【クレジット市場】商社の調達環境に好機、巨額の資金需要に備え

三菱商事が昨年末、ロンドン銀行間 取引金利(LIBOR)に対して極めて低水準の上乗せ金利(スプレッ ド)で資金調達を行った。同社を含む商社6社が今後2年間に返済を迎 える債務総額は約2兆8000億円に上るが、借り換えや新規投資など多額 の資金を要する商社業界にとって調達環境には追い風が吹いている。

三菱商は12月27日、300億円のシンジケートローン(協調融資)契 約を結んだ。三菱東京UFJ銀行とみずほコーポレート銀行が幹事行と なり20行弱の地銀が参加する。関係者によるとスプレッドは3カ月円L IBORに1ベーシスポイント(1bp=0.01%)を上乗せした水準。今 月14日に借り入れを実行し、返済期限は5年。

良好な資金調達環境は社債市場でも顕著に表れている。伊藤忠商事 が発行した14年5月満期の5年債の国債利回りに対する上乗せ金利は10 bp台と、1年前に投資家が同社債に求めていた40bp台から大幅に縮小し ている。

商社各社は資源高を背景に11年3月期業績は大幅増益を予想。財務 体質の改善も進み信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワ ップ(CDS)市場での保証コストも縮小傾向が鮮明だ。新生証券の松 本康宏アナリストは「商社が社債を発行するには絶好の機会」と語る。

実際に双日は昨年10月、5年ぶりとなる満期5年の社債100億円を 発行した。利率は0.91%と同社が発行した社債の中では最低水準。三井 物産も昨年10月、満期20年の社債100億円を発行。利率は2.015%と同年 4月に発行した同じ20年債の利率2.303%から縮小している。

外債発行広がる可能性も

一方、商社各社からは、海外市場での社債発行に目を向ける動きも 出ている。

三菱商は昨年9月、1985年以来25年ぶりとなるドル建て社債を発行 した。期間は5年で総額5億ドル。利率は2.75%。同社のトレジャラー オフィス担当者は今期からの3年間で計画する2兆-2兆5000億円の新 規投資のためにさらなる資金調達の多様化を図る必要性が出てきたと説 明。今後も定期的なドル建て社債の発行を検討していくという。

丸紅の財務部担当者は海外投資の拡大が見込まれ外貨資金の調達多 様化を図るために外債発行の可能性や是非について検討しているとコメ ント。双日の高橋徹財務部長も「外貨建て投融資が増加していく中で、 外貨調達ソースの多様化の観点から今後検討していく」という。

円で調達した資金を海外投資に充てた場合、円高が進めば外貨建て 資産は目減りし株主資本の減少を招くため、資産と負債の総合管理の面 から難点がある。貸借対照表上では為替換算調整勘定の項目に影響が出 る。三菱商では昨年3月末に比べて9月末時点で同項目が、円高進行に 伴い、株主資本の1割強に当たる4226億円のマイナス要因となった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大森麻帆クレジットアナリ ストは「商社の場合、為替の影響は収益よりも株主資本へのインパクト が大きい。外貨建ての資金調達によって財務面で為替リスクの低減を図 ることはプラス」と語る。

「海外での資金調達はリスク管理上望ましいもののコスト面を考え ると現実的には難しいところがあったと思うが、国内だけでなくグロー バルでもクレジット市場は改善しており海外での調達環境には追い風が 吹いている」。野村証券の荻野和馬クレジットアナリストはこう語り、 商社の外債発行は今後広がる可能性があるとの見方を示した。

--共同取材 東京 占部絵美、宮沢祐介 Editors:Hidekiyo Sakihama Kenzo Taniai

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