ソロス氏は不信感-アイルランド支援開始直前、跳ね上がる国債保証料

アイルランド支援の融資が来週か ら実際に始まる。ただ、投資家は債務返済能力に懐疑的で、同国国債 のデフォルト(債務不履行)に備える保証料は過去最高に達している。

アイルランド政府は昨年11月、850億ユーロ(約9兆3000億 円)規模の支援受け入れを強いられた。財政再建と国内銀行への100 億ユーロ規模の資本注入などに充てる。この支援合意の中身について、 資産家ジョージ・ソロス氏は昨年12月に英紙フィナンシャル・タイ ムズ(FT)に寄稿し、同国が再協議を迫られるだろうと指摘した。 一方、レニハン財務相はデフォルトに陥れば国が「滅ぶ」としている。

NCBストックブローカーズのチーフエコノミスト、ブライア ン・デバイン氏は「銀行に対して当初の100億ユーロ以上の資本注 入をする必要がなければ、支援は実行可能だ」とした上で、「銀行救 済コストがそれ以上になれば、政府がソブリン債で再協議する必要が でてくる可能性は高くなる」と述べた。

アイルランド国債相場は同国政府が昨年11月28日に支援を確 保してから反発。欧州中央銀行(ECB)による国債買い入れも後押 しした。10年物債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッ ド)は同月30日にユーロ導入後最大の680ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)に達していたが、613bpまで縮小。ただ依然とし て過去10年間の平均の10倍の状況で、CMAによれば国債保証料 に相当するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッド はここ半年で倍余りに上昇し、過去最高の628bp。これはデフォル トの確率が40%を上回っていることを示唆するという。

F&Cネーデルラントで欧州債担当責任者を務めるミヒル・デブ ラン氏は「市場は、アイルランドが債務を再編しなければならなくな る可能性を織り込んでいるようだ」と指摘。「この可能性は排除でき ない」と語った。

支援の条件

国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)から支援を受ける見 返りに、カウエン首相率いるアイルランド現政権は歳出削減と増税、 最低賃金の引き下げで合意。銀行の優先債の保有者を守ることも約束 した。

こうした取り決めについて、1990年代に英ポンド売りを仕掛け たことで知られるソロス氏は、次期政権が守らない可能性を指摘する。 アイルランドでは3月に総選挙が実施される公算が大きく、最新の世 論調査では、与党・共和党の支持率が最大野党である統一アイルラン ド党を17ポイント下回っている。

ソロス氏は昨年12月14日のFT紙への寄稿で、次期政権は 「現在の取り決めの履行を拒むことになる」と予想。銀行優先債の保 有者保護は「政治的に受け入れられない」とも指摘し、「EUの政治 的・社会的統合をユーロが破壊する」リスクを回避するため、アイル ランドが受ける融資に対して支払う金利を下げるべきだとの見解を示 した。同金利は平均5.8%。

ソロス氏の広報を担当するマイケル・バション氏(ニューヨーク 在勤)は今月4日に電話で、ソロス氏はこの記事に関してコメントし ないと語っている。

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