円が対ユーロで反落、中国利上げも買い続かず-午後は対ドルで上昇

東京外国為替市場では円が対ユ ーロで一時、今月1日以来の高値を更新した後、下げに転じた。中国が 先週末に利上げを発表したのを受け、世界景気の先行き懸念からリスク 回避の円買い・ユーロ売りが先行。しかし、その後は日本株や中国株が 上昇して始まったこともあり、ユーロが買い戻される展開となった。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、中国の利上げに ついて、「いったん反応はしたものの、0.25%ぐらいだとそれほど影 響はないということで下がったところは押し目買いでクロス円が拾われ ている(対ドル以外の通貨での円の戻り売り)感じだ」と指摘する。

一方、午後の取引で円が対ドルで今月7日以来、約3週間ぶり高値 となる1ドル=82円66銭まで上昇した。山内氏は、マーケットが薄 く、他に材料がないなかで、問題資産購入計画(TARP)で支援を受 けた米銀が経営危機の兆候を示しているとの米紙ウォールストリート・ ジャーナル(WSJ)の報道を受けてややドルが売られやすくなってい る感があると説明。ただ、「積極的に仕掛けるという感じはなく、まだ ポジション調整の域を抜けていない」と指摘している。

午後4時31分現在のユーロ・円相場は1ユーロ=108円84銭前 後。朝方には一時、108円43銭と今月1日につけた円高値(108円42 銭)に迫る場面が見られた。同時刻現在のドル・円相場は82円72銭 前後で取引されている。

中国利上げ

中国の温家宝首相は26日、中国政府はインフレとインフレ期待を 抑制できると自信を持っていると語った。中国国営の新華社通信がラジ オ・インタビューでの発言として伝えた。

中国人民銀行(中央銀行)は25日、インフレ加速に対応するため、 10月以来約2カ月ぶりに利上げを実施すると発表。利上げは10月以 来約2カ月ぶりで、中国指導部が今月3日に「適度に緩和的」な金融政 策から「穏健(慎重)」な金融政策への転換を発表以来、初めて。

中国の利上げを受け、米株価指数先物やニューヨーク原油物相場が 時間外取引で下落するなか、週明け早朝の外国為替市場ではオーストラ リア・ドルなど資源国通貨を売る動きが先行。運用リスクを回避するた め、ユーロも売りが優勢となり、対ドルでは一時、1ユーロ=1.3073 ドルまで値を切り下げる場面が見られた。

もっとも、その後日本株が上昇し、中国株もプラス圏で始まるとリ スク回避の動きは一服、豪ドルは下げ渋り、ユーロは対円、対ドルで朝 方の下落を取り戻した。

三井住友銀行市場営業統括部の山下えつ子チーフ・エコノミストは 中国の利上げについて、「タイミング自体は若干マーケットにとって予 想外だったかもしれないが、為替も一瞬円高に振れた後すぐに戻してい るし、日本株も寄り付きから特段下がることなく小幅高となっており、 結果的にはあまり影響はない。サプライズではないということだ」と語 った。

中国株は午後失速

ブルームバーグ・ニュースが今月実施したエコノミスト調査による と、中国では2011年に合計1%の利上げが予想されている。

一方、午後にかけては中国株がマイナスに転換。リスク回避の連想 が働くなか、WSJの報道もあり、ドル売り・円買い圧力が強まった。

三井住友銀の山下氏は、「中国株がきょうあすとどのように動くか は一応見る必要がある」とし、中国株が下落した場合には、「全体的に 株式市場の雰囲気が悪くなり、円高方向に動いてしまうという展開もあ るかもしれない」と指摘する。

米株動向を警戒

WSJ(オンライン版)は、米政府から公的資金による救済を受け た米銀のうち約100行が、経営危機の兆候を示していると、7-9月 (第3四半期)の決算分析を引用して報じた。同紙によれば、これらの 銀行は問題資産購入計画(TARP)の下で合計42億ドル(約3500 億円)余りの支援を受けた。

上田ハーローの山内氏は、「WSJの記事を受けて、きょうの米国 株がどうなるかだ」とし、米国株が下落した場合、「どうしても円高の 圧力がまたかかりやすくなってしまう」とみている。また、ドル・円に ついては「本邦勢の実需が上値を抑えやすくなっているので、目先はど うしても83円台が重くなっている」と指摘している。

ドルは対ユーロで午後に一時、1ユーロ=1.3171ドルまで下げ幅 を拡大。また、ユーロ・ドルにつられる形で、ユーロ・円は一時、108 円94銭までユーロ高・円安に振れている。

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