来年度予算、債務削減も景気浮揚効果も乏しく-しんきんアセットなど

来年度予算案では、日本の公的 債務残高の削減にほとんど寄与しない一方、景気回復の政府公約実現も 難しい可能性があると、しんきんアセットマネジメント投信は指摘して いる。

2011年度一般会計予算案は過去最大の92兆4116億円。菅直人 首相は、新規国債発行額を44兆2980億円に抑制したものの、税収不 足を補てんするため7兆円規模の税外収入を確保した。

菅政権は、国内総生産(GDP)の2倍近くに達している公的債 務の削減に乗り出す一方、デフレと円高で疲弊した経済を下支えるとと もに、高齢化社会や子ども手当ての増額などにより社会保障費の拡充に 努めようとした。

しかし、しんきんアセットの宮嵜浩チーフエコノミストは、来年度 予算案について、「財政再建が進むようなことでもないし、景気浮揚効 果も考えにくい。景気全体への影響はない」と指摘する。

政策効果のはく落や円高の影響で、日本のGDPは10-12月期 にマイナス成長が見込まれている。政府は22日午後の臨時閣議で、11 年度の経済成長率について、物価変動の影響を除いた実質でプラス

1.5%程度とする経済見通しを了承したが、10年度見通しの3.1%程 度を下回る。

住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、「10年 債利回りが1%を割れば、今のような日本の財政状態でもリスク・プレ ミアムが付かないことを意味する」と指摘。「われわれのようなドメス ティックな投資家から見ても魅力がない」と話す。

投資家の懸念

税収が伸びない中で、公的債務を削減しようとする政府の財政健全 化公約に対し、投資家の懸念が高まる可能性があるとクレディ・スイ ス・グループは指摘する。税収増に向けた増税は、内閣支持率の低下に つながるリスクがあるため実現性が低いうえに、円高やデフレの中 、内需喚起に向けた政府の取り組みに水を差す恐れがある。

クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは、今回の 予算編成はどうにも見当たらないパズルのピースを他のところから持っ てきて何とか取り繕ったようなものだと指摘し、「このやり方は来年は 不可能」と指摘。「財政運営戦略が中倒れに終わる可能性は相当高い。 日本の財政が改善しているとはとても言えない状態だ」と述べた。

一方、第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは「これ だけの非常に大きな債務と低い税制を考えれば、増税の必要性は明らか だ」と指摘し、「一番大きな障害は政治的リーダーシップの欠如」との 見方を示した。

「消費税引き上げが必要」

また、JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストも 「11年度計画では無理やり国債発行を減らしていたが、12年度の発行 計画は難しくなるだろう。消費税引き上げなどを本格的に議論する必要 があると思う」と指摘している。

来年度予算案は当初予算としては2年連続で新規国債発行が税収 (41兆円弱)を上回る。日本の税収は1990年のピークの60.1兆円か ら約3分の1縮小した。

政府は6月に決定した「財政運営戦略」で、基礎的財政収支(プ ライマリー・バランス)を20年度までに黒字化することを目標とする と明記。「中期財政フレーム」では、11年度から13年度までの3年 間、新規国債発行額を44.3兆円以下とする方針を打ち出している。

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