米俳優デ・ニーロ:画家だった父の遺作顕彰が「使命」-賞も新設

米ニューヨーク、マンハッタン南 部にあるビルの6階のスタジオで、天窓から差し込む光に包まれ俳優 ロバート・デ・ニーロがカメラマンに向かってほほ笑んだ。

デ・ニーロは冗談めいた口調で「チーズ」と言う。コーデュロイ のジャケットに身を包み、白髪交じりの髪が耳にかかっている。

私はこの67歳になる名優に、彼の「使命」について話してもらう ため会った。1993年に前立腺がんのため71歳で亡くなった父親のロ バート・デ・ニーロ・シニアの芸術作品を守り、世間に広めるという 使命だ。画家だった父はこの約2000平方フィート(約186平方メート ル)のスペースで芸術家として生活し働いた。ウエストブロードウェ ーにあるこのビルには、流行のブティックや画廊が入っている。息子 はこの空間を大切に維持してきた。

イーゼルの近くには青い自転車が止められ、台車の上には絵筆や 絵の具がきちんと並べられている。サロンスタイルのれんが造りの壁 にはデ・ニーロ・シニアが描いた絵画が飾られている。モチーフは花 や裸婦、洋服を着た人々などだ。

デ・ニーロは、時間が止まったようなこの部屋を17年間にわたっ て維持している。5人の子供たち、特に最も若い12-15歳の子供3人 が祖父の世界を経験できるようにと願って。

絵画は自身が共同オーナーを務めるレストランの「ノブ」や「ロ カンダ・ヴェルデ」、「トライベッカ・グリル」のほか、グリニッジ・ ホテルにも展示している。

「私は芸術の道には進まなかったが父の芸術には触れ、いつ手間 のかかる仕事に取り組んだか分かっている」と語る。

サランダー事件

デ・ニーロは最近、父親の作品の所有権をきちんと管理する取り 組みを始めた。作品を委託していたアッパー・イーストサイドの美術 品ディーラー、ローレンス・サランダー氏がそのきっかけだった。同 氏は2009年に詐欺罪で起訴され、今年収監された。

起訴状によると、サランダー・オライリー・ギャラリーズはデ・ ニーロが所有するデ・ニーロ・シニアの作品を無断で売却し代金も支 払わなかった。デ・ニーロの代理人弁護士たちは、絵画数点を取り戻 すために米破産裁判所で2年間争った。

デ・ニーロは美術顧問会社のミーガン・フォックス・ケリーとジ ェフリー・ホッフェルドを採用。両社は父親の作品を再調査し、新た な展示について美術館と交渉している。デ・ニーロが主宰する民間非 営利団体(NPO)、トライベッカ・フィルム・インスティチュートは 「中堅アーティスト」向けに父の名を冠し、毎年2万5000ドルを授与 する賞を設立した。

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