年前半はそ の反動が出たことに加え、企業の資金需要が運転資金、設備資金とも に弱めに推移した」と指摘した。

一方、日銀が同時に発表した10年の通貨供給量「マネーストック 統計」によると、ゆうちょ銀行などの預貯金を加えた「M3」の平均 残高が2.1%増と11年ぶりの高い伸びになったほか、もう1つの代表 的指標である「M2」が2.8%増と02年以来8年ぶりの高い伸びとな った。広義流動性も0.8%増と前年(0.3%増)から伸びを高めた。

小早川周司経済統計課長は「企業収益が増加する一方で、企業が 手元資金を厚めに保有しようとする動きが背景にある」としている。 昨年12月の「M2」は前年同月比2.3%増加し、「M3」は同1.8%増 加。広義流動性は同0.1%増加した。

同時に発表された10年12月の銀行貸出平均残高は前年同月比

2.1%減、銀行・信金計の貸出平均残高は同1.9%減、特殊要因調整後 の銀行貸出平均残高は同1.8%減と、いずれも09年12月以来13カ月 連続で前年を下回った。

清水課長は「12月は賞与資金など季節的な資金需要が相応にあっ たが、それが銀行の貸し出し需要に結び付かなかった。その理由とし ては、企業が手元資金を厚めに保有していることがある」としている。

日銀は昨年12月7日、成長基盤強化を支援するための新貸出制度 で第2回目となる資金供給を実施。106の金融機関に対し9983億円を 貸し付けた。バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノ ミストは「日銀の各種貸出支援策にもかかわらず、銀行の貸出残高は 減少が続いている」としている。

日銀は同22日に公表した12月の金融経済月報で「企業の運転資 金需要、設備資金需要とも後退しているほか、一部にこれまで積み上 げてきた手元資金取り崩しの動きもみられている」と指摘。銀行貸し 出しについては「減少している」との判断を据え置いた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE