フィデリティが11年日本株読む、「金融など割安」「自動化の恩恵」

米運用会社のフィデリティ・インベ ストメント・マネジャーズのポートフォリオ・マネジャーで、「フィデ リティ・日本・アジア成長株投信」を運用するデイル・ニコルス氏は、 2011年相場に向け日本株の現状を「ほかのアジア市場と比べ、バリュエ ーションは間違いなく割安」と受け止めている。

同社が昨年12月に公表した資料によると、ニコルス氏は、日本株 への市場のセンチメントが弱いことは、「割安銘柄を物色する上では良 いタイミング」とし、バリュエーションからは特に金融、不動産セクタ ーに魅力を感じるとした。不動産株については、「多くは潤沢な安定し たキャッシュフローがあるにもかかわらず、株価はこれを過小評価して いる」という。

バリュエーションが割安に放置されている要因の1つとして、ニコ ルス氏は日本企業の配当政策を挙げた。「配当水準を引き上げる潜在能 力を持つ企業は多く、こうした企業が配当重視政策に転じれば、日本株 市場へのインパクトは計り知れない」と述べた。東証1部の配当利回り は12月末現在1.8%で、3-5%の欧州や2%前後の米国を下回る。

一方、中国などアジアでは今後、人口増加や所得増によって中間層 が拡大するため、力強い個人消費とインフラ投資需要が今後5年、10 年 と持続すると予想。「日本企業もテクノロジー、機械、自動車部品の各 セクターは中国向け輸出で恩恵を受ける」と指摘した。

フィデリティがHP上で開示する週次レポートによると、同氏が運 用する「日本・アジア成長株投信」は12月17日時点の過去1年の投資 リターンがプラス21%と、運用成績の指標であるベンチマークのMSC I ACパシフィック・インデックスの7.8%を大きく上回る。

11月末時点のポートフォリオでは日本株が31%を占め、組み入れ 上位銘柄は、ノンバンク大手オリックス、情報通信のソフトバンク、不 動産投資信託(REIT)のケネディクス不動産投資法人、そして保険 大手のMS&ADインシュアランスグループホールディングス。

工場での自動化投資、安全性がキーワード

一方、「フィデリティ・日本小型株・ファンド」の運用を担当する 檜垣慎司ポートフォリオ・マネジャーは、「日本経済は世界の景気サイ クルと連動している側面が強いため、海外経済の安定が見込まれる11 年は日本の景気にも明るさが広がる」との見方を示す。

檜垣氏によれば、10年度もしくは11年度に史上最高益を更新する と見込まれる企業は、全上場企業の約6分の1に当たる600社余り。こ れは、08年のリーマン・ショック後の世界的な経済危機に対応した「合 理化努力のたまもので、同時に魅力的な新製品の開発や新たな販売市場 の開拓、M&Aによる海外展開など、積極的な施策によって現状を打破 しようという経営戦略の成果」という。

成長分野として同氏が注目するのが、工場での自動化投資だ。特に 中国でこうした需要が急拡大している。「製品の品質維持、向上のため の機械化投資も始まっており、これにこたえる機械設備や部品は日本企 業が最も得意とする分野」でもある。

「安全性もキーワードの1つ」と檜垣氏。中国やインドなど新興国 ではモータリゼーションが加速するが、自動車関連分野で今後普及が加 速するのはシートベルトやエアバッグといった安全製品。安全製品メー カーは、新興国での自動車生産の拡大以上に売り上げを伸ばすと予想し ている。

少子高齢化で需要が伸びないと言われる国内分野でも、技術革新や ライフスタイルの変化で成長しているものもあり、「インターネットは その代表例。これをどう活用し、それにより仕事の方法や生活がどう変 わるかを考えると、まだまだ発展余地は大きい」と同氏は話していた。

「日本小型株ファンド」の月報によると、10月末の組み入れ上位銘 柄は、シートベルトなどの自動車安全部品を手がけるタカタ、医療関連 情報を提供するエムスリー、住宅関連事業を展開する積水化学工業。11 月末時点の過去1年間の投資リターンはプラス6.5%で、ベンチマーク のラッセル/ノムラ・ミッド・スモールキャップ・インデックスの4.6% を上回っている。

-- Editors:Shintaro Inkyo, Tetsuki Murotani

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