【今週の債券】長期金利は1.2%中心か、米景気の回復緩やかとの見方

今週の債券市場において長期金利 は1.2%が取引の中心となる見通し。米国では雇用統計発表を受けて 景気回復が緩やかとの見方が広がった。米景気に対する楽観見通しが 緩和することで、米長期金利の上昇や株高の勢いが鈍れば、国内の10 年債利回りは1.1%台半ばに水準を下げる場面がありそう。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、米国債市場 は昨年12月に景気回復をかなり織り込んだため、雇用統計発表後の金 利上振れは考えにくいと予想。日本の景気回復期待は米国ほどでない こともあり、「10年債利回りの1.2%での水準感が徐々に固まってくる 中、今週は投資家の買いが膨らむことも考えられる」とも話す。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で1.15%-1.27%だった。10年債利回りは昨年12月半ばに付けた

1.295%と、大納会の1.11%が当面の上限と下限になると意識されて おり、今週は取引レンジの中心である1.2%を挟む展開が見込まれる。

前週の長期金利は上昇。週初こそ1.14-1.17%でもみ合ったが、 10年債入札が実施された6日には一時1.225%まで上昇して、昨年12 月17日以来の高い水準を記録した。週末の取引も米雇用統計発表を控 えて1.2%台前半を中心とした推移が続き、結局は昨年末の大納会終 値より9ベーシスポイント(bp)高い1.20%で終了した。

米雇用統計後の金利や株価に注目

米国市場は雇用統計発表後の7日には長期金利低下、株安となり、 ニューヨーク外国為替市場ではドル売り・円買いが優勢となった。米 10年債利回りの上昇が一段落したことは、今週の国内債市場における 買い材料となる可能性が高く、みずほ証券の三浦哲也チーフマーケッ トアナリストは、年末年始に持ち高を圧縮した投資家は多く、5年債 をはじめとする中期ゾーン中心に買い需要は強そうだとみる。

米国で7日に発表された雇用統計によると、2010年12月の非農 業部門雇用者数は前月比10.3万人増加して、市場予想の同15万人程 度の増加から下振れた。一方、失業率は前月比0.4ポイント低下の

9.4%と、こちらは市場予想の9.7%より大きく改善した。

もっとも、米国では11日から3年、10年、30年債の入札が続く ほか、週末には生産や消費関連の指標発表控えるなど注目材料が目白 押し。米失業率が予想以上に低下したことを受けて、市場の景気回復 期待は根強くくすぶっているだけに、米国債の入札低調などをきっか けに日米両国で金利上昇圧力がかかることも考えられる。

日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、 今週に発表される主要指標が予想通りであれば、米景気に対する楽観 的な見方が揺らぐ公算は小さく、米10年債利回りは3%割れを目指す より3.5%超に再び売られる可能性が高いとみている。

30年債入札は無難見通し

現物市場の需給面では13日に実施される30年利付国債(1月発 行)の価格競争入札に注目が集まる。新発30年債は昨年9月に入札さ れた33回債と銘柄統合されるリオープン発行となり、表面利率(クー ポン)は2.0%に据え置かれる。発行予定額は6000億円程度。

昨年後半以降に利回り曲線がフラット(平たん)化したため、30 年債は中期や長期ゾーン対比でやや割高となっているが、生命保険会 社などの需要が期待されている。JPモルガン証券の山脇貴史チーフ 債券ストラテジストは、30年債利回りが2.05%を割り込んでくれば様 子見姿勢が強まるとしながらも、先週末の2.1%近辺であれば需要が 見込まれ、「入札を順調に通過すれば相場は安定する」と話す。

来週には5年債と20年債の入札が実施されるため、30年債の入 札を通過しても積極的な買いは入りづらいが、投資家の潜在的な需要 は旺盛との見方は有力。三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グル ープ長は、円安傾向や株価の底堅さが債券相場の上昇を抑えているが、 銀行の金余りが続く中で一方的に売られるほどの材料は見当たらず、 10年債の1.2%台では地方投資家の買いも根強いと言う。

市場参加者の予想レンジとコメント

1月7日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週の 予想レンジは以下の通り。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物139円30銭-140円30銭

新発10年債利回り=1.15%-1.25%

「10年債は1.2%を挟んでもみ合う。円安傾向や株価の底堅さが 相場上昇を抑えているが、銀行の金余りが続く中で一方的に売られる ほどの材料はない。米国でも10年債利回りが3.5%を上回っていくほ ど景気に安心感が持てる状況ではないだろう。30年債入札は2%を超 える水準では一定の投資家の需要があるため相場への影響は小さい」

◎みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリスト

先物3月物139円25銭-140円05銭

新発10年債利回り=1.16%-1.24%

「10年債利回りは1.2%中心の推移。米10年債利回りは雇用統計 に関する強気見通しが出ても3.5%を上抜けず、先週は米国債相場の 下値抵抗力が強まった感じがする。国内では短中期ゾーンがしっかり の展開であるほか、新興国における金融引き締めの影響も意識され始 める。30年債の入札は利回りが上がれば問題なくこなすとみる」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物3月物139円00銭-140円00銭

新発10年債利回り=1.16%-1.27%

「金利は安定を取り戻す。米国の長期金利が雇用統計後も上振れ なければ、国内10年債は1.2%中心の推移となる。一部の投資家から は債券残高を積む動きが出てくるのではないか。ただ、米国債入札が 鬼門になることも考えられる。3年、10年、30年債のいずれかが低調 に終われば、米金利上昇が売り材料として波及する場面がありそう」

◎JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジスト

先物3月物139円30銭-140円00銭

新発10年債利回り=1.17%-1.24%

「押し目買いが入って相場は緩やかに戻す見通し。年明け以降に は債券売りが活発化したが、投資家は買いポジション(持ち高)を取 り始めるとみる。30年債の利回り2.1%近辺であれば需要があり、入 札を順調に通過すれば相場は安定する。米国債もそろそろ反発すると みており、米長期金利は3.3-3.5%のレンジ相場入りしている」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Masaru Aoki, Joji Mochida

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