ユーロ買い先行、欧州懸念後退で一時1.30ドル台-ポルトガル入札注視

東京外国為替市場ではユーロが対 ドルで続伸し、一時、前週末以来となる1ユーロ=1.30ドル台を回復 した。日本政府による欧州支援や救済基金拡大への期待を背景にユー ロ買いが先行した。ただ、海外時間にポルトガルの国債入札を控えて、 警戒感も根強く、午後にかけてはユーロが上げ幅を縮める展開となっ た。

ユーロ・ドル相場は朝方につけた1ユーロ=1.2965ドルを日中安 値に一時、1.3017ドルまでユーロ高が進行。午後4時10分現在は

1.2991ドル前後となっている。

一方、ドル・円相場は朝方に1ドル=83円41銭と前日の海外市 場でつけたドル高値(83円49銭)に迫る場面が見られたが、その後 はドルがじり安となり、午後には一時、83円05銭まで値を切り下げ た。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクターの斎藤裕司氏 は、「ユーロは明るい材料が出てきているため、まだ上にいく可能性は あるが、きょうのポルトガルやあすのスペイン、イタリアの国債入札 を前に足元では伸び悩んでいる」と解説。その上で、「先週は中国が欧 州債を購入するといううわさも出ていた。きょうの入札もこれだけ注 目されていればうまく着地させるだろうし、させなければ大変なこと になる」と語った。

欧州債務懸念が一服

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員(経 済・通貨担当)は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に寄稿し、 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)について「強化され、その 活動の範囲も拡大されるべきだ」との見解を明らかにした。

一方、ドイツ紙ウェルトはユーロ圏各国が救済基金の条件変更を 検討していると報じた。同紙はEUの匿名の外交当局者を引用して、 救済基金の加盟国への融資可能額が拡大されたり、アイルランドへの 融資の金利が引き下げられる可能性があると伝えている。

前日には野田佳彦財務相が、アイルランド救済のためにEUが設 立したEFSFが今月末発行する債券の2割超程度を日本が購入する と表明。中国に続いて域内債務危機の緩和に向けた取り組みに加わっ たことが好感されたほか、欧州中央銀行(ECB)による欧州周縁国 の国債購入観測や、EU各国が4400億ユーロ規模の救済基金の拡大に ついて協議をしているとの米紙ウォールストリート・ジャーナル(W SJ)の報道も懸念の緩和につながった。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、日本が欧州へ の支援姿勢を示したことで、「心理的にはユーロを買いやすくなってい る」と指摘。三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部 為替課長の塩入稔氏は、前日の海外市場でも欧州周縁国の対独スプレ ッド(国債利回り格差)が縮んでおり、過度の欧州不安の後退を背景 にユーロは堅調地合いが続いていると話していた。

半面、ポルトガルの国債入札を控えて、市場では入札の成否を見 極めたいとの声も聞かれた。上田ハーローの山内氏は、ポルトガルの 入札を無難にこなせれば、「もう少しユーロが上がる可能性もある」と しながらも、「実際、ふたを開けてみて、入札結果が良くなかったとい うことになると、懸念が再燃しかねない」と指摘した。

こうしたなか、フィナンシャル・タイムズ・ドイツ版(FTD) は、EUの欧州委員会と欧州の救済基金が、必要になった場合に最大 1000億ユーロの信用保証をポルトガルに提供する方向で準備をして いると、複数のEU当局者の話を基に伝えている。

ユーロ・円相場は1ユーロ=108円ちょうど前後から一時、108 円36銭と前週末以来の水準までユーロ買いが進行。ただ、午後にかけ ては売りに押される格好となり、108円ちょうどを割り込む展開とな った。

ベージュブックに注目

一方、米国ではこの日、地区連銀経済報告(ベージュブック)の 公表や10年債の入札が予定されている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証の塩入氏は、ベージュブック の内容が強気の方向となれば、「米金利に影響が出るだろうし、それが 為替にも影響する」と指摘。その上で「米国自体の景気回復はかなり コンセンサスとして根付いているし、それによって為替市場ではある 程度のドル買いが引き起こされるという見方もだいぶ増えてきている。 ドルがサポートされる地合いはもう少し続きそうで、そうなるとユー ロも基本的にはまだ下の可能性の方があるという感じがする」と話し ていた。

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