トヨタ:投資圧縮など収益性重視を鮮明に-積極投資でVWが追い上げ

リーマンショック前の拡大路線を 転換したトヨタ自動車は設備投資の圧縮などコスト削減を進め、収益 性重視の姿勢を鮮明にしている。独フォルクスワーゲン(VW)は積 極的な投資で世界最大のトヨタを追い上げている。

トヨタの豊田章男社長はデトロイトの北米国際自動車ショーで現 地時間10日、「同じつくり方でも、もう少し設備投資を落とした形で、 なおかつ量が出ることにチャレンジしている」と述べた。また、「開発 投資は抑えているつもりはない」とも語った。

トヨタの新美篤志副社長は昨年12月24日、生産体制の説明会で、 設備投資を今後5年ぐらい7000億円程度にとどめる方針を表明。コス ト削減を一段と推進して生産性を向上させ、「以前やっていたことと同 じぐらいの効果を出していきたい」と話した。

具体的には、工場で車体を搬送するために使っていた天井吊りの コンベアを廃止して建物にかかる荷重を減らし、建設費用を削減する など、生産過程の地道な工夫でコストを抑制する。今後の設備投資を 従来と比べ、新美氏は「少なくとも4割ぐらい下げようということを 狙っている」という。

トヨタの設備投資は2006年3月期に1兆5288億円だったが、そ の後は減り続け、10年3月期は5790億円まで低下。今期(11年3月 期)は従来7400億円の見込みだったが、その後6700億円に修正した。

一方、欧州最大の自動車メーカーで、18年までに販売台数と収益 性でトヨタとの逆転を狙うVWは昨年11月、今後5年間に413億ユー ロを投資する計画を発表した。現在の為替レートで計算すると、今後 5年間の総投資額はトヨタに比べ1兆円程度多くなる。

急カーブで伸びた生産を戒めに

新美氏は急カーブの線が描かれた紙片を示し、「03年ぐらいから 角度が全然違う」と話した。過去20年以上にわたるトヨタの生産の伸 びのグラフで、「2度とこういうことはしないという戒め」のために持 ち歩いているという。トヨタのウェブサイトによると、03年の世界生 産は約608万台。07年までの4年間で約40%増の約853万台に急拡大 した。

リーマンショック後の不況や一連のリコール(無料の回収・修理) 問題の影響で、トヨタの世界生産は09年に約637万台に落ち込んだ。 10年はエコカー補助金の効果などで763万台を見込んでいる。11年の 計画は770万台。新美氏によると、国内での生産能力は設備面で390 万台あるが、人員減で320万台程度になっているため、70万台分の余 剰が生じているという。

「機会損失は損ではない」、「余剰能力を抱えてぶっ倒れる会社は あっても、つくれなくて倒れた会社はない」―。新美氏はトヨタ社内 に伝わるこうした教訓を紹介した上で、「どんどん市場が大きくなった ときに取りに行ったことは反省しなければならない」と述べ、「売れる のになんでつくれないといわれても間違いなく売れると分かるまでは つくらない」と新規投資には慎重に対応したいとの考えを示した。

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