【コラム】ウォール街の今年の「7つの大罪」発表-S・アンティラ

今年は元シティグループ会長のサ ンディ・ワイル氏が米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事で、 強欲、世間知らずと呼ばれるのに耐えられないと訴えた話題で幕を開 けた。シティが血税450億ドル(約3兆7000億円)を使って救済され た数週後に社用機でメキシコにバケーションに行ったことへの批判に 対して心情を吐露したものだった。

そして、年金に絡む賄賂の捜査で620万ドルを支払うことで米証 券取引委員会(SEC)と和解したばかりの投資家スティーブン・ラ トナー氏が、関連疑惑で同氏を訴えたニューヨーク州司法長官の「い じめ」に屈しないと息巻いた言葉で幕を閉じた。

金融業界は今年も、愚かで薄汚れた恥知らずの自己中心主義のエ ピソードに事欠かなかったが、7つの大罪(キリスト教で人間を罪に 導く最も悪しき欲望や感情)で今年のランキングトップを飾るのは次 の人々だろう。

――「憤怒の罪」大賞。米モルガン・スタンレーの元ファイナンシャ ルアドバイザー、ジェイ・コーフ氏は自分が支払う離婚手当の額を増 やした裁判所の判断が不満だった。今年7月に検察は、同氏が2007- 10年にかけての3年以上にわたり、裁判官に対し嫌がらせや脅迫を繰 り返していたとして摘発した。判事の電話に異様なメッセージを残し たり、コンピューターに侵入してアドレス帳を盗み見して悪意あるメ ールを判事の知人に送ったりしたという。同氏はこれらストーカー行 為について無罪を主張した。

スーパーボウル

――「強欲の罪」大賞。元パーク・アベニュー銀行頭取のチャールズ・ アントヌッチ氏は2008年に、米政府の問題資産購入計画(TARP) の対象となるために、個人資金650万ドルを自行に投資したと虚偽の 申告をし、1100万ドルの支援を申請した。その実、自宅の改修費用を 銀行に付け回したり、社用機でスーパーボウルやゴルフのマスターズ などのスポーツ観戦に出かけたりとやりたい放題。今年10月11日に、 当局への虚偽申告と背任・横領で有罪を認めた。検察によれば、TA RP資金をだまし取ろうとして有罪になったのは同氏が最初だった。

――「怠惰の罪」大賞。フォーチュン誌の企業番付のトップ500社で、 取締役会に女性のいない60社。調査会社カタリストが12月に発表し たデータは、女性の地位向上と活用強化に向けた米企業の怠惰を浮き 彫りにした。

――「傲慢の罪」大賞。売春あっせんで4カ月服役した「マンハッタ ン・マダム」のクリスティン・デービス氏。自身のウェブサイトによ れば、某ヘッジファンドのバイスプレジデントだったという経歴を持 ち、売春あっせんの顧客にはエリオット・スピッツァー・ニューヨー ク州知事(当時)もいた。デービス氏は2万3000人の署名を集めて 2010年の知事選に出馬する資格を得た。自身の「失敗」については「私 が関心あるのは、あなたが失敗したかどうかでなく、その失敗に納得 しているかどうかだ」というリンカーン元米大統領の言葉を引用する。 納得して知事選出馬を辞退してくれることを願おう。

精液

――「淫欲の罪」大賞。ノースウェスタン・ミューチュアル・インベス トメント・サービシズのフィールドディレクターだったマイケル・ラ ラナ氏は、女性の同僚の水ボトルに自身の精液を入れた容疑で逮捕さ れた。「公共の場に好ましくない物質を放出した罪」などについて9月 に無罪を主張した。

――「嫉妬の罪」大賞。投資会社TCWグループとその最高投資責任 者(CIO)だったジェフリー・ガンドラック氏。TCWは1月に、 ガンドラック氏が同社の情報を盗み自身が設立したダブルライン・キ ャピタルで利用したとして同氏を訴えた。同氏は報酬などの支払いを 回避するためTCWが同氏を解雇したとして反訴。TCWとダブルラ インはこの争いが基で、現在ともに司法省の捜査を受けている。

――「大食の罪」大賞。元ファンドマネジャーのマーカス・シュレン カー氏は、当局が捜査を開始したと知ると飛行機事故を装った。900 平方メートル以上の豪邸に住み自家用機を所有。今は別居しているが 妻に贈ったダイヤモンドは30個を超える。10月に詐欺で禁固10年の 判決を受けた際の言葉は強欲な人を代弁したと言える。「資産が私を支 配していた」という言い草は、2010年のウォール街のなさけない状況 を的確に表現しており、名言大賞に値する。 (スーザン・アンティラ)

(スーザン・アンティラ氏はブルームバーグ・ニュースのコラム ニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です))

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