【コラム】ビートルズ「レボリューション」から40年、若者よ怒れ-リン

ビートルズは1968年に発表した 「レボリューション」で、「You say you want a revolution (君らが望むのは革命かい)」と歌った。その年、学生たちは欧州全 域でデモを繰り広げ、体制への反感を爆発させた。

1968年の再来とまではいかないが、今では若者の不満が空気の中 に漂っている。各国政府が緊縮財政を実行に移すなかで、ここ数カ月 には欧州全体で怒れる若者たちのデモが相次いだ。

今の若者たちの怒りは彼らの親の世代より正当なものだ。抗議の 行動にまとまりはないものの、主張には一つ正しい点がある。つまり、 欧州の若者は損な役回りを押し付けられているということだ。

今われわれが目にしているのは、長い「世代間闘争」の始まりか もしれない。20世紀は階級闘争の時代だったが、21世紀は経済の分 け前をめぐって世代間で争う100年となるかもしれない。

抗議行動は無視できないレベルにエスカレートしている。ギリシ ャの若者たちは昨年10月、厳しい歳出削減に抗議してデモを繰り広げ た。

英国では大学の学費を3倍に引き上げる計画が暴動を引き起こし た。デモ隊は財務省に押し入ろうとしたほか、チャールズ皇太子とカ ミラ夫人の乗った車を攻撃した。

ローマでは先月、教育予算の削減に怒った若者たちが瓶や発煙弾 を投げ、路上に堆肥をぶちまけ、バリケード突破を図った。警察は催 涙弾で応酬しなければならなかった。

退職年齢

フランスの学生たちは昨年10月、退職年齢を60歳から62歳に 引き上げる政府案に反対する労働者のデモに参加した。

これらすべてを取るに足りないと切り捨てるのは簡単だ。学生た ちは多分、今が厳しい時代だということを受け入れ、卒業後に待ち受 けているであろう厳寒の雇用市場で就職戦線を勝ち抜けるよう、図書 館に戻って勉強に励むのが良いのだろう。

しかしやはり、学生たちの言い分は正しいかもしれない。彼らの 行動の根っこには不当に扱われているという思いがある。彼らの世代 は卒業と同時に、重い借金の負担を背負わされる。家を買うのは難し く、悪くすれば住宅ローンを受けることすらできないかもしれない。 雇用機会は少なく、多くの場合報酬は良くないだろう。金を稼ぎ始め るところへたどり着くまでの教育費の高さを考えるとその厳しさはな おさらだ。

80歳まで働け

欧州各国の政府は膨大な借金を積み上げている。これは現在20代 の若者たちが、高い税金を通して返していかなければならない金だ。 退職年齢は上がり続けている。今20代の世代はもしかしたら、80歳 を過ぎても働かなければならないかもしれない。親たちの世代のよう に、地中海クルーズやスペインのゴルフ場めぐりで何十年かを過ごす など論外だろう。

共通通貨ユーロを救うための緊縮財政の痛みは、中高年層よりも むしろ若年層によって負担される。なぜかというと、欧州の硬直した 労働市場では中高年を解雇することは事実上不可能だからだ。そこで 企業は新規採用をやめることで対応する。従って、若者は職を得られ ない。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)によれば、ユーロ圏 の25歳以下の層の失業率は2010年8月、平均で20%近くに上った。 スペインでは40%を超えていた。スペインではそのうち、20台前半 を失業者として過ごすのが普通になるだろう。

貧乏くじ

30歳未満の層が貧乏くじばかり引かされていることに、人々は気 付き始めた。

英国民社会調査センター(NCSR)向けのリポートは昨年、 「若年層にとっては住宅保有が困難になるほか、退職年齢をめぐる動 向が就職難をもたらし、さらに高等教育の費用が極端に高くなるとい う状況で、世代間の断層がますます鮮明になることは大いにあり得る」 と結論付けた。

しかしながら、そのような負担を若者に押し付けることが不可避 なわけではない。実は政府は故意に若年層の負担をどんどん増やして いる。人口の横ばい、または減少傾向と平均寿命の伸びは、高齢者の 増加を意味する。高齢者は選挙での投票率も高い。2005年の英国の選 挙で、25-34歳の層の投票率は48%だったが、65歳超は75%だっ た。

数が多い上に投票もするとなれば、政治家が一貫して高齢者を大 切にするのは当然だ。これを実践する結果、医療支出はそのままに、 教育予算が削られる。雇用者の既得権が守られ、新規採用が抑えられ る。

公平な方法

これらすべての相乗効果で、世の中のシステムはどんどん若い人 に不利になる。どこかにもっと公平な均衡点があるはずだ。恐らく、 労働市場に参入してくる若者を吸収するだけの職がないなら、退職年 齢を上げるべきではないだろう。教育予算を削るなら、同様に医療支 出も抑えるべきだろう。

そうしなければ、今後数年にもっと多くのガラスが割られ車が壊 されても、文句は言えない。そして、世代間闘争は長く続くだろう。 (マシュー・リン)

(リン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。こ のコラムの内容は同氏自身の見解です)

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