ドルが対円7週間ぶり安値、米金利低下で-東京最終日は81円台

2010年最終営業日の東京外国為 替市場ではドルが対円で1ドル=81円台前半へ続落し、約7週間ぶり 安値をつけた。年末で流動性に乏しいなか、米長期金利の低下を背景に ドル全面安となった海外市場の流れが続いた。

ドル・円相場は1ドル=81円台後半から一時、11月9日以来の水 準となる81円29銭までドル安・円高が進行。午後にかけては年末ム ードが広がり、81円台半ば付近で小動きの展開となった。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は ドルの下落について、年末の需給要因に加え「クリスマス休暇明けで金 利に反応しやすくなったところ、きのうの米国債の入札が好調で、ドル 売りに拍車が掛かった」と解説。「12月は金利とドル・円の相関がい ったん崩れたが、年末の需給要因が影響したためであり、1月はもっと 相関が高まるのではないかと思う」と話した。

また、ドルは対オーストラリア・ドルで一時、1豪ドル=1.0198 米ドルまで下落し、1982年7月以来の安値を記録。対スイス・フラン では過去最安値を更新した。

斎藤氏は、「ドル・円はチャート的にもちょうど84円がキャップ された形になっていたので、下げやすい環境だった。なおかつ相場が薄 いなか、需給面と金利面でもドル売り要因があったので、81円台前半 まで下げたが、年始からはまた別のテーマ探しになるだろう。まずは米 雇用統計が注目だ」と語った。

ユーロ・ドル相場も1ユーロ=1.31ドル台前半からドル安が進ん だ海外市場の流れを引き継ぎ、一時、2営業日ぶりのドル安水準となる

1.3260ドルをつけた。

米雇用統計

米国ではこの日、12月のシカゴ購買部協会景況指数や先週分の新 規失業保険申請件数が発表される。また、年明け第1週には12月の米 供給管理協会(ISM)景況指数や雇用統計といった重要指標の発表が 予定されている。

クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通貨ストラ テジストは、「ヤマ場は米雇用統計で、それまではなかなか決め打ちす るのが難しい」とした上で、「米指標がしっかりで株も堅調、米金利も 上昇ならドルは底堅いだろう。リスクオン(選好)なら円も弱いはずな ので、少なくともドル・円は堅いと思う」と語った。

一方、日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト 、松本圭史氏は、「ドル・円はバッファーが下がってきており、年明け ISM指数や雇用統計が下振れるようだと、80円割れまであと1円ち ょっとしかないので、その辺は気をつけたい」と指摘。「年明けの円高 リスクが気になる」と話していた。

円高リスク

29日の米国市場では米7年債入札で落札全体に占める海外の中央 銀行を含む間接入札の割合が2009年6月以来の最高となったことが好 感され、米国債相場が上昇。米長期金利の低下を背景に外国為替市場で はドル安が進んだ。

対ドルで円高が進むなか、ユーロ・円相場もこの日の東京市場で1 ユーロ=108円ちょうど付近から一時、107円61銭と9月14日以来 の高値まで円が上昇する場面が見られた。

日興コーディアル証の松本氏は、米指標の下振れに加え、来月の米 中会談を前に「人民元の切り上げや一段の柔軟化といった観測が出てし まうと、それも円高を助長してしまう可能性がある」と指摘している。

中国人民元は30日、対ドルで1993年末以来の高値へ上昇。中国 人民銀行(中央銀行)がインフレ抑制に向け、一段の元高を来年容認す るとの観測が背景にある。

円最高値に迫り、6年ぶり介入-2010年

2010年の外為市場は11月に円が対ドルで戦後最高値まであと50 銭程度に迫るなど、円高が進んだ1年だった。

93円付近で10年を迎えたドル・円相場はギリシャの財政不安や 米国の早期利上げ観測の後退、中国の金融引き締め観測などを背景に3 月にかけ88円台まで円高が進行。日本銀行は同月の会合で新型オペ (公開市場操作)の増額を決め、円は5月にかけ、いったん95円ちょ うど近辺まで反落した。

しかし、欧州債務懸念など世界景気の先行き懸念から株安が進むな か、円は再びじりじりと上昇。6月以降は米国の追加金融緩和観測を背 景にドル安の流れが強まり、9月には円が約15年ぶりに82円台へ突 入したのを受け、政府・日銀が6年半ぶりの円売り介入に踏み切った。

介入により円はいったん86円付近まで反落。10月には日銀が資 産買い入れ基金の創設などを含む包括的な金融緩和策も発表したが、 「通貨安競争」への批判が高まるなか、介入効果は長続きせず、11月 1日には80円22銭と戦後最高値(79円75銭)を記録した1995年 4月以来の水準まで円高が進んだ。

その後、米連邦準備制度理事会(FRB)は11月の米連邦公開市 場委員会(FOMC)で6000億ドルの国債を来年6月にかけて追加購 入する方針を発表。材料出尽くし感が広がるなか、アイルランドなど欧 州債務懸念の再燃もあり、ドルは上昇に転じた。また、12月にはオバ マ米大統領がブッシュ減税の延長で同意し、米国の景気回復期待や財政 悪化懸念を背景に米長期金利が一段と上昇。日米金利差拡大期待からド ル・円は84円半ばまで戻したが、年末にかけては再びドル安・円高が じわじわと進み、東京市場のドル・円は81円台で越年しようとしてい る。

ブルームバーグ・データによると、ドルは主要16通貨中12通貨 に対して年初から下落している。最大の上げとなったのは円で約14% 上昇。これにオーストラリア・ドルの約13%高が続く。一方、ユーロ はドルに対して年初来7%強下落し、対円では19%値下がりしている。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE