米多国籍企業、海外収益の本国送金で巧みに課税回避-年約250億ドル

12月15日にホワイトハウスを訪 れた米企業首脳らはオバマ大統領に対し、大部分が租税回避地にある 海外収益1兆ドル(約82兆円)余りを活用できるよう免税措置の導入 を要請した。

この資金には米企業が海外子会社に帰属するとしている数千億ド ルも含まれており、本国に送金すれば最高35%の税率が課されること になる。ネットワーク機器メーカー大手シスコシステムズのジョン・ チェンバース最高経営責任者(CEO)らは、税制優遇措置を導入す れば本国に大量の資金が戻り、米経済の押し上げにつながると述べて いる。

ただ誰も公言してはいないが、米多国籍企業は既にこうした課税 を逃れる合法的手段を見いだしている。これらの企業はここ何年にも わたり、幾つかの戦略を駆使して無税で資金を本国に戻している。

証券当局への提出書類によると、米製薬2位のメルクは昨年、同 業のシェリング・プラウの買収に絡んで90億ドル余りを米国の課税を 全く受けずに海外から持ち込んだ。製薬最大手のファイザーは昨年、 同業のワイス買収に伴い海外から300億ドル強を本国に送金した際、 公表した利益への課税の打撃を最小限にとどめる措置を講じた。

同業のイーライリリーによるスイスとデラウェア州での情報開示 によれば、2008年のバイオ製薬会社のイムクローン・システムズの買 収(約60億ドル)の後、外国にある資金を非課税で持ち込むための措 置を多数実行した。

南カリフォルニア大学のエドワード・クラインバード教授(法学) は、「見識のある米企業は数千億ドルの海外収益を本国に日常的に持ち 込みながら、それに対する米国の課税にはわずかしか支払っていない」 と指摘。「租税回避地に所得を移転させるために最初に膨大な資源を投 じた後、その利益をできるだけ低い税負担で米国に戻している」と述 べた。同教授によると、米企業が本国への資金送金で多様な戦略を活 用し年間約250億ドルの連邦所得税を回避しているという。

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