【日本株週間展望】上値余地残す、米景気が支援材料-テーマ株活況

1月第2週(11-14日)の日本株 相場は、当面の上値余地があと少し残されているようだ。米国景気の堅 調さが足元で際立ち、輸出産業が多い日本の株式市場は、世界景気敏感 株として投資魅力を増していることが背景にある。

楽天投信投資顧問の大島和隆最高経営責任者(CEO)は、「2011 年の日本株相場は勢い良くスタートしたが、その要因は米国景気の良さ を背景とした米国株高。為替相場の円高が落ち着いたことも後押しし、 相場は強い状況が続くだろう」と話している。

第1週の日経平均株価は1万541円で終了。昨年12月30日の大納 会の終値を3.1%上回り、3週ぶりに反発した。終値ベースでは昨年5 月13日以来の高値を回復した。

米国の景気は底堅い。第1週に発表された経済指標は市場予想を上 回るものが続出した。11月の製造業受注額は前月比0.7%増加し、12 月のISM非製造業総合景況指数が57.1と、2006年5月以来の高水準 となった。同指数は、50がサービス業活動の拡大と縮小の境目を示す。 また、給与明細書作成代行会社のADPがまとめた12月の民間部門雇 用者数は前月比で29万人の増加だった。

クリアビュー・エコノミクスのケン・メイランド社長は、米国の 「景況感は良くなっており、事業環境もさらに好ましくなるだろう」と 予想。こうした米経済の好調は、米国株だけでなく日本株にも好影響を 与える。また昨年と異なり、為替が企業収益にマイナスに働くとの懸念 が強くない点も、足元の好業績が素直に評価されている一因だ。

先高期待強い、目先は高値警戒も

ゴールドマン・サックス証券は6日、TOPIXの今後12カ月の 目標を1000ポイントから1050ポイントへ引き上げた。米国と世界の国 内総生産(GDP)予想を同証が上方修正したことで、従来以上に日本 企業の大幅な収益回復が期待できることが理由。同証券の米国の成長率 予測は11年3.4%、12年3.8%。

同証のキャシー松井・チーフ日本株ストラテジストはリポートで、 日本株は最近の上昇にもかかわらず、PER(株価収益率)やPBR (株価純資産倍率)は魅力的としている。TOPIXの7日終値は926 ポイント。

それでも、日経平均は11月1日に付けた直近安値9154円から 15%上昇し、高値警戒感も出ている。三菱UFJ証券投資情報部の山岸 永幸シニアストラテジストは、「米経済の良さを日経平均で1万700- 800円程度まで織り込んでいくだろう」としながらも、その後は徐々に マイナス要素に目が行き、月後半からはむしろ利益確定の売りが先行す る可能性がある」と指摘、第2週が目先のピークになると予想する。

南欧、国内政治、騰落レシオ

今は投資家の間であまり目が向いていないが、スペインなど南欧の ソブリン問題は依然くすぶり、国内の政治混迷という不安要素も抱えて いる。米国も住宅市場は低迷が続き、失業率は11月現在9.8%と高止 まり。PNCウェルス・マネジメントの主任投資ストラテジスト、ウィ リアム・ストーン氏は、米国の「雇用面では今も厳しい苦しさが続いて いる。労働市場が改善するにはしばらく時間がかかるだろう」と慎重な 見方をしている。

心理的な節目でもある日経平均の1万500円を超え、目先達成感も 高まりやすい状況だ。日経平均の月間上昇率は11月が8.0%、12月が

2.9%。高値もみ合いが続いて、日柄調整は進んだ。ただ、東証1部の 日々の値上がり、値下がり銘柄数の割合を示す騰落レシオ(25日平均) は6日現在141%と、12月9日の163%からは低下したが、依然過熱感 を示す120%を大きく超えており、警戒されるところだ。

スマートフォンなどテーマに

株価指数の上昇の勢いが落ちるなか、個別銘柄投資ならまだ満足で きる投資利益を得られる可能性がある。水戸証券投資情報部の岩崎利昭 課長は、「個人投資家はやはりテーマ性がある銘柄に反応が良く、今後 も折に触れてスマートフォン(多機能携帯端末)や電気自動車(EV) 関連の注目度が高まるだろう」と話した。

第1週には米ラスベガスで家電見本市「コンシューマー・エレクト ロニクス・ショー(CES)」が開かれ、スマートフォンやタブレット パソコンの発表が相次いだ。楽天投信の大島氏は、組み立ては台湾、部 品も多くは韓国が優位というなか、「日本では電子部品関連企業が恩恵 を受ける」との見方を示唆。こうした部品メーカーの設備投資を背景と したSPE(半導体製造装置)メーカーも含め、投資対象として注目す べきとしていた。

実際、電子部品メーカーの収益環境は好転してきた。経済産業省が 昨年12月28日に発表した11月の鉱工業指数速報によると、電子部 品・デバイス工業の製造工業生産予測指数は12月に前月比2.8%の上 昇が見込まれており、現数値は08年のリーマン・ショック前の水準を 回復する。在庫は依然増加傾向にあるが、出荷が持ち直しており、生産 調整が続いていた事業環境に日が差してきた。

このほか、トヨタ自動車や日産自動車をはじめとする「自動車株も 株価にまだ出遅れ感があり、見直し余地がある」と三菱U証の山岸氏は 言う。

第2週の主なスケジュールは、国内では12日に12月の景気ウォッ チャー調査、13日に11月の機械受注と12月の工作機械受注(速報) が発表される。ブルームバーグ調査では、機械受注は前年同月比16% の増加が見込まれており、景気改善期待が高まりそう。

米国では12日にベージュブック(地区連銀経済報告)、13日に12 月の生産者物価指数(PPI)が発表予定。欧州では13日に欧州中央 銀行(ECB)やイングランド銀行が政策委員会を開き、政策金利を公 表する。12日には11月のユーロ圏鉱工業生産が発表される予定。

【市場関係者の見方】 ●SBI証券の鈴木英之投資調査部長

「日経平均1万500円をはさんでの一進一退を予想している。製造業 や減税効果が出ている消費など、米国の景気回復は予想外に強い数字と なって表れている。為替の安定、日本株との連動性が強い米長期金利の 上昇も日本株に追い風。ただし、昨年11月からの上昇が2カ月続き、 騰落レシオも依然高水準とあって、相場は息切れ感が出やすい。10-12 月決算を見極めたいとのムードもある」

●立花証券の平野憲一執行役員

「ようやく日経平均先物12月物の特別清算指数(SQ)値である1 万420円を上抜け、節目の1万500円台も回復したことで、当面は1万 1000円を目指す力強い展開が見込まれる。為替が1ドル=83円台まで 再び円安方向に戻しており、輸出関連銘柄の動向に左右される日本株に とってポジティブ。主要輸出企業の想定為替レートが1ドル=80円で あることを勘案すると、業績上振れ期待が高まるからだ」

●コスモ証券投資情報部の清水三津雄副部長

「新高値銘柄数が増えており、相場は一休みしてもおかしくない。こ れから企業の決算発表を意識しやすい時期に入り、投資家の様子見姿勢 も強まりそうだ。全体が底上げされる相場は一服し、今後は業績予想の 上方修正期待がある銘柄を個別物色する動きになり、材料のある中小型 株などが買われるとみている」

●パインブリッジ・インベストメンツの後藤周平運用本部長

「経済指標が引き続き好転すればキャッチアップの地合いが続く。1 月の日経平均の予想レンジは1万500-1万1000円。米金利が高いう ちは円安基調が続き、日本株はそう崩れないだろう。個別の企業動向も 悪くはない。ただ、国内の政治環境はどう転んでも良い状態ではない。 首相が意外性のある行動に出れば別だが、今のシナリオのままだと大き な影響は期待できない。海外の投資家は『政治混迷』と大きく伝えられ れば、手をひっこめるかもしれない」

-- 取材協力:長谷川敏郎、河野敏、常冨浩太郎、岩谷多佳子

Editor: Shintaro Inkyo, Makiko Asai

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