債券は続伸、海外金利低下や株安で先物に買い-欧州債務不安も支えに

債券相場は続伸。米国の長期金利 が雇用統計発表後に低下基調をたどったほか、ポルトガルをはじめ欧州 で債務懸念が再燃していることが材料視された。国内株相場が小幅反落 して推移する中、債券市場では先物中心に買い優勢の展開だった。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、米国で長期金利の上振れがなかったことが、国内債市場でも一定の 買い材料として意識されたと指摘。ただ、投資家が金利低下を追随して まで買っていく雰囲気はうかがえなかったとの見方も示した。

東京先物市場で中心限月の3月物は、前週末比44銭高い140円 15銭で開始。いったん140円06銭まで伸び悩んだ後に買いが膨らむ と、この日の高値となる140円27銭まで上昇した。もっとも、午後に 入るとじりじりと上値が抑えられ、取引終盤には140円の大台割れを 付ける場面もあり、結局は31銭高の140円02銭で取引を終えた。

日本の3連休中の欧米市場で金利低下や株安基調となり、とりわ け米国の長期金利が雇用統計発表後に水準を切り下げたことが、きょう の国内債市場でも買い材料視されていた。バークレイズ・キャピタル証 券の森田長太郎チーフストラテジストは、米国景気が改善方向にあるこ とはすでに織り込み済みとの見方が有力で、「米長期金利は当面3.5% が上限との意識もあって国内債にも買いが波及した」と話した。

こうした中、午前に債券先物買いが優勢となったことについて、 大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダーは 、先週後半には雇用統計発表後の米金利上振れが警戒されたため、リス ク回避のため膨らんだ先物のヘッジ売りが買い戻されたと解説した。

10日の米国債市場で米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp) 低い3.28%付近で引けて、前週に付けた直近ピークから20bp強も水 準を下げた。米雇用統計において非農業部門雇用者数は前月比10.3万 人増加となり、市場予想の同15万人程度の増加からは下振れた。

欧州の債務不安再燃も

また、今週実施のポルトガルをはじめとする南欧諸国の国債入札 への警戒感が高まるなど、欧州の債務問題再燃も材料視されていた。 10日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、ポル トガルの国債保証コストが過去最高となった。今週は12日にポルトガ ル、13日にはスペインで国債入札がそれぞれ実施される。

欧州の債務問題がきょうの国内債市場の直接的な買い材料となっ たわけではないが、前週後半からの欧米市場における株安を背景に、日 経平均株価がマイナス圏で推移したことが支えとなったもよう。バーク レイズ・キャピタル証の森田氏は、今後も欧州の債務問題については情 勢の見極めが必要だとした上で、世界的に株価の上値を抑える展開とな れば債券市場では間接的に買い材料になるとの見方を示した。

10年債利回りは1.19%

現物市場で新発10年物の312回債利回りは、7日終値より3bp 低い1.17%で始まり、午前には1.165-1.175%でのもみ合いとなっ た。ただ、午後には戻り売りが優勢となっており、3時57分現在では 1bp低下の1.19%で推移している。

312回債利回りは前週後半には3週間ぶりの1.2%台に上昇した が、年初最大の注目材料である米雇用統計を通過したことから買い安心 感が広がり、連休明けの取引では1.1%台に水準を下げた。

一方、米国では11日から3年、10年、30年債の入札が続くほか、 日本でも13日には30年利付国債(1月発行)の価格競争入札を控え ており、国内の現物市場で買いの勢いが増すには至らなかった。大和住 銀投信投資顧問の伊藤氏は、当面の312回債の推移について市場は昨 年12月のレンジである1.1-1.3%を意識していると言い、「米金利 の低下があっても投資家の買いは限定的だった」と話した。

30年債入札を前に超長期ゾーンにおける買いは鈍く、午後3時 57分現在では20年物の123回債が横ばいの1.945%となり、30年物 の33回債は1.5bp高い2.105%に上昇しての推移となった。

米国では雇用情勢を見極め

米国では雇用情勢の改善が続いていることが明らかになったが、 雇用統計発表後の米国債市場では買い優勢の展開となった。バークレイ ズ・キャピタル証の森田氏は、市場では米景気が回復基調にあることに 対して異論はないものの、失業率が十分に低下するだけの成長が持続す るのか金利市場を中心に懐疑的な見方も残ったと言う。

米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は7日の上院 予算委員会での議会証言で、今年の米経済の成長が上向いても、失業率 の低下ペースはゆっくりしたものになるとの見方を示し、FRBによる 景気刺激的な金融政策に変更がないことを示唆した。

一方、今後も米国の景気回復が市場で折に触れ材料視される可能 性も高く、その場合には米国の金利上昇や株高を通じて国内債にも売り が膨らむ場面がありそう。トヨタアセットマネジメントの深代氏は、し ばらくは米国の景気回復に関心が向かいやすい地合いだとみており、 「日本でも金利上昇時の押し目買いの意向はあっても、10年債でみて

1.1%を下回る展開は想定しづらい」とみていた。

--取材協力:池田祐美 Editors:Joji Mochida, Masaru Aoki

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