債券反発、中国追加利上げや日銀国債買い入れで-利回りスティープ化

債券相場は反発。中国で追加利上 げが実施されたことや、日本銀行の長期国債買い入れ実施が買い材料 視された。現物市場では長期や超長期債に戻り売りが出る一方で中期 債が買われて、利回り曲線はスティープ(傾斜)化した。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、中国の金融引き締めは景気にマイナスとの見方が優勢だった と指摘。投資家の多くが年内の債券取引を終えたものの、中期ゾーン の現物債や先物に買いが膨らんだことが相場を支えたとも言う。

東京先物市場で中心限月3月物は、前週末比3銭高い139円76 銭で開始。いったんは3銭安の139円70銭まで下げたが、すぐに買い が先行して日中は139円80銭台を中心に推移した。午後に入って売り 一巡後に再び買いが膨らむと、一時は24銭高の139円97銭まで上昇 しており、結局は12銭高の139円85銭で週初の取引を終えた。

年末接近で取引が手控えられており、3月物の日中売買高は1兆 902億円となり、中心限月ベースで昨年4月20日以来の低水準を記録 した。

中国人民銀行は25日、インフレ加速に対応するため、10月20日 以来、約2カ月ぶりに利上げを実施すると発表した。人民銀は今後も 追加利上げに踏み切る可能性があるとみられており、中国の金融引き 締めが世界経済の先行き懸念を強めるとの見方が出ていた。

また、日銀が資産買い入れ等の基金による長期国債の買い入れ入 札を通知したことも、きょうの先物相場を下支えしていたもよう。三 菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジストは、 「きょうの国債買い入れ実施はやや予想外のタイミングだった」と言 い、午前の取引終盤にかけてのサポート材料になったとみていた。

中国の株式相場は利上げに伴うインフレ抑制への期待から上昇に 転じたものの、その後は上昇幅を縮める展開となっている。このため、 日経平均株価も午後に1%近く上昇後は伸び悩みとなり、債券先物買 いの一因とされていた。

10年債利回りは1.16%

一方、現物市場で長期金利の指標とされる新発10年物の312回債 利回りは、午前には前週末比横ばいの1.15%での小動きに終始。午後 に売りが優勢となると1ベーシスポイント(bp)高の1.16%を付けて おり、その後は1.155-1.16%で取引されている。

312回債利回りは15、16日には一時1.295%を付け、新発10年債 として5月18日以来の1.3%台目前まで上昇した。しかし、この水準 で買いが優勢となると17日以降にはじりじりと水準を下げて、前週後 半からは1.1%台半ばでの推移が続いている。

きょうの午後には長期や超長期債に売りが出たが、年末接近に伴 って徐々に売り圧力は細っていく見通し。ドイツ証券の山下周チーフ 金利ストラテジストは、投資家は四半期末にあたって損益の振れを伴 う売買を手がけにくいと指摘。米国の金利動向を見極めたい雰囲気も 強いとしながらも、月末にあたって債券インデックス(指数)を長期 化させる買いが長めの年限のサポートとなりそうとも話した。

長期や超長期ゾーンに売りが優勢だったが、中期ゾーンでは買い が膨らんでおり、2年物の300回債利回りは1.5bp低下の0.205%、 5年物の93回債は同2bp低い0.465%で取引された。

国債発行計画の影響は限定的

一方、2011年度国債発行計画は国内債市場に特段の影響を及ぼさ なかった。ドイツ証の山下氏は、借換債の増額を抑えたことや前倒し 債の発行減額など通じて、国債の発行増を抑制することができたと指 摘。中長期的には安定財源の確保が課題となるが、足元では市場の想 定範囲内に収まったこともあって影響は限られたと言う。

大和住銀投信投資顧問の伊藤氏は、11年度計画では新規財源債を 前年度の水準に抑えるなど、引き続き国債管理政策が機能していると 指摘。ただ、今後も税収の増加が見込みにくい中で、国債発行への依 存には限界があるとも言い、長期的な財政危機への懸念はぬぐえない とも話した。

機関投資家などへの入札方式で11年度内に販売する国債の市中 発行額は144兆9000億円。2年連続で過去最大を更新することとなっ たが、1兆円に満たない増加幅にとどまった。また、新規財源債は44 兆2980億円で、民主党政権が来年度の新規国債発行額を前年度の44.3 兆円以内に抑えるとしていた方針を実現した。

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